【重大労災事故をなくす】何をすればいいか?

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労災(労働災害)事故。
2020年1年間だけで死亡者数802人。
休業4日以上の死傷者数131,156人。

たった1年間でこれだけの重大労災事故が発生しています。

こちらの記事で紹介しました。
【2020年】労働災害発生状況<確定値>公表(厚生労働省)

これらの重大な労災事故をなくしていくために何をすればいいのか?

ハインリッヒの法則から知ることができます。

ハインリッヒの法則

「ヒヤリハットの法則」という言葉を聞いたことがありますか?

「ヒヤリハットの法則」、「1:29:300」の法則。

ハインリッヒの法則

どちらも同じ「ハインリッヒの法則」のことです。

ハインリッヒとは「Herbert William Heinrich」さんのことです。

ハインリッヒの法則。労働災害における経験則の一つである。1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリ・ハット)が存在するというもの。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)

重大労災事故をなくすためには、ハインリッヒの法則をいかす必要があります。

「1」の重大事故をなくすためには、「29」の小さな事故をなくすことが必要です。

重大事故をなくす、あるいは重大事故を起こさないためには、重大事故よりももっと起きやすい小さな事故を起こさない、小さな事故が起きたときにかくさずに表面化させて労災事故として正面から認識し再発防止の対策をとることが重要です。

「労災かくし」は重大事故を起こすことにつながるのです。

そして、

「29」の小さな事故をなくすためには「300」の異常(ヒヤリ・ハット)をなくすことが必要です。

死亡事故・4日以上休業の死傷事故をなくすためには、休業4日未満の事故を労災申請(労災保険の給付請求)をする

死亡事故・4日以上休業の死傷事故をなくすためには、2つのことが重要です。

  • 休業4日未満の事故を労災申請(労災保険の給付請求)をすることと会社に休業補償を払わせること
  • 再発防止のための安全対策を検討・実行すること

「1」件の重大事故をなくすためには、「29」件の小さな事故をなくすことが重要です。

重大事故をなくす、あるいは重大事故を起こさないためには、

重大事故よりももっと起きやすい小さな事故を起こさない、

小さな事故が起きたときにかくさずに表面化させて労災事故として正面から認識し再発防止の対策をとることが重要です。

小さな事故(ここでは仮に4日未満の休業・休業なしの労災)をきちんと労災として正面から問題にすることで、対策の必要性、会社の安全責任が認識されます。

「危ないから気をつけろと言っていたのに本人の不注意だからケガをしたんだ。悪いのは労働者本人だ。」

「『ケガと弁当は自分持ち』と昔から言われてる。会社の責任にされたらたまらない。」

「これくらいの事故で労災申請なんかされて役所に目をつけられたら困るから、労災保険つかわずに健康保険で治療してくれ。」

こんな考えは、死亡や休業4日以上の重大事故を発生させる原因になってしまいます。認めてはいけません。

【労災保険】4日未満の休業でも療養補償給付を請求する

労災事故でケガをしたときには健康保険は使えません。

労災事故で健康保険を使ってはいけないことになっています。

健康保険法1条(目的)

この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第7条第1項第1号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

病院に行ったら、「仕事でケガをしました」など、労災事故で療養を受けにきたことを伝えましょう。

労災による診察・治療や薬の支給などの療養は無料(ゼロ円)で受けられます。

全額労災保険から支払われますので、本人負担はありません。

【療養補償を請求】4日未満の休業は会社が休業補償する義務がある

労災(業務災害)事故で療養のために仕事を休んだ日は1日であっても、平均賃金の6割以上の休業補償を労働者に払う義務が会社にあります。

休業4日目からは労災保険から休業補償給付がでますが、休業1日目〜3日目までは会社が休業補償を労働者に払わなければいけません。

労働基準法76条(休業補償)

労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。

労働者災害補償保険法14条(但し書き以下略)

休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の百分の六十に相当する額とする。

休業4日未満の事故もなくすためには、事故にはならなかったもののヒヤリとしたハッとしたことがらについて危険を取り除く

休業4日未満の事故もなくすためには、事故にはならなかったもののヒヤリとしたハッとしたことがらについて危険を取り除く対策をとることが重要です。

ヒヤリハット

仕事をしていて、もう少しで怪我をするところだったということがあります。

このヒヤっとした、あるいはハッとしたことを取り上げ、災害防止に結びつけることが目的で始まったのが、ヒヤリハット活動です。

仕事にかかわる危険有害要因を把握する方法の1つとして、効果的です。

ヒヤリハットは報告する側にとっても、報告を受ける側にとっても、あまり名誉なことではありません。

このため、労働者を責めないという取決めをし、これを実行しないと、制度が長続きしません。

たとえ作業手順書どおりに作業を行わなかったことが原因であった場合も、手順書に無理があって守ることができないのかもしれません。

手順書の見直しの良い機会と考えるべきです。

朝礼などの機会をとらえ、ヒヤリハットがきちんと報告されるよう意識付けをしておくことも重要です。

また、改善された事例については、社内報などを通じて社内に広く情報提供すると、水平展開はもとより、労働者の意識向上にもつながります。

ヒヤリハット 厚生労働省

「ヒヤリ・ハットと言われても、これまで気にしてきたことがないのでわからない・・・」

そんな場合に参考になる厚生労働省のページがありますので見てみましょう。

職場のあんぜんサイト]です。

ヒヤリハット厚生労働省

ヒヤリ・ハット事例が73件(記事投稿時現在)紹介されています。

ヒヤリ・ハット事例 厚生労働省

安全衛生委員会では、労災事故(死亡事故・4日以上休業の死傷事故・休業4日未満の事故)について、本人の不注意に終わらせず今度ふたたび起きないようにするためにはどのような対策を実行する必要があるのか?調査・審議します。

労災事故の再発防止のための対策について、事業者(会社)に真剣に意見を言わなければいけないのです。

そして、さいわい事故にはいたらなかったが危うく事故になりそうだった「ヒヤリ」としたこと「ハッ」としたことがらについて、調査・審議して、危険を取り除く対策を実施するように事業者(会社)に意見を述べることが重要です。

労災事故防止のために、事業者(会社)対して厳しい意見を述べる責務があります。

安全衛生委員会は、QCサークルのつもりでフワフワした気持ちで臨む場ではありません。

明確に目的を定められた法律上の組織なのです。

労働安全衛生法

安全委員会(17条) 衛生委員会(18条)
事業者は、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。 事業者は、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
1 労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
2 労働災害の原因及び再発防止対策で、
安全に係るものに関すること。
労働災害の原因及び再発防止対策で、
衛生に係るものに関すること。
3 労働者の危険の防止に関する重要事項 労働者の健康障害の防止
及び健康の保持増進に関する重要事項

そして、安全衛生委員会の議事録は労働者への周知義務があります。

安全衛生委員会が調査・審議して述べた労災事故防止のための意見を事業者(会社)が実行しないときは、労働者は会社に実行を迫る必要があります。

労働組合がある職場であれば団体交渉で迫ることが重要です。
まんぜんと形だけ労働安全衛生委員会を開かせているようでは、実質的には労働組合とは言えません。

労働安全衛生法(安全委員会)17条

事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、安全委員会を設けなければならない。

1号 労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること。

2号 労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。

3号 前2号に掲げるもののほか、労働者の危険の防止に関する重要事項

労働安全衛生法(衛生委員会)18条

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

1号 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。

2号 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。

3号 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。

4号 前3号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

【編集後記】

映画『サムライせんせい』。

Amazonプライムビデオで無料だったので観たのですが、武市半平太役の俳優の演技がさわやかで凛々しく気に入りました。

坂本龍馬を描いた小説やマンガで武市半平太は好きではないキャラクターだったのですが。

人の命を暴力で奪って問題を解決する時代の日本に生まれなくて良かったなと。

原作のマンガも読んでみたいのですが、どこかでレンタルできるのか。

昨日の1日1新 Google keepでポタリング準備チェックリスト作成

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 ・30分無料zoomオンライン相談「相談・依頼の申込み」フォームから受付中。 1965年生まれ56歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  

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