国民年金の遺族年金。どんな人が受け取れるの?

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厚生年金と国民年金。会社員や公務員などが加入している厚生年金。学生や個人事業主などが加入している国民年金。
厚生年金・国民年金に加入している方や加入していた方が亡くなった場合、一定の条件を満たすと遺族の方に遺族年金が支給されます。
国民年金の遺族年金は、どのような条件を満たすとどの遺族が受け取れるのでしょうか?

【遺族基礎年金】だれがが亡くなった場合に支給されるのか?

国民年金から支給される遺族年金を【遺族基礎年金】と言います。

遺族基礎年金は下の表の1〜4のいずれかに該当する方が亡くなった場合に支給されます。

国民年金の遺族年金(遺族基礎年金)支給要件
1 国民年金の被保険者である間に、死亡したとき。(※)
2 国民年金の被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものが、死亡したとき。(※)
3 老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が、死亡したとき。
4 受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間)が25年以上である者が、死亡したとき。

上の表の1・2に該当する方の場合は、以下の保険料保険料納付要件を満たしていることが必要です。

<保険料納付・免除の期間が3分の2以上あること(保険料納付要件の原則)>

保険料納付要件 原則

死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間がある場合は、当該被保険者期間のうち、3分の2以上の期間、保険料を納付済であるか免除されていた(学生納付特例、納付猶予等を含む)こと。

<直近1年間に未納がないこと(保険料納付要件の特例)>

保険料納付要件 特例

2026年4月1日前の場合には保険料納付要件に特例があります。

死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月まで(注2)の直近の1年間に保険料の未納がないこと。

65歳以上の国民年金の被保険者(特例高齢任意加入被保険者)が亡くなった場合には、適用されません。

国民年金保険法37条(支給要件)

遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であつた者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の配偶者又は子に支給する。ただし、第1号又は第2号に該当する場合にあつては、死亡した者につき、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

1 被保険者が、死亡したとき。

2 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものが、死亡したとき。

3 老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者に限る。)が、死亡したとき。

4 保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が、死亡したとき。

【遺族基礎年金】だれが受け取れるのか?

【遺族基礎年金】を受け取れるのは、子または子のある配偶者(妻・夫)

下の表に該当する子のある配偶者または子が遺族基礎年金を受け取れます。

配偶者は事実婚関係も含まれます。
事実婚関係にある方とは、いわゆる内縁関係にある方をいいます。

内縁関係とは、婚姻の届出を欠くが、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係をいい、次の要件を備えることを要します。

1 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること
2 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること

子については、以下の場合には支給されません(支給停止)。
・亡くなった方の配偶者が遺族基礎年金を受け取っている。
・生計を同じくする父、または母がいるとき。

遺族基礎年金は亡くなった方の子が高校卒業の年齢になるまで、あるいは子が障害の状態にある場合は20歳になるまでの間受け取れます。

国民年金の遺族年金(遺族基礎年金)を受け取れる人 亡くなられた方に生計を維持されていた以下の人が受け取れる
子(※)のある配偶者 配偶者は妻・夫です。
(ただし夫の場合2014年4月1日以降が対象となります。)
子(※) (※)子とは、18歳年度末までの子のこと
(例 高校卒業するまでの子)。
国民年金の障害等級1・2級に該当する障害の状態にある場合は20歳未満の子のこと。どちらの場合も未婚であること。

国民年金法37条の2(遺族の範囲)

遺族基礎年金を受けることができる配偶者又は子は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者又は子(以下単に「配偶者」又は「子」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次に掲げる要件に該当したものとする。

1 配偶者については、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること。

2 子については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。

2 被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が生まれたときは、前項の規定の適用については、将来に向かつて、その子は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持していたものとみなし、配偶者は、その者
の死亡の当時その子と生計を同じくしていたものとみなす。

国民年金法41条(支給停止)

子に対する遺族基礎年金は、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するとき(配偶者に対する遺族基礎年金が第20条の2第1項若しくは第2項又は次条第1項の規定によりその支給を停止されているときを除く。)、又は生計を同じくするその子の父若しくは母があるときは、その間、その支給を停止する。

【遺族基礎年金】いくら受け取れるのか?

国民年金の遺族年金(遺族基礎年金) 年金額 子の加算額
子のある配偶者が受け取る場合 781,700円+子の加算額 1人目〜2人目の子の加算額は1人あたり224,900円。3人目以降の子の加算額は1人あたり75,000円
子が受け取る場合 781,700円+(2人目以降の子がいれば、2人目以降の子の加算額) 2人目の子の加算額は224,900円。3人目以降の子の加算額は1人あたり75,000円

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【編集後記】

厚生年金に加入している加入していた方が亡くなった場合は、一定の条件を満たすと、遺族厚生年金と合わせて遺族基礎年金を受け取れます。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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