仕事でケガ・病気。定年退職後も労災保険から給料の代わりを受けられる(休業補償給付)

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仕事でケガをして療養のための休職中は給料の代わりに労災保険から休業補償給付を受け取ります。
さて、当たり前ですが定年退職したら会社から給料は受け取れなくなります。
給料の代わりに受け取っていた労災保険の休業補償給付。
定年退職したら給料出なくなるので、給料の代わりに受け取っていた労災保険の休業補償給付も受け取れなくなると思っている方がいますが、そんなことはありません。

労災保険から給付を受ける権利は退職によって変更されることはない

労働者が仕事によるケガや病気になって使用者から休業補償を受ける権利は、退職によって変更されることはありません。

労災保険から休業補償給付(通勤災害の場合は休業給付)を受ける権利も、退職によって変更されることはありません。

退職後も引き続き、労災保険からの給付を労働者は受け取ることができます。

労働者災害補償保険法12条の5(1項)

保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。

労働基準法

(療養補償)

75条(1項) 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。

(休業補償)

第76条 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない

(補償を受ける権利)

83条(1項)補償を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。

労災保険から休業補償給付を受けるための要件(条件)

労災保険から休業補償給付(通勤災害の場合は休業給付)を受けるための要件(条件)は3つあります。

労災保険から休業補償給付(休業給付)を受けるための3要件
1 業務上の事由(通勤)による負傷や疾病による療養のため
2 労働をすることができないため
3 賃金を受けていないこと

この3つの要件をすべて満たすと、仕事(通勤)でケガをした日を含めた待機期間3日を経て4日目から労災保険の休業補償給付(休業給付)を受けることができます。

通勤ではなく、仕事でケガした場合は待機期間の3日分は、労災保険ではなく労働基準法(76条)に基づいて会社から平均賃金の100分の60(以上)の休業補償を受け取ります。

休業補償給付(休業給付) 休業特別支給金 休業補償給付(休業給付)
+休業特別支給金
給付基礎日額の60% 給付基礎日額の20% 給付基礎日額の80%

仕事でケガをして仕事ができなくて会社を休んでいる間も給料の代わりの労災保険から給料の約80%を受け取ることができるので、安心して仕事を休めますから療養に専念できます。

ところで、先ほど見ましたように、労災保険からの給付を受ける権利は労働者の退職によって変更されることはありません。

何らかの理由で、会社を退職したあとも引き続き、労災保険から休業補償給付(休業給付)を受け取ります。

仕事(通勤)でケガをして働くことができずに仕事を休んでいる間の給料の代わりに労災保険から休業補償給付(休業給付)受け取っていたので、会社を退職して給料は出なくなったのだから、給料の代わりだった休業補償給付(休業給付)も受け取れなくなる、ということはないのです。

勘違いして心配する方もいらっしゃいますが、労働者災害補償保険法12条の5(1項)に「保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。」とありますので安心してください。

それでは、定年退職の場合はどうでしょうか?

定年退職も「退職」。定年退職によって労災保険からの給付を受ける権利は変更されない

仕事(通勤)でケガをして労災保険から休業補償給付(休業給付)を受けている。

会社を退職してしまっても、労災保険から休業補償給付(休業給付)を受け続けることができることは知っている方の中でも、定年退職してしまったらもう休業補償給付(休業給付)は受けられなくなってしまうと思っている方がいます。

そもそも休業補償給付(休業給付)は、仕事でケガをして働けない間に給料の代わりに労災保険から受けとれる給付なのだから、定年退職後は給料自体受け取ることがないので、給料の代わりである休業補償給付(休業給付)は受け取れなくなると考えるようです。

しかし、繰り返し見てきましたように、労災保険から「保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない。」(労働者災害補償保険法12条の5(1項))のですから、定年退職後も休業補償給付(休業給付)を受け続けることができます。

たとえば、定年退職後も別の会社で働くこともあるのですし。

厚生労働省のQ&Aでも以下のように説明されています。

Q&A
Q

私は、トラック荷台において荷の積み降ろし作業中、トラック荷台から転落し、両足を骨折してしまい、現在、入院加療中であり、労災保険より療養補償給付及び休業補償給付を受けております。私は、来月末日で定年退職となりますが、主治医によれば、今月中に退院できるが、仕事の復帰は当分出来ないと言われており、まだしばらくの間、療養・休業が必要となる見込みです。このように、退職後も業務上で被った負傷の療養を行う場合、労災保険給付は受けられるでしょうか

A

労働者が業務上の事由により負傷または疾病を被った場合には、災害の性質や、負傷または疾病の程度によっては相当長期間療養しなければならないこともあります。このような場合、当然考えられるのがご質問のような労働者の退職という問題です。労災保険給付が、雇用関係の存在している期間中についてのみ補償され、退職等の理由により雇用関係がなくなった場合は補償されないということになると被災労働者の被った損害の一部しかてん補されないことになります。例えば、療養補償給付について、退職後は支給されないとなると、業務上の事由により負傷し療養しているのにもかかわらず、その治療を受けられないという不合理なことになります。また、休業補償給付については、定年退職後は当然賃金を受けることができなくなるので、休業損害が生じないため、補償を受けることができないのではないかとの疑問が生じるかも知れません。しかしながら、この保険給付を受ける権利を雇用関係の存在する期間のみ限定することは、休業補償給付が賃金損失に対する補償であるという点からして、不合理なものといえます。なぜなら、負傷していなければ、定年により被災した事業場を退職し、当該事業場から賃金を受けないとしても、他の事業場に再就職し、賃金を得ることもできるからです。以上のように、業務上の事故に対する補償は雇用関係の存続とは別に考えられることになります。このことは、労働基準法第83条及び労災保険法第12条の5で『補償を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない』と規定されています。ご質問のように、たとえ、退職の理由により使用者との間に雇用関係がなくなったとしても、支給事由が存在する限り保険給付を受けることができます。

厚生労働省 東京労働局

(文章中のアンダーラインは目立たせるために私(小倉健二)が引いたもの)

IMG 8011

【編集後記】

仕事でケガをした。でももうすぐ定年退職するから労災保険給付を受けるための手続きしても面倒なだけでどうせすぐ受け取れなくなるからやめとこう・・・。

そうではない。定年退職も含めて退職後も労災保険からの給付を受け続けることができるのです。

勘違いをして労災保険給付の手続きをしなかった方は、これからでも請求の手続きをしましょう。

昨日の1日1新 大江戸線光が丘駅

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 ・30分無料zoomオンライン相談(期間限定)「相談・依頼の申込み」フォームから受付中。 1965年生まれ55歳。連れ合い(妻)と子ども2人。 労働者の立場で労働問題に関わって30年。 2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格
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