【労災保険】不支給の決定。納得できないときは不服申立てる

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仕事でケガをした。仕事が原因で病気になった。通勤中にケガをした。
労災申請したら、業務災害ではない、通勤災害ではない、とされて労働基準監督署長から労災保険給付の不支給決定が出た。
労働災害(業務災害・通勤災害)だから労災申請したのに、不支給だなんて納得できない・・・。
労災保険の不支給決定が納得できない場合は、不服申立ができます。

役所が決めたことに納得できないときは、不服申立てができる

役所(行政)が決めた(決定した)ことに納得できないと言うのは、御上(おかみ)に楯突くようで気が引ける・・・。

もしかしたら、あなたはそんなふうに感じてしまうかもしれません。

しかし、行政の決定に不服を申立てるのは間違ったことではありません。

あなたや1人ひとりの国民が、自分の権利や利益が不当におかされることは日本国憲法13条の個人の尊重に反することですから救済されなくてはならないことです。

もしも行政の決定が間違っているのなら、間違った決定を取り消して正しい決定が行われることで、行政の適正な運営も確保されます。

ですから、あなたのためにも、行政の適正な運用のためにも、行政の決定に納得がいかない場合には不服申立てをすることは大切なことです。

そもそも役所(行政)は御上(おかみ)ではなく、1人ひとりの国民に奉仕するために存在する機関です。

1人ひとりの国民のためというときの国民とは日本国籍を持っている人という意味ではありませんので、日本国籍がない外国人も行政の処分・決定に納得がいかない場合は不服申立てができます。

当たり前ですが、外国人労働者が通勤災害・業務災害に遭って労災申請して、保険給付の決定に納得いかなければ不服申立てができます。

行政不服審査法(目的等)1条

(1項)この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。

2項 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下単に「処分」という。)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

労災保険給付に関する決定に納得できなければ審査請求・再審査請求の2段階で不服申立てをする

役所(行政)が決めた(決定した)ことに納得できないときは、行政不服審査法で不服を申立てます。

しかし、別の法律で不服申立てについて特別の定めがある場合には、別の法律の定めにしたがって不服申立てをします。

労災保険の保険給付については、労災保険法38条に不服の申立て方法が定められています。

労災保険の保険給付は労働基準監督署長が決定します。

保険給付をするか不支給とするか?
保険給付をするとしてもどの保険給付をどれだけ行なうか?

労災保険の保険給付についての決定は労働基準監督署長がします。

・労災保険給付の不支給の決定がされたことが不服だ。
・労災保険給付の支給決定がされたが、支給額が少ないなど保険給付の決定の内容が不服だ。

このような労働基準監督署長が行なった保険給付についての決定について不服があるときは、労災保険審査官に対して審査請求ができます。

審査請求の結果、労働基準監督署長が行なった労災保険給付の不支給の決定が取消されると保険給付を受けられることになります。

審査請求の結果、労災保険審査官から不支給決定が取消されなかった場合は、労災保険審査会に再審査を請求できます。

このように、労災保険給付の決定について納得できない場合は、審査請求、再審査請求と2段階で不服申立てができます。

行政不服審査法(目的等)1条

2項 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(以下単に「処分」という。)に関する不服申立てについては、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

労働者災害補償保険法

38条(1項)保険給付に関する決定に不服のある者は、労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服のある者は、労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる。

2項 前項の審査請求をしている者は、審査請求をした日から3箇月を経過しても審査請求についての決定がないときは、労働者災害補償保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。

3項 第1項の審査請求及び再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、これを裁判上の請求とみなす。

39条 前条第1項の審査請求及び再審査請求については、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第2章(第22条を除く。)及び第4章の規定は、適用しない

審査請求・再審査請求の流れ

労災保険給付への不服申立

審査請求

労働基準監督署長が行なった労災保険給付についての決定への不服申立ては、労災保険審査官に対して審査請求をします。

審査請求は、労働基準監督署長が行なった労災保険給付についての決定を知った日の翌日から3ヶ月以内に行わなければなりません。

3ヶ月というのは不服申立てのための準備をするのに決して長い期間ではありません。

決定について納得できない場合は、不服申立ての審査請求の準備をすぐにはじめましょう。

労災保険審査官への審査請求は文書ではなく口頭でも行なうことができます。

労働保険審査官及び労働保険審査会法

8条(審査請求期間)
(1項) 審査請求は、審査請求人が原処分のあつたことを知つた日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由によりこの期間内に審査請求をすることができなかつたことを疎明したときは、この限りでない。
2項 審査請求書を郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便で提出した場合における審査請求期間の計算については、送付に要した日数は、算入しない。

9条(審査請求の方式)
審査請求は、政令で定めるところにより、文書又は口頭ですることができる。

再審査請求

審査請求をして労災保険審査官による審査の決定に納得できなかった場合は、さらにもう1段階の不服申立てができるようになっています。

再審査請求です。

労災保険審査官による審査の決定に不服がある場合には、労災保険審査会に再審査請求ができます。

再審査請求は、労災保険審査官による審査の決定(決定書)が送付された日の翌日から2ヶ月以内に行わなければなりません。

再審査請求は文書で行わなければなりません。

審査請求は口頭でも文書でもどちらでも行なえますが、再審査請求は文書でしか行なえません。

再審査請求は、労災保険審査官の決定書が送付された日の翌日から2ヶ月以内に文書で行わなければなりませんので内容とともに準備のスピードも大切です。

労働保険審査官及び労働保険審査会法

38条(再審査請求期間等)
(1項) 労働者災害補償保険法第38条第1項又は雇用保険法第69条第1項の規定による再審査請求は、第20条の規定により決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月を経過したときは、することができない。

2項 第8条第1項ただし書及び第2項の規定は、前項の期間について準用する。

3項 第1項に規定する再審査請求においては、原処分をした行政庁を相手方とする。

39条(再審査請求の方式)
再審査請求は、政令で定めるところにより、文書でしなければならない。

花

行政が行なった処分について納得がいかない場合は、行政不服審査法によって不服申立てができます。

別の法律で特別に不服申立てについて特別に定められている場合はその法律が定めた方法で不服申立てします。

労災保険の給付については労災保険法で定められている審査請求・再審査請求によって不服を申立てます。

【編集後記】

今(2020/08/24 13:01)仕事をしている部屋の室温は33.7度。
外で仕事をしている方は熱中症対策が必要な暑さですね。
朝と夜は少しずつ涼しくなってきて秋の虫の鳴き声が聞こえるようになりました。
暑い夏のセミの鳴き声も好きですが、そろそろ涼しい秋がやってくるのも楽しみです。

週末の1日1新 はぁって言うゲーム

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格