仕事が原因でケガをした。こんなときは労災保険から給付がうけられます。
労災申請(労災保険からの給付請求)をしましょう。
労災保険からの給付はいくつかの種類があります。
仕事でケガをして、すぐに必要になる労災申請は大きく2つです。
Contents
仕事でケガをしたら療養補償給付と休業補償給付をうける
仕事が原因でケガをしたら労災(労働災害)です。
仕事でケガをして労災申請すると、労災保険から給付をうけることができます。
- ケガをしてすぐにうける給付は医療費が無料になる療養補償給付。
- 療養のために仕事を休んで給料をうけとることができない日に平均賃金の8割が支給される休業補償給付。
労災保険からの給付はさまざまなものがありますが、まずは療養補償給付と休業補償給付の2つの労災保険給付を知っておけば大丈夫です。
仕事でケガをしたときは、すぐに療養補償給付。
そして療養のために仕事を休むように言われて仕事を休んだ日は給料のかわりに休業補償給付をうけます。
仕事が原因でケガをした。
最初に知っておくべき2つの労災申請 |
労災保険からの給付 | 労災申請先
(請求書の提出先) |
|
---|---|---|---|
1 | 療養補償給付 | 医療(診察・治療・薬など)を無料でうけることができる | 労災指定病院など(病院・薬局) |
2 | 休業補償給付 | 仕事を休んだ日に平均賃金の8割が支給される | 労働基準監督署 |
療養補償給付、そして休業補償給付。
仕事でケガをしたら、この2つの給付の支給をもとめて労災申請する。
まずはこの2つの労災申請をすることを知っておいてください。
【療養補償給付】無料で医療をうけられる
仕事によるケガ(労働災害)で医療をうけるときは、法律で健康保険を使えないことになっています。
仕事が原因でケガをした。労災でケガをして診察・治療をうけるために病院に行ったら、仕事でのケガである、労働災害であることを伝えます。
病院の窓口では、保険証(健康保険被保険者証)を出さずに労災であることを伝えます。
労災でのケガの医療は健康保険をつかることができませんが、労災保険から病院に医療費が支払われます。
診察・治療など必要な医療を、労働者は無料でうけることができます。
病院で処方されて薬局でうけとる薬も無料になります。
医療を無料でうけることができる労災保険の給付を、療養補償給付といいます。
療養補償給付をうけるには、病院で様式第5号「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書」を提出します。
様式第5号の請求書に、仕事でケガをした労働者が記入して、会社(事業主)が証明欄に記入します。
準備ができたら、様式第5号の請求書は病院に提出します。
労働基準監督署には病院から提出することになります。
仕事でケガをしてすぐに治療をうける必要があるときには、様式第5号の請求書の準備が間に合わないでしょう。
この場合は、様式第5号の請求書は出せませんが、労災であることを病院に伝えます。
労災申請は後日、様式第5号の請求書を病院に提出して行われますので、療養補償給付をうけることはできません。
医療費ではなく預り金などの名前でいくらかお金を病院にあずけることになるでしょうが、後日返却されます。
様式第5号「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書」
【療養の費用の支給】労災指定病院以外で医療をうけたらあとから医療費をうけとる
仕事が原因であるケガの医療は、労災指定病院でうけます。
しかし、仕事でケガをして急いで診察・治療をうけるときに、労災指定病院を選べるとはかぎりません。
職場や出先など仕事でケガをしたすぐ近くの病院でいそいで医療をうける必要があるときなど、労災指定病院かどうか選んでいる場合ではありません。
このように労災指定病院ではない病院で医療をうけた場合は療養補償給付をうけることができませんので、医療費の10割全額を支払うことになります。
そして後日、労災保険に請求して病院に支払った医療費を返してもらいます。「療養の費用の支給」の請求です。
「療養の費用の支給」の請求は様式第7号を提出して行います。
様式第7号は病院ではなく、直接労働基準監督署に提出します。
仕事でケガをした労働者が用紙に記入したうえで、医療をうけた病院と会社(事業主)の証明の記入をうけたうえで、労働基準監督署に提出します。
様式第7号(1)「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書」
【休業補償給付】療養のために仕事を休んだ日は給料の8割が支給される
仕事が原因でケガをしたら、まずは病院で診察・治療をうけ薬局で薬をうけとり、療養します。
病院で診察・治療をうけたときに医師から、療養のために仕事を休むように指示をうけることがあります。
医師の指示で療養のために仕事を休む期間は会社は平均賃金の6割以上の休業補償を支払う法律上の義務があります。
休業1日目から3日目までは、平均賃金の6割以上の休業補償を会社が支払います。
休業4日目からの休業補償は労災保険から支給されます。
会社のかわりに休業4日目から労災保険から支給される給付を休業補償給付をいいます。
休業補償給付は平均賃金の8割(保険給付6割+特別支給金2割)が支給されます。
療養のために仕事を休んだ日は4日目から、給料の約8割が労災保険から休業補償給付が支給されます。
土日や祝日など仕事をすることのない会社の非営業日や、もとから休みと決まっている公休日についても、休業補償給付が支給されます。
仕事を休んだ日に平均賃金6割以上の休業補償を会社からうけとっている日は休業補償給付は支給されません。
有給休暇も賃金をうけとる日ですので、有休をとるとその日は休業補償給付が支給されません
会社が支払っている休業補償が平均賃金6割未満であれば、労災保険の休業補償(平均賃金の8割)と両方をうけとることができます。
休業補償給付の初回の請求は月の途中で休業が開始したことで1ヶ月に満たないでしょう。
休業が長引いた場合は、2回目からの請求は1ヶ月単位で請求しましょう。
休業補償給付の請求は「休業補償給付支給請求書複数事業労働者休業給付支給請求書」様式第8号に記入して労働基準監督署に提出します。
仕事が原因でケガをした労働者が様式第8号に記入して会社(事業主)の証明の記入をうけて提出します。
「休業補償給付支給請求書複数事業労働者休業給付支給請求書」様式第8号
【編集後記】
仕事が原因でケガをしたら労災(労働災害)です。
労災申請して労災保険からの給付をうけます。
まずは無料で医療をうける療養補償給付、医師から療養のために仕事を休むように指示されたら休業補償給付。
仕事でケガをしたら行なう労災申請。まずは療養補償給付と休業補償給付の2つを知っていただければと思います。
療養補償給付と休業補償給付の請求書は、どちらも会社(事業主)証明欄があります。
「会社が悪くてケガしたのではないので労災じゃない」などと言って労災申請(労災保険給付の請求書の作成)に協力しない会社もあります。
労災申請(労災保険の給付申請)は損害賠償請求ではないのです。会社が悪いかどうか、労働者に不注意があったかどうか、労災保険から給付をうける上で関係ないことです。
会社には労災申請へ協力する法律上の義務がありますが、会社が協力しない場合は労働者が自分で労災申請することができます。
それでも自分で労災申請するのが不安だという方は、あなたの代わりに手続きを社会保険労務士に依頼することができます。
労働者のための社労士・小倉健二は、労働者の方からの依頼をうけて労災申請手続きを代理しています。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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