通勤災害❓業務災害❓労働災害になるならどちらでも構わない⁉️

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アパートと一軒家では、同じ玄関を出たあとでも通勤災害になるかならないか分かれる

アパートの自分の部屋のドアを出て階段で転んでケガをしたら労災(通勤災害)になります。
アパートが住居の場合は、自分の部屋のドアを出たあとが通勤になります

一軒家で玄関を出て自宅の門を出る前に転んでケガしても労災(通勤災害)になりません。
一軒家が住居の場合は、自宅の門を出たあとが通勤になります。

「労働者が居住するアパートの外戸が住居と通勤経路との境界であるので、当該アパートの階段は、通勤の経路である」(昭和49年4月9日基収314号)

自宅の玄関先の石段を上がるとき、石段が凍っていたため、足をすべらせ転倒して負傷したのは「住居内において発生した災害であるので、住居と就業の場所との間の災害には該当しない」(昭和49年7月17日基収2110号)

自宅から職場へ向かうのは同じでも、通勤途上は通勤災害、急な呼び出しで休みの日に仕事に向かったら業務災害。

「業務の性質を有するもの」とは、当該移動による災害が業務災害と解されるものをいう。
具体例としては、事業主の提供する専用交通機関を利用してする通勤、突発的事故等による緊急用務のため、休日又は休暇中に呼出しを受け予定外に緊急出勤する場合がこれにあたる。」(平成18年3月31日基発0331042号)(昭和48年11月22日基発644号)

参考記事「“出張” は、家を出てから家に帰るまでの間に起きた事故は一般的に業務災害(労災)」

 通勤災害❓業務災害❓労働災害になるならどちらでも構わない⁉(通勤災害と業務災害の効果の違い)

労災保険法の保険給付を受けるということでは、通勤災害も業務災害も同じです。

しかし、労働基準法には通勤災害の規定がありませんから、通勤災害では労働基準法による保護(メリット)がありません。

業務災害なら、労働基準法による保護があります。

業務災害であれば労災保険給付がない3日間は会社(事業主)から休業補償を受けられる

労災保険法の休業補償給付は3日間の待機期間があり4日目から給付されます。
業務災害であれば労災保険給付がない3日間は会社(事業主)から休業補償を受けますが、通勤災害は会社から休業補償は受けられません。

労働基準法

第七十六条 労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。

業務災害であれば療養のために休業している間は解雇制限があります。通勤災害に解雇制限はありません

労働基準法

第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
2項 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない

通勤災害と業務災害の大きな差は、労基法上の解雇制限の有無。安易に通勤災害としないで業務上災害ならきちんと業務上災害で労災申請しましょう。

労災保険法の保険給付を受けるということでは、通勤災害も業務災害も同じですが、労基法の解雇制限があるとないのとでは大きな違いがあります。

通勤災害も業務災害でも労災保険から給付が受けられるならどちらでもいいや、というものではありません。

業務災害に該当する場合は、通勤災害ではなく、業務災害として申請しましょう❗

労基法19条による解雇制限があってもなくても、労働契約法16条にあるように解雇には制限があります。

労基法19条による解雇制限がなければ解雇ができるということではありません。こちらもお忘れなく。

労働契約法

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

今日の1日1新

『しょぼい喫茶店』

中野区上高田2丁目54-8 2F(向かいは黄色い鶏肉専門店)

チーズケーキ美味しかったです。ごちそうさまでした。

えもいてんちょう

しょぼい喫茶店で働きたい人の日々

「新井薬師に「しょぼい喫茶店」 うつ病患う学生が開業、皆が「生きる」ための場目指す」中野経済新聞

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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