労働災害発生状況2022年9月速報値【死傷災害】前年同期比44.2%増加

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労働災害の発生状況2022年9月速報値が、厚生労働省から公表されました。
9月速報値は、1月〜8月までに発生した労働災害について9月7日までの報告を集計したものです。
死亡災害は、墜落・転落が最多で全体の3割近く(28%)を占めています。
休業4日以上の死傷災害は、新型コロナ感染症が全体の4割(約4万9千人)と最多。
新型コロナ感染症をのぞくと、死傷災害は3割近く(27.5%)が「転倒」事故で最多でした。

【労働災害】死亡災害の3割近く(28%)が落ちる事故(墜落・転落)

生きる(生活する)ための賃金を得るために働く労働。
生きるための労働で亡くなる死亡災害は、1件でもあってはならないものです。

1件でも起きてはいけない死亡災害ですが、2022年1月から8月までの8ヶ月だけで462人もの方が労働災害で亡くなっています。

亡くなってしまった方は、もう戻ってくることはありません。

死亡災害の原因にはさまざまなものがあります。
1件ごとの死亡災害の原因を調査・分析し再発防止対策を立てて実行し、2度と労働災害で亡くなることがないようにしなければなりません。

死亡災害を型別でみると、1番多いのが「落」ちる事故です。
墜落・落下、「落」ちることは死亡災害につながる危険な事故です。

死亡災害の28%(131人)が墜落・転落によるものでした。
はさまれ・巻き込まれが17%(77人)、交通事故(道路)が14%(65人)と続いています。

202209労災速報値死亡災害

労働災害発生状況(9月速報)厚生労働省

【労働災害】休業4日以上の死傷災害の4割(約4万9千人)が新型コロナ感染症

2022年1月から8月までの8ヶ月で、休業4日以上の死傷災害は122,198人。
労働災害による死傷者は、前年同期(84,713人)比で44.2%(37,486人)増加しています。

新型コロナ感染症による死傷者が49,021人。
前年同期(12,175人)比で約4倍(403%)に増加しています。

202209労災速報値死傷災害

労働災害発生状況(9月速報)厚生労働省

新型コロナ感染症による労災について認知が広がってきたのでしょうか?
しかし、まだまだ新型コロナ感染症で労災申請していない方が多いはずです。

新型コロナ感染症は「後遺症」(罹患後症状)をふくめて労働災害の対象となる病気です。

細菌やウイルスなどの病原体による病気は労災保険給付の対象です。
病原体による病気のなかでも、新型コロナウイルス感染症については労働災害と認められやすくなっています。

参考記事
新型コロナ「後遺症」も労災の対象

【労働災害】休業4日以上の死傷災害は新型コロナ感染症のぞくと3割近く(27.5%)が「転倒」事故

休業4日以上の死傷災害で、新型コロナ感染症をのぞくと一番多い労働災害は「転倒」です。

「転んでケガするのは本人の不注意だから労災じゃない」などと言われて、労災申請しなかったという話を労働者の方から聞くことが少なくありません。

会社などで転倒事故は労災にならないなどと言われても、それはウソです。

統計をみてわかるように、死傷災害で一番多い労働災害が転倒によるものです。新型コロナ感染症をのぞくと死傷災害の約3割(27.5%)が「転倒」が原因となる労働災害です。

「転倒」による死傷災害は前年同期比で763人増加しています。

転倒によるケガもふくめて仕事が原因となるケガや病気は、かならず労災申請しましょう。

労働者の不注意・ミスによる仕事でのケガも労働災害です。

参考記事
【労災】自分の不注意でも仕事による怪我は業務災害

もしも、会社が労災申請に協力しない場合は労働者だけで労災申請することができます。自分だけで労災申請するのが不安だという方は社会保険労務士に手続きを依頼することができますので心配はいりません。

新型コロナ感染症のぞくと死傷災害の6割(58.5%)が転ぶ・落ちる・腰痛の3つで占める

休業4日以上の死傷災害の4割が新型コロナ感染症によるものです。
新型コロナ感染症による労働災害をのぞくと、死傷災害の6割(58.5%)が転ぶ・落ちる・腰痛の3つで占めています。

「転」ぶ(転倒)・「落」ちる(墜落・転落)・腰痛(動作の反動・無理な動作)は死傷災害の3大原因です。

2022年労働災害 事故の型 その他 除く
労働災害発生状況(9月速報)Excel(厚生労働省)から作成

「転」ぶ(転倒)・「落」ちる(墜落・転落)・腰痛(動作の反動・無理な動作)は死傷災害の3大原因による労働災害の合計数を業種別に見ると

ダントツで多いのは第三次産業です。
死傷災害の3大原因による労働災害の56%を第三次産業だけで占めています。
製造業(15.3%)、陸上貨物運送事業(14.0%)、建設業(9.6%)と続きます。

2022年
労働災害
死傷災害
(9月速報値)
墜落・転落 転倒 動作の反動・無理な動作 3大原因合計 割合
全産業 11,712 20,160 10,920 42,792 100.0%
第三次産業 4,162 13,071 6,715 23,948 56.0%
製造業 1,687 3,353 1,519 6,559 15.3%
陸上貨物運送事業 2,517 1,791 1,690 5,998 14.0%
建設業 2,641 994 478 4,113 9.6%
交通運輸事業 165 529 293 987 2.3%
農業、畜産・水産業 394 281 147 822 1.9%
林業 79 79 42 200 0.5%
港湾運送業 45 33 26 104 0.2%
鉱業 22 29 10 61 0.1%

労働災害発生状況(9月速報)Excel(厚生労働省)から作成

割合は少なくなりますが、それ以外の業種でも3大原因だけにしぼっても死傷災害が発生しています。

どの業種で働く労働者の方も、「転」ぶ(転倒)・「落」ちる(墜落・転落)・腰痛(動作の反動・無理な動作)は死傷災害の3大原因による労働災害に遭わないように注意が必要です。

そして、どの業種でもどの事故の型でも、休業4日以上の死傷災害ではないものであっても、労働災害に遭ってしまったら、かならず労災申請しましょう

参考記事

【労働災害】仕事でケガをしたときに知っておきたい2つの労災申請

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格