2021年「労働災害発生状況の分析等」(厚生労働省)で死傷災害の状況をみる

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「令和3年労働災害発生状況の分析等」(厚生労働省)をみると、「転」ぶ・「落」ちるが最大の死傷災害の原因であり、腰痛による休業4日以上の死傷災害も多いことがわかります。
「転」ぶ・「落」ちる、そして腰痛。仕事が原因となって起きたケガ・病気は労災です。
労災は労災申請して、労災保険からの給付をうけることが大切です。

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事務所で転んでケガをしてしまった労働者。労災申請しましたか?

【2021労災】社会福祉施設、小売業、製造業で死傷者数が前年対比で大きく増加

新型コロナ感染による労災を除いて数値をみます。

労災の死傷者数でみると、一番多い業種は製造業(26,424人)、小売業(16,425人)、陸上貨物運送(16,355人)と続きます。

業種別死傷者数 新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害を除 く

令和3年労働災害発生状況の分析等 厚生労働省

前年対比で労災の死傷者が大きく増加した業種は、社会福祉施設(9.7%増加)です。

小売業(4.4%増加)と製造業(4.4%増加)が社会福祉施設の次に労災が増加した業種です。

2017年(平成29年)比では、社会福祉施設が46.5%(4,059人)増であり、大幅に増加していることがわかります。

陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設及び飲食店を、厚生労働省は死傷災害の重点業種としています。

【2021労災】「転」ぶ・「落」ちるが最大の死傷災害の原因、腰痛による休業4日以上の死傷災害も多い

2021年労災の死傷災害を事故の型別でみると、1番多いのが「転倒」で死傷者33,672人です。

2番目に死傷者が多い労災は、墜落・転落で20,977人。

3番めが腰痛など「動作の反動・無理な動作」死傷者19,121人。

死傷災害の3大事故原因は、転倒、墜落・転落、腰痛など動作の反動・無理な動作です。

事故の型別死傷者数

令和3年労働災害発生状況の分析等 厚生労働省

転倒による死傷災害は前年比8.9%(2,743人)増加、2017年(平成29年)比では18.9%(5,362 人)増加しています。
転倒災害は、全体の 22.5%を占め、そのうちの 60.6%が休業見込期間1か月以上となり、平均休業見込期間は41.5日でした。

腰痛等の「動作 の反動・無理な動作」が前年比8.7%(1,656人)増加、2017年(平成29年)比で28.4%(4,600人と大きく増加していることがわかります。

「転」ぶ・「落」ちる、腰痛。仕事が原因のケガや病気は労災申請する

2021年労災発生状況をみてわかるのは、「転」ぶ・「落」ちるが最大の労災の死傷災害の原因であること。

そして、腰痛による休業4日以上の死傷災害も多いことです。

「転」ぶ、「落」ちる、腰を痛める。
労働災害による死傷災害の3大原因ですが、職場で自己責任・自己管理責任の問題だから労災ではないなどと言われることも多いものです。

「転ぶのは自分(労働者)の不注意でしょう」

→ 不注意によるケガも労災です

参考記事

【労災】自分の不注意でも仕事による怪我は業務災害

「落ちたら危ないのは(労働者が自分で)わかるでしょう」

→  落ちないように安全な作業環境をつくるのが使用者(会社など)の責任です

「働いていれば腰はだれでも(労働者は)痛くなるでしょう」

→ 働いている職場の他の労働者も仕事が原因で腰痛になっているなら、他の労働者も労災申請する必要があります。

もしも、職場で労災ではないと言われたとしても、

「転」ぶ、「落」ちる、腰を痛める、仕事が原因として起きたケガ・病気は労災です。

労災は、申請(労災保険給付の請求)をしましょう。

参考記事
【労働災害】仕事でケガをしたときに知っておきたい2つの労災申請

職場(会社など事業主)には労災申請に協力する法的義務がありますし、たとえ職場が協力しない場合でも労働者が職場の協力なしに労災申請することもできます。

参考記事
仕事中にケガをした。“労災じゃない”と言って労災保険請求書の証明欄に会社が記入してくれない❗️

【編集後記】

新しいiPhoneとApple Watchが発表されました。
少し前から心拍数と心電図の測定もできるApple Watchを買おうと思っていたので、どうせなら新しい機種をとSeries8の発表を待っていました。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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