トラックの荷台から誤って転落してケガしてしまった。
陸上貨物運送事業の死傷災害で1番多い労災が「墜落・落下」です。
「墜落・落下」は陸上貨物運送事業の死傷災害全体の4分の1(26.9%)を占めています。
Contents
トラック荷台から落下 作業中の男性会社員が重傷 群馬県伊勢崎市(2022/9/2 上毛新聞)
トラックからの転落は、死傷災害となる危険な労災です。
トラックを運転する労働者の方の労災。死傷災害でもっとも多い労災が「墜落・転落」です。2021年での陸上貨物運送事業の死傷災害全体の4分の1(26.9%)が「墜落・転落」です。
つい最近も、私(労働者のための社労士・小倉健二)と同じ57歳の労働者の方が、トラック荷台で作業中に転落して重症を負っています。
2日午前、群馬県伊勢崎市国定町の金属塗装会社敷地内で、大泉町の男性会社員(57)がトラックの荷台から落下して重傷を負った。
県警伊勢崎署の発表によると、男性はトラックの荷台に納品用の商品を積み込む作業をしていた。
トラック荷台から落下 作業中の男性会社員が重傷 群馬県伊勢崎市
#gunma 上毛新聞 2022/9/2 16:59
自分のミス(不注意)でトラックの荷台から転落したケガは労災になるのか
トラックの荷台から転落してケガをしたという労働者からの相談できく話として、転落の原因が労働者の不注意・ミスであるということについてです。
(ニュース記事は、転落の原因の労働者の過失の話とは関係ありません。)
Q.荷降ろしの作業中に、不注意でトラックの荷台から転落してケガをしてしまった。労災になるのか?
トラックの荷台から落ちてケガをしてしまった労働者。
「トラックの荷台から落ちてケガしたのはお前の不注意だから、労災にはならない。健康保険を使って治療をして、働けるようになるまでは私傷病欠勤で無給だ。」と会社から言われた。
A.労働者の不注意で転落したケガも労災になります。
トラックの荷台から落ちて労働者がケガをしてしまった。
転落の原因が会社にはなく、労働者の不注意によるものであっても、労災になります。
会社が悪いか悪くないかは、労災なのかどうかとは関係ありません。
仕事が原因で労働者がケガをしたら労災(業務災害)です。
労災は労災保険からの給付をうけられます。
労働者がわざと(=故意に)ケガをした場合には、労災になりません。
労働者に重大な過失がある場合であっても、労災保険からの給付が一部少なくなりますが、労災となります。労働者の重大な過失となるのは、事故発生の直接の原因となった行為が労働基準法・鉱山保安法・道路交通法などの危害防止に関して罰則がある規定で違反があった場合だけです。
支給制限の事由 | 支給制限の内容 |
---|---|
故意の犯罪行為もしくは重大な過失 | 休業(補償)給付、傷病(補償)給付、障害(補償)給付。保険給付のつど30%を制限(減額)する。傷病(補償)年金、障害(補償)年金は療養を開始した日の翌日から3年以内の期間において支給事由が存する期間についてだけ制限(減額)する。 |
参考記事
【仕事でのケガ】自分の不注意でのケガだから労災じゃないと会社で言われた
労働者のミス・不注意(=過失)によるケガであっても、労災になります。
まずは、無料での病院での医療をうけます。(療養補償給付)
そして、医師の指示で療養のために仕事を休んだ日は4日目から給料の約8割のお金の支給をうけます。(休業補償給付)
仕事を休んだ3日目までは労災保険ではなく使用者(会社)から給料(平均賃金)の6割以上をうけとります。
仕事が原因でケガをした。最初に知っておくべき2つの労災申請 | 労災保険からの給付 | 労災申請先(請求書の提出先) | |
---|---|---|---|
1 | 療養補償給付 | 医療(診察・治療・薬など)を無料でうけることができる | 労災指定病院など(病院・薬局) |
2 | 休業補償給付 | 仕事を休んだ日に平均賃金の8割が支給される | 労働基準監督署 |
参考記事
【労働災害】仕事でケガをしたときに知っておきたい2つの労災申請
もしも、会社が悪い(故意・過失がある)のであれば、労災保険からの給付を受けるのとは別に、慰謝料など損害賠償を会社に請求することになります。
2021年【陸上貨物運送事業】の労働災害発生状況
2021年の陸上貨物運送事業での労働災害による死傷者数は、前年比で917人(5.8%)増加しています。
2021年【陸上貨物運送事業】労働災害による死傷者の4人に1人が「墜落・転落」
2021年の陸上貨物運送事業の労働災害は、事故の型別でみると、死傷者数で1番多いのは「墜落・転落」です。
陸上貨物運送事業の死傷災害全数26.9%を墜落・転落が占めています。
陸上貨物運送事業の労働災害による死傷者は、4人に1人が「墜落・転落」によるものです。
トラックからの転落でのケガは、労働者の不注意によるケガも含めて労災です。
知っておいていただきたいと思います。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
最新記事 by 小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都) (全て見る)
- 【産休・育休】厚生年金・健康保険の保険料免除について知ろう - 2023年3月29日
- 2023年4月1日【出産育児一時金】8万円増額1児50万円支給 - 2023年3月16日
- 【60歳で老齢年金繰上げ受給を検討中】繰上受給したあとで障害年金請求できるか? - 2023年3月14日