【仕事でのケガ】自分の不注意でのケガだから労災じゃないと会社で言われた

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「自分の不注意でケガしたから労災じゃない」と会社から言われた。
「確かにもっと気をつけていればケガしなかったかもしれないなぁ・・・」
自分のミス・不注意(過失)による仕事でのケガは労災にならないのでしょうか?

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こんなことでケガしてしまったオレってそそっかしいよなぁ。労災になるのかな?

Q. うっかりミス・自分の不注意によるケガは労災にならないのか?

仕事でケガをした労働者本人に過失がある場合は、労災にならないのでしょうか?

「自分の不注意でケガしたから労災じゃない」と会社から言われた。

「たしかに、自分がもっと気をつけていればケガしなかった、自分にも過失があったのかもしれない・・・。」

仕事でケガをしたといっても、どこかしら自分にもミス・不注意があるということはよくあります。

労働者がわざとケガをした場合には労災ではありませんが、労働者の不注意・ミスでケガした場合でも労災として認められます。安心してください。

労災には労災保険からの給付がうけられます。労災申請しましょう。

労災申請とは、労災保険からの給付を請求することです。

労災保険給付は、ケガをした労働者が直接うけとります。

仕事でケガをしたら、まずは病院での医療・薬局でうけとる薬などが無料になる療養補償給付をうけます。

そして、医師による指示で療養のために仕事を休んだ日には給料のかわりに休業補償給付をうけとります。

【労働災害】仕事でケガをしたときに知っておきたい2つの労災申請

自分の不注意が原因の仕事でのケガも労災

「仕事でのケガではあるが、自分の不注意によるケガだ。危ないから気をつけろと言っていたのに、注意が足りないからケガしたんだ。会社は悪くないから労災じゃない。労災保険をつかわずに健康保険で治療しろ。」

仕事でケガをしたときに、会社からこんなことを言われた。

  • 労働者本人の不注意で仕事でケガをした。
  • 仕事でのケガについて、会社は悪くないから労災じゃないと言っている。

Q. 仕事でケガをした労働者本人に過失がある場合は、労災にならないのでしょうか?

A. 労働者に過失(不注意)があるケガも、仕事が原因となるケガは労災です。

労災(業務災害)であることに会社が悪い(故意・過失)必要はありません。

会社が悪くない(使用者の無過失)、本人の不注意によるケガでも仕事が原因となるケガや病気は労災(業務災害)です。

労災は会社(使用者)の無過失責任

労災保険は会社(使用者)の無過失責任の社会保険です。

無過失責任とは、損害が発生したことについて故意・過失がなくても、損害賠償をする責任を持たないければならないことをいいます。

  • 業務遂行性
  • 業務起因性

この2つを満たせば、業務災害(労働災害)です。

業務遂行性と業務起因性についての参考記事はこちら

労災保険。業務災害として認められるには。業務起因性と業務遂行性。

「他の人はケガしなかったのだから自分の注意が足りなかったかもしれない。」

自分がもっと気をつけていればケガしなかった、自分にも不注意(過失)があったのかもしれない。

仕事でケガしたときに、自分の不注意を負い目に感じてしまうことがありますが、そんなときでも仕事が原因でケガしたのですから労災です。労災保険からの給付をうけることができます。

しかし、労災保険からの給付をうけるために労働者が「わざとケガをした」場合は労災とはなりません。(労働者災害補償保険法12条の2の2(1項))

「わざと労災」は労災保険を受けられるのか?

また、労働者が「重大な過失」でケガをした場合は労災保険給付が30%へらされます。(労働者災害補償保険法12条の2の2(2項))

しかし、労働者の「重大な過失」となるのは、きわめて限られた場合だけです。

労働者の「重大な過失」とは、事故発生の直接の原因となった行為が労働基準法・鉱山保安法・道路交通法などの危害防止に関して罰則がある規定で違反があった場合のことです。

支給制限の事由 支給制限の内容
故意の犯罪行為もしくは重大な過失

休業(補償)給付、傷病(補償)給付、障害(補償)給付。保険給付のつど30%を制限(減額)する。

傷病(補償)年金、障害(補償)年金は療養を開始した日の翌日から3年以内の期間において支給事由が存する期間についてだけ制限(減額)する。

1965年7月31日基発第906号参照

労災保険法 12条の2の2

(1項) 労働者が、故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となつた事故を生じさせたときは、政府は、保険給付を行わない。

2項 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。

誰が悪いか悪くないかは関係なく労災。会社が悪いなら労災の他に損害賠償請求する

(会社)「お前が不注意だったからケガしたんだ。会社が悪いわけじゃないから労災じゃない。」

労働者の不注意で起きた事故でケガしても労災です。

もしも、会社に過失(不注意)があって仕事でケガした場合は労災保険給付をうけるだけではなく、会社に損害賠償請求をすることができます。

会社には労働者がケガをしたり病気にならないで安全に働くことができるようにする義務があります。(労働契約法5条)

労働契約法5条(労働者の安全への配慮)

使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

仕事でのケガ、会社(使用者)の安全配慮義務違反がある場合には、不法行為・債務不履行などによる損害賠償請求ができます。

労災保険からの給付は労働者に重大な過失がないかぎり全額うけとることができます。しかし、損害賠償請求では労働者の不注意など過失分はうけとる金額がへらされます。このことは知っておきたいところです。

労災保険からの給付には慰謝料はふくまれていませんから、慰謝料を請求したいところです。

休業補償給付も給料全額分をうけとるものではありませんから、休業補償給付(給料の約6割)との差額を請求できます。

弁護士に依頼して、民事裁判で損害賠償請求することを検討しましょう。

民事裁判よりも短期間で解決する労働審判もあります。

請求する金額によっては弁護士に依頼する費用の方が大きくなったり、解決までの期間が長引くことなどから、裁判や労働審判を希望しない場合でも他の解決方法があります。

1つには労働組合に加入して、会社(使用者)と団体交渉して解決をめざす方法です。

解決にかかる期間は長短さまざまですが、「解決金」など名称はべつとして要求することができます。

労働組合に加入し団体で交渉し解決することは、憲法で保障された人権です。

労働組合に加入することで組合費を払うことや解決金など会社からうけとった金額の一部を労働組合に寄付するなど金銭的な負担などがありますが、積極的に活用したいとことろです。

他にも身近な解決方法の1つに労働局によるあっせんがあります。

裁判所や労働組合を利用することを希望しない場合には、労働局によるあっせんで解決することを検討しましょう。

労働局は、都道府県単位で設置されている厚生労働省の地方支分部局の1つです。

東京労働局によるあっせんの解決は、申請から約3ヶ月程度と考えていただければと思います。(2020年6月現在)

労働局のあっせんで求められる!労災による損害賠償請求(労働契約法5条安全配慮義務)

あっせん申請書そのものは簡潔な書式ですので、記入すること自体むずかしくありません。

あっせん申請書への記載内容を詳しくそして専門的に主張するために申立書のほかに資料を作成する、あっせん当日にあっせん委員とのやりとりや和解合意書の締結に不安な場合などは、あっせんの手続きの代理を「特定社会保険労務士」に依頼することができます

特定社会保険労務士とは、社会保険労務士のなかで厚生労働大臣が定める研修を修了し、紛争解決手続代理業務試験に合格した上でその旨を連合会に備える社会保険労務士名簿に付記した者のことです。

「労働者のための社労士・小倉健二」が取り組む業務は3つ(障害年金・労災保険給付・労働者の代理人として労働問題のあっせん解決)

労働局以外でも公的機関による個別労働紛争を解決するために都道府県の労働委員会によるあっせんもあります。(東京都労働委員会では個別労働関係紛争のあっせんはおこなっていません。)

そのほかにも公的機関ではありませんが、都道府県単位の社会保険労務士会(社労士会労働紛争解決センター)でもあっせんをおこなっています。

労働災害補償の上積み請求(沖縄労働局のあっせん事例)

仕事中に災害に遭い、療養後職場復帰したところ事業主の配慮のない対応により退職を余儀なくされた労働者が、後遣症が残り満足に再就職ができない状況にもあることから、労働災害による補償(労災保険とは別途)を求めてあっせん申請を行いました。

あっせんの結果、事業主が●万円の和解解決金を支払うことで合意に至りました。

傷害慰謝料、後遺障害慰謝料及び逸失利益、休業補償金の請求(岐阜県労働委員会のあっせん事例)

<労働者側の主張>

使用者の安全配慮義務違反により勤務中に負傷したため、治療中の傷害慰謝料、後遺障害慰謝料及び逸失利益を請求する。また、労災休業期間については、当時の収入額に応じた休業補償金を請求する。

<使用者側の主張>

請求されている慰謝料及び逸失利益は法外な金額であり応じられず、また、休業期間の補償金については支払い済みである。

<あっせん結果>

第1回あっせん時には労使双方の主張に大きな隔たりがあったが、後に使用者側から歩み寄りたい旨の申し出があり、解決金を支払うことを内容としたあっせん案を双方が受諾し解決となった。

【編集後記】

とある本を読んでいて「いつかやろうは馬鹿野郎」(ネットで調べたところでは「明日やろうは馬鹿野郎」のようですが)という話がありました。なるほど〜!と。

私自身「いつかやろう」がたくさんありますので、けっこうな馬鹿野郎です。

宮古島でくらす。移住でなくても連れ合い(妻)と1ヶ月は宮古島で暮らしてみたい。
これは妻の定年退職後なのでもう少し先になります。
しまなみ海道をポタリング(自転車散歩)したい。
静かな海か川や湖でカヤック(カヌー)をやってみたい。
これはコロナ禍がされば、家族旅行を再開してすぐにでもできます。

家族の定年退職やコロナ禍など周りの環境に左右されることもありますが、小さなことなら自分1人ですぐにできることがありますので、日々できることはたくさんあります。気がついたことはチャレンジしていますが、本を読んでもっといろいろと楽しんでいこうと思ったところです。

畑に咲いていた花。なにか実がなる作物の花なのでしょうが。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 ・30分無料zoomオンライン相談「相談・依頼の申込み」フォームから受付中。 1965年生まれ56歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  

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