【2022年労働災害】休業4日以上死傷者数21万人(70%増加)厚生労働省公表12月速報値

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2022年の労働災害発生状況の12月速報値が厚生労働省から公表されています。2022年の労災は、死亡者数は5.5%減少していますが、休業4日以上の死傷者数は70%増加しています。増減は前年同期との対比です。

【2022年の労働災害】前年同期比で7割超で死傷者数が増加

2022年1月1日から11月30日までに発生した労災について12月7日までに報告があったものを集計した、2022年における労働災害発生状況(12月速報値)が12月16日に厚生労働省から公表されています。

死亡災害については前年同期比で5.5%(33人)減少しています。
減少したといっても、658人もの方が2022年の11ヶ月で労災によって亡くなっています

休業4日以上の死傷災害については、大幅に増加しています。前年同期比で70.5%(86,834人)増加しています。

2022年の11ヶ月で21万人(209,999人)もの方が死傷災害に遭っています。

前年同期比で7割超(70.5%)で増加している労災・死傷者数。死傷災害の増加の中身を見てみましょう。

2022年に86,834人増加した労災による死傷者

前年同期比で7割超(70.5%)で増加している労災による死傷者数。

2022年で21万人(209,999人)もの方が、休業4日以上の死傷災害に遭っています。

死傷者数の前年同期比での増減人数を表にすると一目瞭然、「その他」が増加していることがわかります。

2022年に86,834人増加した労災による死傷者数。
86,834人増加した死傷者のうち98.9%(85,892人)を「その他」が占めています

この「その他」とは「主として感染症による労働災害を示す分類」のことで、新型コロナウイルス感染症によるものです。

前年同期比で7割超(70.5%)で増加している死傷者数のほとんどが新型コロナウイルス感染症による労働災害です。

ただし、「転倒」による死傷者数が1,116人も増加していることにも着目する必要があります。

前年同月比で86,834人増加した労災による死傷者数のなかでの増加人数構成は1.3%と目立たずに数字が隠れてしまいますが、「転倒」による死傷者が4桁台(1,116人)も増加しています。

どの職場でも起こりうる転倒災害が発生しないための対策が必要です。

2022年労災【死傷災害】事故の型別 前年同期比(増減人数) 増減総数での構成比(%)
その他 85,891 98.9%
転倒 1,116 1.3%
高温・低温物との接触 241 0.3%
激突され 212 0.2%
激突 180 0.2%
有害物との接触 59 0.1%
分類不能 50 0.1%
交通事故(その他) 29 0.0%
おぼれ 12 0.0%
飛来・落下 11 0.0%
火災 11 0.0%
はさまれ・巻き込まれ 6 0.0%
破裂 2 0.0%
感電 0 0.0%
踏抜き -5 0.0%
動作の反動・無理な動作 -14 0.0%
爆発 -24 0.0%
崩壊・倒壊 -28 0.0%
切れ・こすれ -170 -0.2%
交通事故(道路) -294 -0.3%
墜落・転落 -451 -0.5%
合計 86,834 100.0%

仕事が原因となるケガ・病気は労災。労災はかならず労災申請する

2022年労働災害発生状況(12月速報値)。

死亡災害の約半数(46%)が「墜落・転落」、「はさまれ・巻き込まれ」の2つの型が占めています。

墜落・転落が死亡災害全体の30%(196人)、はさまれ・巻き込まれが16%(102人)。

死傷災害の半数(49%)103,711人を「その他」(新型コロナウイルス感染症)が占め、「転倒」が14%(28,421人)が続いています。

新型コロナウイルス感染症と転倒による労働災害で死傷災害の約3分の2(63%)を占めています。

令和4年事故の型別助働災害発生状況 12月速報値

死傷災害の発生を業種別で見ると、全体の7割超(70.8%)を第三次産業が占めています。

「労災といえば製造業や建設業で第三次産業は関係ない」という声を聞くことは少なくないと思いますが、実態はダントツで多いのが第三次産業です。

令和4年事故の型別助働災害発生状況 12月速報値 2

小売業で働いている方がたとえば職場で転倒災害に遭ってケガをした。
病院で治療を受けた、医師からの指示で仕事を休んで療養をした。

労災保険から無料の医療を受けることができますし、給料の約8割の休業補償を受けられます。

「新型コロナ感染は労災にならない」
「転んでケガしても労災ではない」
「労災は製造業者建設業の話、小売など第三次産業はケガしても労災にならない」

どれも間違った情報です。

仕事が原因で、ケガをしたり新型コロナ感染を含めて病気になったら労災(業務災害)です。

労災に遭ったら、労災申請をします。

会社が協力しない場合でも、労働者が労災申請を行なうことができますので、労災はかならず労災申請(労災保険給付の請求)をしましょう。

労働者の方が労災申請するにあたって、詳しいことがわからない、自分1人で労働基準監督署に申請手続きをするのが不安だという方。

社会保険労務士があなたの労災申請の手続きをお手伝いすることができます。

労災は労災保険を使う。かならず労災申請しましょう。

【編集後記】

週末はクリスマス。ひと足先に家族からクリスマスプレゼントをもらいました。
ヒートテックで裏面がフリースのスウェット上下。
寒い日が続いているのであたたかくて助かっています。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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