障害年金【障害認定日請求】いつの時点での診断書が必要か

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障害認定日での障害年金を請求するためには、障害認定日における障害の状態が記載された障害年金請求用の診断書を提出する必要があります。
障害認定日(原則として初診日から1年6月経過した日)ちょうど「その日」に医師による診療をうけていることは少ないでしょう。
いつの日の診断書を提出すればよいでしょうか。

【初診日が20歳以後】障害認定日「以降」3ヶ月以内の診断書

障害認定日による障害年金を請求するためには、障害認定日時点での障害の状態が記載された診断書を年金請求書に添えて提出する必要があります。

障害認定日は原則として初診日から1年6月経過した日です。

障害の種類によっては、1年6月の経過を待たずに「治った」日が障害認定日となることもあります。

障害認定日は原則として初診日から1年6月経過した日ですが、この障害認定日その日にちょうど医師による診断をうけているとはかぎりません。

診断書は診療録(カルテ)をもとに医師が記載するものです。

受診していない日のことはカルテに記載されていませんので、診断書を書けません。
そこで、障害認定日請求をするときに必要な診断書は障害認定日以降3月以内の現症日で記載されたものを提出すればよいことになっています。

現症とは「現」在の「症」状のことをいいます。

障害認定日請求するためには、障害認定日以降3月以内に医師による診断をうけていること、そしてカルテが残っていて、カルテをもとにその日(現症日)での障害の状態などを障害年金請求用の診断書に医師に記載してもらうことが必要です。

そして、障害認定日から1年以上経過して認定日請求をする場合は、障害認定日の診断書とは別に、請求日以前3月以内の現症日での診断書も添付する必要があります。

障害認定日から1年以上経過した診断書 1

「かけはし」第58号 (令和元年7月1日)日本年金機構

障害認定日から1年以上経過して認定日請求をする場合は、初診日が20歳前か20歳後を問わず、請求日以前3月以内の現症日での診断書も添付しなければなりませんので注意しましょう。

【初診日が20歳前】障害認定日「前後」3ヶ月以内の診断書

障害認定日請求をするときには、障害認定日以降3月以内の現症日で記載された診断書を提出します。

しかし、障害の原因となるケガや病気による初診日が20歳前にある場合は、障害認定日「以降」3月以内だけでなく障害認定日「以前」3月以内の現症日での診断書でもよいことになっています。

20歳前に初診日がある場合は、障害認定日「前後」3月以内の現症日での診断書で障害年金を請求できます。

20歳前障害の障害認定日請求の現症日 1

「かけはし」第58号 (令和元年7月1日)日本年金機構

障害認定日請求の診断書と現症日について法令での定めは?

障害年金を請求するときに提出する専用の診断書。

国民年金か厚生年金保険の障害年金を受けようとする人は、障害年年金請求書に必ず診断書をセットで提出しなければなりません。

障害の状態が、障害基礎年金(国民年金)であれば障害等級1級・2級にあてはまること、障害厚生年金であれば1級・2級もしくは3級にあてはまるかどうかを判断するためのもっとも重要となる書類が診断書です。

診断書は、障害認定日の障害の状態(程度)を医師が記入するものです。

障害認定日は、障害の原因となるケガや病気ではじめて医師・歯科医師の診療をうけた日(初診日)から1年6月を経過した日 (それよりも前に「治った」とときは、治った日 ) です。

障害認定日において、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに障害年金を支給することが法律でさだめられています。

しかし「初診日から1年6月を経過した日」その当日ぴったりに医師に診断をうけているとはかぎりません。

そこで、障害認定日での障害年金請求をするときに「障害認定日以後3月以内の現症が記載されている診断書」を提出します。

障害認定日以後3月以内の現症が記載されている診断書を日本年金機構がもとめている根拠は法令には見当たらず、業務通知がもとになっているのではないかと思われます。

「裁定請求書には、初診日から1年6月を経過した日における障害の状態を明らかにする診断書(原則として、初診日から1年6月を経過した日以後3月以内の現症が記載されているものをいう。以下同じ。)を添付させること。

「厚生年金保険及び船員保険の障害年金の廃疾認定日の変更等に伴う事務の取扱いについて」(1977年7月15日庁業発第844号)

規則(厚生労働省令)では「診断書」を添えて障害年金の請求書を提出することがもとめられていますが、法律の条文そのものに「診断書」が要件としてさだめられていないことから、診断書がなくても障害年金の支給を認める判例もあります。

20歳前に初診日がある障害で20歳到達時の診断書を提出できなかったことから障害年金の不支給決定がされたものの、不服申立て(審査請求)をおこない病気の特性から20歳時点で障害年金をうける権利が認められたという例もあります。

しかし、「障害認定日以後3月以内の現症が記載されている診断書」を提出できなくても障害年金の支給が認められるのは例外と考えておくことが必要です。

国民年金法30条(支給要件)各号略

(1項)障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

国民年金法16条(裁定)

給付を受ける権利は、その権利を有する者(以下「受給権者」という。)の請求に基いて、厚生労働大臣が裁定する。

国民年金法施行規則31条1項(各号略)

法第16条の規定による障害基礎年金についての裁定の請求は、次に掲げる事項を記載した請求書を機構に提出することによつて行わなければならない。

31条2項(各号は4号以外略)

前項の請求書には、次に掲げる書類等を添えなければならない。

4号 障害の状態に関する医師又は歯科医師の診断書

厚生年金保険法47条

障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

2項 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級、2級及び3級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

厚生年金保険法施行規則44条1項本文、2項本文と4号

厚生年金保険法施行規則44条1項本文

障害厚生年金又は障害手当金(厚生労働大臣が支給するものに限る。以下同じ。)について、法第条の規定による裁定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書を、機構に提出しなければならない。

厚生年金保険法施行規則44条項2項本文(各号は4号以外略)

前項の請求書には、次に掲げる書類等を添えなければならない。

4号 障害の状態の程度に関する医師又は歯科医師の診断書

【編集後記】

昨日(2022/04/05)は朝は寒かったですが、昼ころには暖かくなりました。

桜もまだ残っていて花見を楽しめました。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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