【3級の障害年金】受けとれるのは初診日に厚生年金の被保険者だった人だけ

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サラリーマンは社会保険料が高くて自営業者より損だと思っている労働者の方。
受けられる給付は自営業者の方よりサラリーマンの方が有利です。
たとえば、障害等級「3級」で障害年金を受けとれるのは初診日に厚生年金に加入していた人だけです。

障害等級「3級」で障害年金を受けとれるのは初診日に厚生年金被保険者だった人だけ

労働者からの相談を受けていると、聞くことがある話があります。
「毎月の給料明細をみるとガッカリする」ということです。

「給与総額(名目賃金)と手取額の差がありすぎてガッカリする。」

厚生年金保険料と健康保険料が高すぎるというのです。

サラリーマンの厚生年金と健康保険、この2つの社会保険料は本当に高いのですが、いざというときには助かることもあります。

若い人でも20才から受けとれる障害年金をみてみましょう。

サラリーマンの年金保険料は会社が半分払っています。

それでも、あなたの給料(報酬月額)が185,000円を超えると、あなたが払う厚生年金保険料は国民年金保険料より支払う額が多くなります。

国民年金の保険料は毎月16,610円。

受けとっている給料の額によって、厚生年金の保険料は国民年金保険料より高くなります。

平成29年9月分 10月納付分からの厚生年金保険料額表

支払う保険料は高くなりますが、年金を受けとる場面では厚生年金は国民年金よりも有利です。

若い人にも実感できるのは障害年金です。

厚生年金の障害年金は国民年金とくらべて有利です。

万が一のときに受けとれる障害年金、厚生年金なら3級の障害の状態で年金を受けとれます。

保険料納付要件(保険料の未納期間が一定の期間より短い)を満たしていなければいけないのは厚生年金も国民年金も同じです。

初診日の前日に保険料納付要件を満たして、原則として初診日から1年6月を経過した障害認定に3級の障害状態にある。

この場合には、初診日に厚生年金の被保険者だったら障害年金を受けとれます。

もしも、初診日に厚生年金の被保険者でなかった、国民年金の被保険者だったら障害年金を受けとれません。

3級の障害年金は厚生年金だけ受けとれるものだからです。

障害年金 厚生年金 国民年金
障害年金を受けとれる等級 1級、2級、3級 1級、2級

国民年金法30条(障害基礎年金の支給要件)2項

障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級及び2級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

厚生年金保険法47条(障害厚生年金の受給権者)2項

障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級、2級及び3級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

1級2級の障害厚生年金は障害基礎年金も合わせて受けとれる

国民年金は国民年金からしか障害年金を受けとれません。障害基礎年金だけ受けとります。

厚生年金から障害年金を受けとる場合、障害年金が1級2級なら厚生年金と国民年金の両方から障害年金を受けとることになります。

厚生年金の被保険者は国民年金にも加入していますので、厚生年金と国民年金の両方から障害年金を受けとることができるのです。

厚生年金の被保険者は国民年金(1階)と厚生年金(2階)の2階建ての年金制度に加入しているというイメージです。

国民年金の障害年金には3級はありませんので、3級の障害年金は厚生年金(2階)だけ受け取り、国民年金(1階)からは障害年金を受けとれません。

障害年金

3級の障害厚生年金には最低額保証がある。年間585,700円

国民年金の障害年金額は保険料の支払い期間に関わらず定額で受けとります。

厚生年金の障害年金額は保険料計算のもととなる標準報酬月額の平均と保険料支払期間をもとにして計算されます。

平均標準月額が高く加入期間が長いほど受けとる障害年金の額が多くなります。

加入期間が短い場合は25年間加入していたとみなして計算されますが、平均標準月額が低い場合は計算された年金額が少なくなってしまいます。

3級の障害年金は定額である障害基礎年金を受けとれませんので、受けとれる障害年金を一定額保障されるようになっています。

2021年度の障害厚生年金3級の最低保障額は年間585,700円です。

(厚生年金には3級の障害年金を受けとれないときでも、一時金として障害手当金を受けとれることがあります。)

【編集後記】

サラリーマンにとって給与明細書を見てショックなのは、税金とならんで社会保険料です。
社会保険料はけっして安くありません。正直言うと高いですよね。
その代わりに、自営業者にはない3級の障害厚生年金、1級2級の障害厚生年金には国民年金の障害年金(障害基礎年金)も合わせて受けとれます。
病気やケガを仕事を休んだときには最長で1年6月の間給料の約2/3を受けとれる健康保険の傷病手当金があります。
高い保険料を毎月払っている社会保険。傷病手当金、障害年金、いざとなったらきちんと請求しましょう。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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