健康保険は国保よりお得

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「サラリーマンは社会保険料が高くて損だ」という方。そんなことはありません。社会保険が充実しているのがサラリーマン(労働者)の魅力です。

健康保険は国保(国民健康保険)よりお得

サラリーマンの年金保険料は給料(報酬月額)が185,000円を超えると国民年金より支払う保険料が多くなります。

それでも将来受けとる老齢年金は国民年金に合わせて厚生年金からも受けとれますし、若くても受けとることができる障害年金は厚生年金が国民年金よりも有利です。

こちらの記事で紹介しました。
【3級の障害年金】受けとれるのは初診日に厚生年金の被保険者だった人だけ

実は、健康保険も国保よりもお得です。

サラリーマンが加入している健康保険でも、自営業者などが加入している国保(国民健康保険)よりも有利です。

健康保険 国民健康保険
傷病手当金 ×
出産手当金 ×
被扶養者 ○(被扶養者は保険料ゼロ円) ×(家族全員分の保険料を払う)
保険料 半額払い(半額は会社払い) 全額自分で払う

健康保険【被扶養者】保険料を払わずに保険給付を受けられる

健康保険と厚生年金、サラリーマン(労働者)が払う社会保険料は半額です。

残りの半額は会社が払います。

会社が社会保険料を半分以上払うことは問題ありません(半分を超えて会社が払った社会保険料は給料として扱われます)が、会社が半分払わずに労働者に半分以上払わせることはできません、違法です。

サラリーマンが健康保険の保険料について有利なのは、保険料の半額を会社が負担するだけではありません。

健康保険には国保にはない「被扶養者」という制度があります。

被扶養者に該当すると、その人は保険料を払う必要がありません。

保険料を払わないのに、保険給付を受けることができるのです。

被扶養者という制度があるおかげで、サラリーマンは被扶養者である家族は健康保険料を払わずにすみます。

1人暮らしのときも結婚して被扶養配偶者ができても子どもが生まれてもサラリーマンの健康保険料は増えません。

被扶養者に該当しているかぎり、結婚して家族が出来てからもサラリーマンが払う健康保険料は1人暮らしのときと変わらない、保険料が増えないのです。

国保には被扶養者という制度がありませんから、家族が増えると保険料が増えていきます。

傷病手当金

健康保険には傷病手当金があります。

傷病手当金は病気やケガで働けないときに健康保険から給料の約1/3が受けとれる制度です。

  1. 業務災害以外の病気やケガの療養のために働くことができないこと(業務又は通勤に起因する病気やケガは労災保険からの給付を受ける)
  2. 4日以上仕事を休んでいること(有給休暇・土日祝等の公休日を含み、療養のために連続して3日間仕事を休んだ)

傷病手当金は、4日目以降の仕事を休んだ日について支給開始から最長で1年6ヶ月受けとることができます。

参考記事
【傷病手当金】会社が休みの日にも支給される

傷病手当金は国保には原則ありません(条例または規約で定めて傷病手当金を支給することができます)。

参考記事
国民健康保険に加入している労働者の方。新型コロナウィルス感染した疑いで仕事を休んだら傷病手当金を受けられる?

出産手当金

出産手当金も国保にはない健康保険だけの保険給付です。

傷病手当金と同じように給料(標準報酬月額)の約2/3を受けとれます。

出産手当金は出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日までの範囲内で、会社を休んで給与の支払いがなかった日に受けとることができます。

休んだ日に会社から給料を受けとっていたときでも、受けとった給料が出産手当金より少ない額だったときは差額を受けとることができます。

参考記事
労働基準法 産前産後休暇とれます。健康保険の被保険者の方なら給料の約2/3のお金(出産手当金)を受け取れます❗️

傷病手当金と出産手当金の両方を受けとれるときは、出産手当金を受けとります。

傷病手当金と出産手当金の額の合計額を受けとれるわけではありません。

出産手当金の額が傷病手当金より少ないときには、傷病手当金を請求することで差額を受けとることができることになっています。

【編集後記】

毎月の給与明細書をみてガックリする社会保険料控除(給料からの天引き)。
「自営業とちがってサラリーマンは損だな」と感じているかもしれませんが、そうとも言えません。年金も健康保険もサラリーマンは自営業者にくらべて充実していますし、会社が保険料の半額を払っています。
社会保険料がとても高いことは事実ですが、給付の面で充実していることも考えると少し納得できるでしょうか。そうは言ってもやっぱり納得いかないかもしれませんけれども。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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