老齢年金の繰上げ繰下げと障害年金

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老齢年金は65歳から受給します。
原則65歳受給開始の老齢年金ですが、前後5年間繰上げ・繰下げて受給開始することもできます。
さらに、2022年4月からは繰上げの減額率と繰下げ年数の上限が変更されました。
老齢年金は繰上げ・繰下げることで受給する年金額が生涯変更されます。
そして、老齢年金を繰上げ受給すると、障害年金を受給できなくなる場合もあるので注意が必要です。

老齢年金を繰り上げするか繰下げるか、原則通り65歳で受給するか検討している方。

老齢年金は65歳から受給するが、受給開始は早めることも遅らせることもできる

老齢年金は65歳から受給します。

65歳から受給するのが老齢年金の原則ですが、65歳になるのを待たずに繰上げて60歳から受給することもできます。

繰上げて早くから年金を受給できるのは良いのですが、受給する1月あたりの年金額は減ってしまいます。

反対に65歳になっても受給せずに繰下げて70歳から受給することもできます。

2022年4月以降に70歳の誕生日を迎える方は、最大75歳まで老齢年金を繰下げて受給することができるようになりました。

繰下げて年金を受給することで、受給する1月あたりの年金額が増えるのは魅力です。

長生きする方にとっては、老齢年金を繰下げることで受給する年金総額を増やせて良いのですが、何歳まで生きるのかはわかりませんので、繰上げが得か繰下げが得なのかがわからないのが難しいところです。

老齢年金の繰上げ受給と、障害年金

繰上げる1月あたりの減額率は0.5%、1年早く受給開始すると受給する年金額が6%減ります。

最大の5年繰上げて60歳から年金を受給すると本来の年金額より30%減額された年金を一生受給することになります。

2022年4月に60歳に達する1962(昭和37)年4月1日以後に生まれた方は、繰上げ受給の減額率は0.5%から0.4%に変更されました。

対象となる方は、減額率が最大24%(5年繰上げて60歳受給)ですむようになりますが、減額された年金を生涯受給することはこれまでと変わりません。

また、老齢年金を繰り上げ受給すると、65歳前に障害の状態になっても事後重症による障害年金を請求できなくなるなど障害年金を受給できなくなる可能性があります。

老齢年金の繰上げ受給は、減額された年金を生涯受給することに合わせて障害年金を受給できなくなる可能性にも注意が必要です。

参考記事
2022年4月【老齢年金の繰上げ受給】減額率1月0.5%から0.4%に変更だが、繰上げは要注意

老齢年金を繰下げ受給と、障害年金

老齢年金は繰り下げて70歳から受給することができます。

また、2022年4月に70歳に達する1952(昭和27)年4月2日以後に生まれた方は老齢年金の繰り下げ受給は75歳まで上限年齢が引き上がられました。

繰下げる1月あたり0.7%、受給開始を1年遅らせると年金額が8.4%増えます。

最大の10年間遅らせて受給開始することで、84%増額された年金を75歳から生涯受給することになります。

84%の増額は嬉しいものですが、75歳から受給開始して何歳まで生きられるのかはわかりません。

結局は繰上げるか繰下げるか、原則通り65歳から受給開始するかは、1人ひとりの判断によります。

老齢年金を繰上げ受給すると障害年金を受給できなくなる可能性があることを書きましたが、繰下げ受給した場合でも65歳以降の初診日で障害年金を受給できるわけではありません

また、障害年金の受給権者は老齢年金の繰下げ受給をすることはできません。

【編集後記】

東京都のコロナ新規感染者数が昨日(2022/07/28)初めて4万人超え、日本の1週間の感染者数が97万人で世界最多だそうです。
早くピークアウトを迎えて、お盆は無理でもお彼岸にはお墓参りに行きたいものです。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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