「令和2年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を厚生労働省が2021年6月30日(水)に公表しています。
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民事上の個別労働紛争の相談件数が2020年度増加。一番多い相談は労働契約の終了について
厚生労働省が集約した「相談内容別の件数」をみると「いじめ・嫌がらせ」が79,190件(22.8%)と一番多いことがわかります。
しかし、労働契約の終了について相談内容を細分化していますので、集計してみる必要があります。
自己都合退職・解雇・退職勧奨・雇い止めを合わせて、労働契約の終了についての相談を集計すると347,546件(45.4%)です。
実際には、労働契約の終了についての労働相談が一番多いことがわかります。
労働契約の終了についての労働相談が、全体の半分に近い約45%を占めています。
民事上の個別労働紛争での労働相談。内容別の主な労働相談の件数を前年度対比でみると、いじめ・嫌がらせは9.6%減り、解雇は9.4%増加、退職勧奨は12.3%増加、労働条件の切り下げが10.4%増加しています。
コロナ禍の影響にる解雇・退職勧奨や労働条件の切り下げが大きく広がっていることが原因ではないかと私は考えています。
2020年度【厚生労働省・労働局でのあっせん】解雇・雇い止め合わせて1410件
民事上の別労働紛争の相談。
解雇は9.4%増加、退職勧奨は12.3%増加、労働条件の切り下げが10.4%増加しています。
労働局での解決をめざす助言・指導の申し出、あっせん申請は減少しています。
- 都道府県労働局長による助言・指導 申請 9,130件(前年度対比744件減少)
- 紛争調整委員会によるあっせん 申請 4,255件(前年度対比件932減少)
実にもったいない。相談するだけで助言・指導の申し出、あっせん申請をしなければ問題は解決しないのですからもったいない話だと思います。
労働相談をして法的知識を得て自分自身で会社と交渉して解決できた人が増えたのであれば良いのですが、そうではないでしょう。
コロナ禍で感染防止のためにあっせんなど労働局を利用した解決の件数が減ったのではないか?と心配しています。
今年度(2021年度)は、労働局での解決をめざす助言・指導の申し出、あっせん申請の件数が大きく増えることを期待します。
解雇、退職勧奨、雇い止め。コロナ禍での労働契約の終了についての労働問題の解決を労働局「あっせん」を利用する
労働局(紛争調整委員会)によるあっせんを申請するのは、ほぼ労働者です。
2020年度で事業主からの申請は1.6%(69件)だけ。
労使方法からの申請0.1%(3件)を除いた残りがすべて労働者からの申請です。
2020年度の98.3%(4183件)が労働者からのあっせん申請でした。
解雇、退職勧奨、雇い止め。コロナ禍での労働契約の終了についての労働問題の解決。
労働組合による団体交渉、裁判所を利用した民事訴訟・労働審判を利用した解決をめざすことができます。
まずは労働組合による団体交渉を選ぶことをおすすめしますが、争いによる解決をめざしたくない方は(厚生労働省)労働局によるあっせんを利用してみましょう。
会社があっせんに参加しない、あなたがあっせんの内容に納得できない場合、どちらでも民事訴訟や労働審判といった裁判所を利用した解決に移行できます。
労働組合による団体交渉での解決をめざさないのであれば、まずは労働局によるあっせんで労働問題の解決をめざしてみてはいかがでしょう。
私(特定社会保険労務士・小倉健二)はあなたの代理人として、労働局によるあっせんによる解決をお手伝いします。
【編集後記】
熱海の土石流による被害。山の上方の盛土が関わっているのではないかとの報道に驚きました。
水は高きから低きに流れる。重力で重いものは下に落ちる。当たり前の話です。
20年くらい前に聞いたとある職場の話です。賃貸契約で使っていた配送部門の倉庫、出入りするシャッターの真上に大量のパイプがワイヤーで吊られているという。パイプが落ちてくるのではないかと不安だから撤去するように管理部門に求めたというのです。当たり前の話です。ところが、倉庫を借りたときからパイプが吊ってあったので賃貸借契約を終了するときに現状回復しなければならないから、お金をかけてもっと丈夫なワイヤーで吊るすとの回答が管理部門からあったというのです。あまりの話に驚きました。毎日利用するシャッターの上部に危険物であるパイプを吊るす必要なんかあるわけがありません。倉庫を利用する上で危険だから撤去するように大家に求めなければいけないのに、借り主がお金をかけて吊り直すというのです。古い使っていない鉄パイプ。捨てるだけの話なのにお金をかけて危険な状態を維持する。熱海の山上の盛り土と発想が共通していて思い出しました。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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