【非正規訴訟】最高裁判決を読もう!賞与・退職金、手当・休暇

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やっと勝った!ここまできたのに負けた。
非正規労働者にとって明暗が分かれた最高裁判所の判断。

不合理か、合理的かが争われた「非正規」労働者への差別。
それぞれの事件の最高裁判所の判決文を読んでみましょう。

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不合理か、合理的か?「非正規」労働者への差別。最高裁の判決文を読んでみよう

勝ち取った成果をこれからの労働条件向上に役立てることが大切です。

そして、負けた部分は旧労働契約法20条についてのものとして、あらたに現行法での戦い方を模索していく必要があります。裁判の話としてだけではなく。

新聞やネットで判決の評価はさまざま出ていますので参考にみていきましょう。

そして、自分自身で判決文そのものを読んでみましょう。

なぜ、新聞やネットでは判決に対してそのように評価しているのか1次資料(判決文)を読んで、自分でも考えてみましょう。

非正規労働者への退職金の不支給が不合理な差別ではないと判断された東京メトロ事件では、補足意見と反対意見が出されています。

補足意見と反対意見、とくに反対意見を読んでいただければと。

判決文は最高裁判所のホームページから見ることができます。

裁判所ホームページ

自分自身で判決文を読んでみましょう。そして、できれば自分で評価してみましょう。

判決文を探す方法はこちらの記事で紹介しています。
判決文を読んでみたい『裁判例情報』を使って判例を無料で調べる方法

今回の記事では、判決文のURLを紹介していますので、この記事の中にあるリンクから判決文を読めます。

さあ早速、判決文を読んでみましょう!

非正規社員に対する扶養手当・夏期冬期休暇等の不支給は「不合理」な差別

年末年始勤務手当・年始祝日給・扶養手当、夏期冬期休暇の不支給、私傷病による有給での休暇

それぞれの不支給が非正規労働者への不合理な差別として判断されました。

(2020年10月15日最高裁判所第1小法廷判決)

【年末年始勤務手当・年始祝日給・扶養手当の不支給】日本郵便事件(大阪)

無期契約労働者に対して年末年始勤務手当,年始期間の勤務に対する祝日給及び扶養手当を支給する一方で有期契約労働者に対してこれらを支給しないという労働条件の相違がそれぞれ労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例

<判決文>
令和元年(受)第794号,第795号 地位確認等請求事件 令和2年10月15日 第一小法廷判決

【私傷病による有給での休暇の不支給】日本郵便事件(東京)

私傷病による病気休暇として無期契約労働者に対して有給休暇を与える一方で有期契約労働者に対して無給の休暇のみを与えるという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例

<判決文>
令和元年(受)第777号,第778号 地位確認等請求事件 令和2年10月15日 第一小法廷判決

【夏期冬期休暇の不支給】日本郵便事件(佐賀)

無期契約労働者に対しては夏期休暇及び冬期休暇を与える一方で有期契約労働者に対してはこれを与えないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たるとされた事例

<判決文>
平成30年(受)第1519号 未払時間外手当金等請求控訴,同附帯控訴事件 令和2年10月15日 第一小法廷判決

非正規社員に対する賞与・退職金の不支給。「不合理」な差別ではない

非正規職員への賞与や退職金の支給について争われた2件で、一部支払いを命じた高等裁判所判決を変更して、不支給は不合理な差別ではないと判断されました。

(2020年10月13日最高裁判所第三小法廷判決)

【賞与の不支給】大阪医科大学事件

無期契約労働者に対して賞与を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例

<判決文>
令和元年(受)第1055号,第1056号 地位確認等請求事件 令和2年10月13日 第三小法廷判決

【退職金の不支給】東京メトロ事件

無期契約労働者に対して退職金を支給する一方で有期契約労働者に対してこれを支給しないという労働条件の相違が労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの)20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例

<判決文>
令和元年(受)第1190号,第1191号 損害賠償等請求事件 令和2年10月13日 第三小法廷判決

【編集後記】

裁判に訴えて最高裁まで進んできた原告の方、原告を支援して活動してきた皆様に心から敬意を表します。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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