【解雇・退職勧奨に応じて退職】自己都合退職の扱いにしたがる会社は、助成金を受け取りたいからかもしれない

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退職勧奨されて退職したのに、自己都合退職したことにされそうになる。
退職勧奨・解雇をした会社は雇用関係助成金を受けとれなくなる。
このために自己都合退職にしようとしている場合もあります。気をつけましょう。

解雇・退職勧奨に応じて退職したのに自己都合退職の扱いにしたがる会社。助成金を受け取りたいからかもしれない

退職をめぐる労働問題で、会社都合退職にした労働者を自己都合退職に切り替えたいという申し出があったという相談を受けたことがあります。

無断欠勤したあとで出勤しようとしたところ、復職が認められなかった方でした。

会社都合退職で失業手当(基本手当)を有利にするからという人事担当者からの説得もあって退職しました。

ところが人事担当者より上位の役職から、自己都合退職として処理をし直したいという申し入れがあったというのです。

この退職した労働者が会社都合退職となっていると、助成金が受けとれなくなってしまうことがわかり、あわてて申し入れがあったのでした。

【雇用関係助成金】退職勧奨・解雇した会社は受け取れない

雇用関係助成金に共通する要件として、退職勧奨を含めて解雇などをしていないことがあります。

算定対象となった期間(支給申請を行った年度の直近年度及び当該会計年度から3年度前の期間)に ついて、雇用する雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者および日雇労働被保険者を除く)を事業主都合 によって解雇等(退職勧奨を含む)していないこと

雇用関係助成金共通の要件 厚生労働省

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

たとえば、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)で会社が受けとれる助成金は、対象労働者の類型と企業規模に応じて1人あたり上限で表の支給額です。

【対象労働者】
短時間労働者以外の者
支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
1 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母など 60万円
(50万円)
1年
(1年)
30万円×2期
(25万円×2期)
2 重度障害者等を除く身体・知的障害者 120万円
(50万円)
2年
(1年)
30万円×4期
(25万円×2期)
3 重度障害者等
(重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者及び精神障害者)
240万円
(100万円)
3年
(1年6か月)
40万円×6期
(33万円※×3期)
※第3期の支給額は34万円
【対象労働者】
短時間労働者(1週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者)
支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
4 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 40万円
(30万円)
1年
(1年)
20万円×2期
(15万円×2期)
5 重度障害者等を除く身体・知的障害者 80万円
(30万円)
2年
(1年)
20万円×4期
(15万円×2期)

「()」内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース) 厚生労働省

【離職証明書】署名・押印する前に!「離職理由」を必ず確認する

会社都合退職・解雇の場合と、自己都合退職や労働者の責めに帰すべき事由による解雇(懲戒解雇)。

会社をやめたあとに受け取れる失業手当(雇用保険の基本手当)の待遇がまったく異なります。

会社都合退職・解雇の場合は、ハローワークで手続きをして7日間の待機期間が終わるとすぐに失業手当を受けることができます。

自己都合退職や懲戒解雇(労働者の責めに帰すべき事由による解雇)の場合には、7日間の待機期間のあとにさらに2ヶ月(離職が多い人は場合によって3ヶ月)待たないと失業手当を受けられません。

会社都合退職・解雇の場合は、失業手当を受け取れる最大日数も増えますので、受けとれる失業手当の総額も大きくなります。

離職証明書に署名・押印する前に、「離職理由」を必ず確認しましょう。

こちらの記事で詳しく紹介しています。

【失業手当】退職勧奨で退職した。自己都合扱いで損しないための注意

離職証明書の離職理由は、確認して、事実に合った内容で書いて署名・押印しましょう!

【失業手当】自己都合退職の給付制限2ヶ月へ短縮(2020/10/01〜)

【編集後記】

週末に引き続いて今日も暖かく春の陽気です。
今朝は少しジョギングしただけで汗をかいてしまいシャワーを浴びました(^^)。

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梅の花もきれいに咲いていました。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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