倒産・解雇での離職。
体調が悪く仕事が続けられなくて仕方なく退職したなど正当な理由による離職。
失業手当(雇用保険の「基本手当」)の特定受給資格者・特定理由離職者の方は、届出ることで国民健康保険料の軽減措置をうけられます。
Contents
倒産や解雇・雇止め・やむを得ない理由による辞職での失業者は、国民健康保険料が軽減される
会社をやめると健康保険の被保険者ではなくなります。
健康保険の被保険者でなくなると、国民健康保険に加入するか、加入していた健康保険の任意継続被保険者となるか、家族の健康保険の被扶養者になります。
健康保険被保険者の家族の被扶養者となれるのでしたら、保険料を払わないので助かります。
しかし、失業手当(雇用保険の基本手当)を受給中の方は基本的に被扶養者となれません。
任意継続被保険者となるか国民健康保険に加入するかは、被扶養者となる家族の方がいる場合は家族の保険料も合わせて、どちらの保険料が安くなるか比べて決めることになります。健康保険の任意継続被保険者となった場合は会社が払っていた分の保険料も自分が払うことになります。
会社員だったときには、健康保険の保険料は半額以上が会社負担でした。
会社をやめて国民健康保険に加入することになると、保険料の高さに驚くかもしれません。
「失業して給料が受けとれなくなったのに、公的な医療保険である国民健康保険料が高くて払えない・・・」
倒産や解雇(重責解雇をのぞく)・雇止め、正当な理由による辞職による失業者の方は、届出ることで国民健康保険料の軽減措置が受けられます。
国民健康保険料の軽減措置が受けられるのは、失業手当(雇用保険の基本手当)の特定受給資格者・特定理由離職者の方です。
基本手当をうけることができない65歳以上の方が離職した場合は、国民健康保険料の軽減の対象とはなりません。
国民健康保険料の軽減措置
失業手当(雇用保険の基本手当)の特定受給資格者・特定理由離職者の方は、本人の給与所得が30%で計算されますので、国民健康保険料が軽減されます。
届出をしないと、国民健康保険料の軽減は行われません。
市区町村の国民健康保険の窓口に問い合わせをして、届出の方法を確認しましょう。
国民健康保険料が軽減されるのは、離職日の翌日の月分からその翌年度末までです。
国民健康保険法施行令29条の7の2(特例対象被保険者等に係る特例)
(1項) 世帯主の世帯に属する被保険者又は特定同一世帯所属者が特例対象被保険者等である場合における前条第2項から第5項までの規定の適用については、同条第2項第4号中「規定する総所得金額」とあるのは「規定する総所得金額(次条第2項に規定する特例対象被保険者等の総所得金額に所得税法第28条第1項に規定する給与所得が含まれている場合においては、当該給与所得については、同条第2項の規定によつて計算した金額の100分の30に相当する金額によるものとする。次号において同じ。)」と、「同条第2項」とあるのは「地方税法第314条の2第2項」と、同条第5項第1号中「総所得金額」とあるのは「総所得金額(次条第2項に規定する特例対象被保険者等の総所得金額に所得税法第28条第1項に規定する給与所得が含まれている場合においては、当該給与所得については、同条第2項の規定によつて計算した金額の100分の30に相当する金額によるものとする。次号及び第3号において同じ。)」と、「所得の金額(同法」とあるのは「所得の金額(地方税法」とする。
2項 前項に規定する特例対象被保険者等とは、都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者又は特定同一世帯所属者のうち次の各号のいずれかに該当する者(これらの者の雇用保険法(昭和49年法律第116号)第14条第2項第1号に規定する受給資格(以下この項において「受給資格」という。)に係る同法第4条第2項に規定する離職の日の翌日の属する年度の翌年度の末日までの間にある者に限る。)をいう。
1号 雇用保険法第23条第2項に規定する特定受給資格者
2号 雇用保険法第13条第3項に規定する特定理由離職者であつて受給資格を有するもの
国民健康保険料の軽減措置を受けられる特定受給資格者・特定理由離職者とは?
届け出をすることで国民健康保険料の軽減措置が受けられるのは、倒産や解雇(重責解雇をのぞく)・雇止め、正当な理由による辞職による失業者の方です。
具体的は、特定受給資格者・特定理由離職者の方が対象になります。
特定受給資格者・特定理由離職者の方は、市区町村に届出ることで国民健康保険料の軽減措置が受けられます。
特定受給資格者
特定受給資格者とは、倒産・解雇(重責解雇以外の解雇)で離職した方のことです。
Ⅰ 「倒産」などにより離職した方
- 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等)に伴い離職した者
- 事業所において大量雇用変動の場合 (1か月に30 人以上の離職を予定 ) の届出がされたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職したため離職した者
- 事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
- 事業所の移転により、通勤することが困難となったため離職した者
「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」2022.4 厚生労働省
Ⅱ 「解雇」などにより離職した方
- 解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
- 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
- 賃金 (退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者
- 賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85% 未満に低下した(又は低下することとなった)ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
- 離職の日の属する月の前6か月間のうちに3月連続した45時間、1月で100時間又は2〜6月平均で月80時間を超える時間外労働及び休日労働が行われたため、又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
- 事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者
- 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行っていないため離職した者
- 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者
- 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記8に該当する者を除く。)
- 事業主又は当該事業主に雇用される労働者から就業環境が著しく害されるような言動を受けたことによって離職した者
- 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者 (従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)
- 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者
- 事業所の業務が法令に違反したため離職した者
「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」2022.4 厚生労働省
特定理由離職者
特定理由離職者とは、期間のさだめがある労働契約で働いていた方で本人が希望していたものの契約が更新されずに離職した方、正当な理由のある自己都合退職による離職者の方のことです。
Ⅰ 契約更新を希望したが雇止めされて離職した方
(「特定受給資格者の範囲」の Ⅱの8又は9に該当する場合を除く。) (※)
(※) 労働契約において、契約更新条項が ` 契約を更新する場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確約まではない場合がこの基準に該当します。
「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」2022.4 厚生労働省
Ⅱ 「正当な理由のある」自己都合退職により離職した方
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
- 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
- 父茄しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
- 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
- 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
i) 結婚に伴う住所の変更
ii) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
iii) 事業所の通勤困難な地への移転
iv) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
v ) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
vi) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
Vi) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避 - その他、上記「特定受給資格者の範囲」のⅡの11に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
(※) 給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。
失業等給付(基本手当)の所定給付日数は、特定受給資格者及び I 以外の通常の離職者と同じです。
「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準」2022.4 厚生労働省
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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