支給漏れの生活保護費はさかのぼって支給されるのか?

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年金(障害基礎年金や障害厚生年金などの公的年金)は5年間さかのぼって(遡及して)支給されます。
生活保護費はどうでしょうか。遡及して支払われるのでしょうか?

生活保護費の遡及支給(追給)は3ヶ月程度までが行政の見解<原則>

保護費の遡及支給(過去分にさかのぼって生活保護費を追加して支給する)は、3ヶ月を限度とする運用を行政では行なっています。<原則>

保護費の遡及支給を3ヶ月を限度とする理由を行政は3つあげています。

理由1:もともと受給者に申告義務がある

生活保護法第61条(届出の義務)

被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。

理由2:行政処分の安定性を確保する

行政処分の安定性を確保するために3ヶ月としているのは、行政不服審査法の不服申立期間が3ヶ月であることとの整合性が理由とされています。

行政不服審査法(審査請求期間)第18条

処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。

理由3:生活保護は生活の困窮に対して直接的に対応する制度である

生活保護の扶助費は生活困窮に直接的に対処として考える限り、3ヶ月を超えて遡及する期間の最低生活費を追加支給することは妥当でない。

5年分まで遡って生活保護費が支給される場合がある

生活保護費の遡及支給を3ヶ月を限度とする行政の運用には問題があります。

行政が生活保護世帯の需要についての調査を怠ったことにより保護の変更がされなかった結果、生活保護費が増額(加算)されず生活保護利用者に不利益が生じた場合の考慮がされていません。

生活保護法25条2項

保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、速やかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。前条第四項の規定は、この場合に準用する。

行政が生活保護世帯の需要について発見されても最大3ヶ月分しか遡及して支給しないのであれば、行政が調査すれば生活保護世帯の需要を発見・推認できたとしても、調査が遅れれば遅れるほど生活保護利用者の不利益が大きくなります。

保護費の過払いについては時効による5年分まで全期間さかのぼった返還が求められていて、過払いは5年遡及するのに、過小払いは3ヶ月遡及しかしないという不均衡となっています。

Amazon 『生活保護手帳 別冊問答集 2018年度版』(中央法規)414〜417ページ 参照・引用

Amazon 『Q&A 生活保護手帳の読み方・使い方 (よくわかる 生活保護ガイドブック1)』(明石書店)145ページ 参照・引用

Amazon『生活保護手帳 2018年度版』参照

厚生労働省は1990年(平成2年)3月に遡及限度を超えて保護費を支給できる場合を示しています。

生活保護費を5年分遡及して支給される場合とは

厚生労働省は1990年(平成2年)3月の生活保護関係全国係長会議で、遡及限度を超えて保護費を支給できる場合を示しています。そして、それにもとづいて運用例を示している自治体があります。

東京都の場合

たとえば、東京都では以下の5つの条件がすべて満たされた場合は5年間を限度にさかのぼって支給できると説明されています。

5年間を限度にさかのぼって支給できる東京都の場合

(5つの条件がすべて満たされた場合は5年間を限度にさかのぼって支給できると説明)

実施機関に必要な届け出が行われていたこと

(届出が行われなかったことについて被保護者になんの過失もないと判断される場合は、届出は不要である)。

被保護者になんの過失もないこと。
届出に対応する処分がまったくされていなかったこと。
遡及支給期間が5年より短いこと。
遡及して支給される保護費が自立更生にあたられること。

精神障害者保健福祉手帳2級の方に対して障害者加算を支給していなかったことに対して生活保護利用者の方が裁判に訴えた例もあります。

東淀川区福祉事務所長は精神障害者保健福祉手帳の申請時点で検診書を自ら発行し原告の障害の程度を十分に知っていたところから手帳取得時点までさかのぼって障害者加算を支給するべきだと原告は訴えました。

被告である大阪市は原告(生活保護利用者の方)の訴えを認め1年間の障害者加算をさかのぼって支給したことで、原告は訴えを取り下げました。

Amazon 『生活保護法的支援ハンドブック』 P280

総務省の報道資料『支給漏れとなっていた生活保護費が全額支給されました!』

支給漏れとなっていた生活保護費が全額支給されました 総務省報道資料

http://www.soumu.go.jp/main_content/000629005.pdf

支給漏れとなっていた生活保護費が全額支給されました!(総務省)

資料によると、「 宮古島市では」「支給漏れに至った経緯に鑑み、遡及して支給できないとしていた2年2か月分について支給することを決定し、平成31年3月15日付けで支給を行った。」とあります。

【編集後記】

生活保護費の障害者加算が支給されていなかったことがわかったという生活保護利用者の方からの相談があって調べてみました。

もやいに電話相談(質問)して、原則として過去3ヶ月分しか遡及しないこと、過去5年分まで遡及して生活保護費が支給される場合があることがわかりました。

認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい

5年間遡及支給される場合なのではないか?と思われた方は弁護士などに相談してみてはいかがでしょうか。

首都圏生活保護支援法律家ネットワーク
常設 048-866-5040
平日 午前10時から午後5時まで

今日の1日1新

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新しいMacBookAir(2019)が昨日2019/07/09発表・発売されApple Storeで今日注文。
届くのが楽しみです。

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小倉 健二 ( 特定社会保険労務士 )東京都 ※相談は新宿近辺にて

小倉健二(おぐらけんじ) 1965年生まれ54歳。連れ合い(妻)と子ども2人。 労働者の立場で労働問題に関わって30年。 2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格
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