労働契約の成立と労働条件の明示義務

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あなたが会社で働くということは労働契約が締結されるということです。
労働契約とはどういうことでしょうか。
労働契約を締結するときに会社があなたにしなければならない労働条件の明示と合わせて見てみましょう。

【労働契約】とは

契約は申込みの意思表示と承諾の意思表示が合致することで成立します。

法律による定めがあるなど特別な場合を除いて、契約書などの書面がなくても口頭でも契約は成立します。

労働契約も当然契約の1つで、労働者は使用者の指揮命令下で労働力を提供し、使用者は労働者に対価として賃金を支払う、売買契約と同じように双務・有償の契約です。

個別の労働者と使用者(会社)とが労働者が労働力を提供し使用者が賃金を支払うことを合意することで労働契約が成立します。

労働契約法6条

(労働契約の成立)
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

【労働条件の明示義務】

労働者が使用者に使用されて労働し使用者が賃金を支払うことで労働者と使用者とが合意すると労働契約が成立しますので、契約書など書類がなくても口頭だけでも労働契約は成立します。

しかし、戦前は使用者が労働条件を示さずに労働契約を締結することが多く、募集員がウソをついて労働者がだまされてしまい、思ってもいなかった低い労働条件で働かされることになりました。

そこで、使用者は労働契約を締結するときに、労働者に対して賃金そのほかの労働条件について明示しなければならず、その一部は書面を交付(書類を渡す。または労働者が希望したときは書面として出力できるFAX・mail・SNSなど。)しなければならないことが労働基準法で義務付けられています。

労働基準法15条1項(労働条件の明示)

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

明示しなければならない労働条件

労働基準法15条1項にもとづき厚生労働省令で定められた明示事項・明示方法

必ず明示しなければならないこと
(1〜6については書面、または労働者が希望したときは書面として出力できるFAXやmailなど)
1 契約期間に関すること
2 期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること
3 就業場所、従事する業務に関すること
4 始業・終業時刻、休憩、休日などに関すること
5 賃金の決定方法、支払時期などに関すること
6 退職に関すること(解雇の事由を含む)
7 昇給に関すること
定めをした場合に明示しなければならないこと
1 退職手当に関すること
2 賞与などに関すること
3 食費、作業用品などの負担に関すること
4 安全衛生に関すること
5 職業訓練に関すること
6 災害補償などに関すること
7 表彰や制裁に関すること
8 休職に関すること

労働条件通知書

労働基準法やパートタイム労働法で明示を義務付けられた労働条件が含まれた「労働条件通知書」が厚生労働省から公開されています。

労働契約を締結する際に、書面の交付も合わせた労働条件の明示がされない場合は厚生労働省の「労働条件通知書」書式を会社に渡して記入して提出するように求めてはいかがでしょうか?

労働条件通知書1

労働条件通知書2

労働条件通知書は、厚生労働省のホームページ 主要様式ダウンロードコーナー からダウンロードできます

【編集後記】

「内向型」労働者の方は、労働契約を締結するときに会社に対して労働条件の明示を求めるのを気が引けてためらってしまうかもしれません。

しかし、働きはじめてからこんなはずじゃなかった・・・ということになったら働き続けるのが難しく感じてしまうのではないでしょうか?

強く自分を主張するようで気が引けるなら、厚生労働省のホームページから「労働条件通知書」を印刷して持っていきましょう。

厚生労働省の「労働条件通知書」には【記載要領】が詳しく書かれていますから、あなたが細かく説明しなくても社長など会社の採用責任者が読めばはっきりとわかる内容になっていますから。

厚生労働省の「労働条件通知書」を手渡して、これに記入して交付してくださいと言うだけでも大丈夫です(^^)。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格