年金VS生活保護ではない。年金受給者も生活保護を受けられます。

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年金を受け取っている方より、生活保護費を受けている方の方が受け取れる金額が多いのはおかしいという話が出ることがあります。

年金と生活保護を対立させて足の引っ張り合いをさせる間違った議論の立て方です。

年金VS生活保護なのか。

生活保護費は例えば東京都区部等で高齢者単身世帯(68歳)で1ヶ月約8万円(79,790円)です。

2018年度の国民年金の老齢基礎年金のが満額で年間約78万円(779,300円)です。

1ヶ月では約6万5千円(64,941 円)です。

生活保護費の金額は一例にすぎませんが、
国民年金を受け取っている方は生活保護費より1ヶ月で約1万5千円少ないので、年金保険料を支払って年金を受け取る方が損しているのでしょうか?

そうではありません。

年金を受け取っていても生活が苦しければ、生活保護を受けられます。

先ほどの例、東京都区部で単身で暮らしている高齢者の方を考えてみます。

この方は、1ヶ月生活していくのに約8万円必要だとします。

約6万5千円の年金だけでは生活できず毎月1万5千円づつ貯金を切り崩して生活してきました。
仕送りをしてくれる方もいません。
子どもはいますが、自分と子どもとの生活で精一杯です。
あるいは、子どもとは関係が悪く援助をしてもらうことができません。
切り崩してきた貯金も底をついてしまい、今月からは生活するのに1万5千円どうしても足りません。

東京都区部で単身で暮らしている方が受けられる生活保護費は約8万円でした。

この方は受け取っている年金の月額約6万5千円との差額約1万5千円の生活保護費を受け取ることができます。

また、この方がもし体調が悪くなって病院に通院したり薬の処方を受けて薬も飲む必要がある、場合によっては入院する必要がある場合はどうなるでしょうか。

これまでの生活費の他に医療費が必要になります。

このような場合は、生活保護から医療扶助を受けることができます。
費用は直接医療機関へ支払われますので、本人負担なしで医療を受けることができるのです。

年金VS生活保護ではないのです。年金受給者も生活保護受けられるのです。

健康で文化的な最低限度の生活をするために、生活保護は誰でも受けられる制度

年金受給者と生活保護受給者とを比べて、年金VS生活保護ではない。対立して考えるものではないことを見てきました。

このことは、“老齢”年金受給者だけの問題ではありません。

“障害年金”受給者の方も同じです。

2018年度の国民年金の障害基礎年金の2級の方が受け取る年額は老齢基礎年金の満額と同じ約78万円(779,300円)です。
1ヶ月約6万5千円(64,941 円)です。

国民年金の障害年金を受け取れるようになったけれど、1ヶ月約6万5千円では生活できないという声を聞きます。

たとえばあなたは東京都区部で暮らす単身世帯の方です。あなたが生活するのに1ヶ月に13万円が必要な場合を考えてみます。

会社員をやめてアルバイトをして月8万円稼いで貯金を6万円ずつ切り崩しながら生活していました。

病気またはケガで障害の状態になり国民年金の障害基礎年金2級を受給することになりました。

切り崩していた貯金もなくなり、毎月の生活に必要な金額が7万5千円不足してしまいます。

幸い福祉作業所で働くことになり1ヶ月に2万円受け取ることができるようになりました。

毎月支払っていた国民年金の保険料16,340円は法定免除となり支払わなくてすむようになりました。

その他減額を受けたり免除されたりするものがありましたが、生活していくのにどうしても1ヶ月に3万円不足してしまいます。

50歳代の単身世帯の生活扶助の基準額は133,860円です。
この方が生活するのに1ヶ月に必要な金額は13万円でした。

年金や働いて得る収入を合わせて8万5千円です。

不足する4万5千円を生活保護を受けることができます。

もしも、あなたが年金を受給していないという方だったらどうでしょうか。

若くて会社で働いている方だったとしたら、
あなたにとっては生活保護は関係ないでしょうか。

そんなことはありません。

あなたは今、元気で働いているかもしれません。

しかし、うつ病になって働けなくなってしまうかもしれません。
病気がよくなり回復するまでには何年か必要になるかもしれません。

働きすぎて過労で体調を崩して働けなくなるかもしれません。

過労で働けなくなったら、労働災害として労災保険からお金を受け取れる、裁判に訴えて安全配慮義務違反で損害賠償金を受け取れる、かもしれません。

しかし、労災申請しても難しいケースでは認定されるまで期間が長くかかるかもしれません。

労働基準監督署長からは労働災害ではないと判断されるかもしれません。労働保険審査官に審査請求してそこでも認められず、労働保険審査会に再審査請求をしてそこでも認められず、行政訴訟で争うことになるかもしれません。

その結果勝訴することもあれば敗訴することもあるでしょう。

労災保険で労働災害として認めらなかった場合は、健康保険から傷病手当金が受け取れます。
だいたい給料の1/3の額を受け取ることができますが最長で1年6ヶ月です。

働ける状態に回復していれば良いのですが、まだ働くまでには回復はしていないという場合は生活に困窮するということが考えられます。

養って育てるお子さんもいらっしゃるかもしれません。

いざという時に、誰であっても最低限度の文化的な生活を送ることができるための生活保障の制度、それが生活保護だということをおわかりいただけると思います。

生活保護を受けている方に対して、“あいつらズルイなー”ではないのです。

あなたも私も誰にとっても、いつ起きるかもしれない生活の困窮に対してのセーフティーネット、それが生活保護なのです。

生活保護では以下の内容のサービスを受けることができます。

生活を営む上で生じる費用 対応する 扶助の種類 支給内容
日常生活に必要な費用
(食費・被服費・光熱水費等)
生活扶助 基準額は、
1食費等の個人的費用(年齢別に算定)
2光熱水費等の世帯共通的費用(世帯人員別に算定)
を合算して算出。
特定の世帯には加算があります。(母子加算等)
アパート等の家賃 住宅扶助 定められた範囲内で実費を支給
義務教育を受けるために必要な学用品費 教育扶助 定められた基準額を支給
医療サービスの費用 医療扶助 費用は直接医療機関へ支払(本人負担なし)
介護サービスの費用 介護扶助 費用は直接介護事業者へ支払(本人負担なし)
出産費用 出産扶助 定められた範囲内で実費を支給
就労に必要な技能の修得等にかかる費用 生業扶助 定められた範囲内で実費を支給
葬祭費用 葬祭扶助 定められた範囲内で実費を支給

生活保護法 電子政府の総合窓口 e-Gov[イーガブ]

(この法律の目的)
第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
(無差別平等)
第二条 すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。
(最低生活)
第三条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

7/17(火)PM9時スタート『健康で文化的な最低限度の生活』ドラマをみよう

生活保護受給者(と申請者)と行政のケースワーカーとを描いたマンガ「健康で文化的な最低限度の生活」が連続テレビドラマ化されました。

カンテレ・フジテレビ系にて、7月17日より火曜21時に放送されます。

原作の良さが生きた良いドラマになってほしいと思います。

原作の漫画は6巻まで発売されています。

主人公は新人の生活保護のケースワーカー。
生活保護のことをわからずに公務員となって配属されたのが生活保護の部署でした。

彼女と同じ部署で働くケースワーカーから見える生活保護受給者・申請者はテレビなどマスコミで報道されるような問題のある方に見えます。

意識なく上から目線でみている生活保護受給者・申請者と、話をして、接している中で、1人ひとりの人間・人生はそんなに簡単にわかった気になったり、切り捨ててよい存在ではないことが見えてくるマンガです。

生活保護受給者・申請者を悪く決めつけたり、生活保護行政の担当者(ケースワーカー)を一方的に悪く描いたり、どちらでもない描き方です。

生活保護をめぐる行政の問題性はありますが、1人ひとりのケースワーカーもごく普通のサラリーマンが人事異動で担当することになるので、1人の人間としてのダメさの中で日常的に困った状況に立たされている描き方が良いと思うマンガです。

読んでいる自分が自分が人事異動でケースワーカーになったとしたらという視点でも見ることができます。

それでも、目の前でだらしなく見える生活保護受給者・申請者が生きることとそのための生活保護という視点から生活困窮な状態にいる方について考えるマンガです。

ドラマに合わせて、ドラマに先行して、原作のマンガも読んでみてはいかがでしょうか。

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小倉 健二 ( 特定社会保険労務士 )東京都 ※相談は新宿近辺にて

小倉健二(おぐらけんじ) 1965年生まれ54歳。連れ合い(妻)と子ども2人。 労働者の立場で労働問題に関わって30年。 2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格
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