緊急事態宣言は解除されて在宅勤務が終了して会社に出勤している方も多いようです。
緊急事態宣言解除されましたが東京アラートが発動されています。新型コロナウィルス感染症による感染の不安がなくなったわけではありません。
会社が新型コロナウィルス感染症による感染防止のための措置をしないので困っているという相談がきていますが、どうしたら良いでしょうか?会社の法的義務を知って対応を求めましょう。
Contents
会社は労働者への安全配慮義務がある(労働契約法5条)
労働契約法では、労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ働けるように配慮することを会社に義務付けています。
行政のホームページを見ると、命を守るため・命と健康のために三密を避けるようにと引き続き訴えています。
新型コロナウィルス感染症による感染で命・健康を守るために三密を避けることが必要だと行政も認めているわけです。
会社は労働者が働く上で三密(密閉、密集、密接)にならないようにする義務があるのです。
会社が会社がコロナ感染リスク低める措置をとり労働者への安全配慮義務をはたすように求めていきましょう。
労働契約法5条(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
会社は快適な職場環境の実現・労働者の安全と健康の確保義務がある(労働安全衛生法 3条1項)
労働安全衛生法では、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保することを会社に義務付けています。
快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、新型コロナウィルス感染症による感染のリスクを減らして職場における労働者の安全と健康を確保することは会社の義務なのです。
そして、常時50人以上の労働者が働いている職場でしたら衛生委員会を月に1回以上開催しなければなりません。
衛生委員会は形だけ開かれていて法が義務付けた内容が審議されていない場合があります。
衛生委員会は労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関して審議して会社に対して意見を言わなければならないことが決められています。
会社がコロナ感染リスク低める措置は労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策ですから、衛生委員会は審議して会社に対して意見を言わなければなりません(会社は意見をきく義務があります)。
衛生委員会を開催することと、衛生委員会で会社がコロナ感染リスク低める措置を審議し、会社は審議した内容と意見をきいて具体的な措置を取ることを求めていきましょう。
もしも、常時50人以上の労働者が働いていない職場であなたが働いていて衛生委員会を開く法的義務がなかった場合でも、会社は安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴く義務があります。
コロナ感染リスク低める措置を取るように意見を出して、会社の具体的な措置を求めていきましょう。
労働安全衛生法
(事業者等の責務)
第3条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。(以下略)
(衛生委員会)
第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。1 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
労働安全衛生法施行令
(衛生委員会を設けるべき事業場)
第9条 法第18条第1項の政令で定める規模の事業場は、常時50人以上の労働者を使用する事業場とする。
労働安全衛生規則
(委員会の会議)
第23条 事業者は、安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)を毎月1回以上開催するようにしなければならない。
2 前項に定めるもののほか、委員会の運営について必要な事項は、委員会が定める。
3 事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知させなければならない。
1号 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
2号 書面を労働者に交付すること。
3号 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。4 事業者は、委員会の開催の都度、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
1号 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
2号 前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なもの5 産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。
(関係労働者の意見の聴取)
第23条の2 委員会を設けている事業者以外の事業者は、安全又は衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければならない。
【三密】を避ける具体的な対策を会社に求めましょう
会社は労働者への安全配慮義務があります(労働契約法5条)。
会社は快適な職場環境の実現・労働者の安全と健康の確保義務があります(労働安全衛生法 3条1項)。
新型コロナウィルス感染症による感染防止のための措置を会社に求めましょう。
密閉、密集、密接の3つの密を避けるための具体的な措置をとり、労働者への安全配慮義務・労働者の安全と健康の確保義務を会社に果たさせましょう。
具体的には、官邸『3つの密を避けるための手引き!』などを参考にして、【三密】を避ける具体的な対策を会社に求めましょう。手引きを参考に下に例示してみます。
【密閉】を避ける
窓がある場合は、混ぜの流れができるように、1時間に2回以上1回あたり数分間、2方向以上の窓を全開にする。
窓が1つしかない場合、入り口のドアをあける、そして扇風機や換気扇を合わせて換気の効果を上げる。
窓がない場合は、機械換気だけでなくドアを開けることや1部屋の人数をへらす。
【密集】しないように、人と人の距離をとる
他の人との距離を2メートル以上とる。そのために隣の席の人や前の席の人との間隔をとるように机の位置を替える。
あるいは在宅勤務を取り入れることで、隣や前の席に人がいないように出勤する人数を調整する。
通勤電車は混雑した時間をさけるために時差出勤を取り入れる。
【密接】を避ける
電話を含めた会話や発声で目に見えなくてもウィルスを含んだ飛沫が飛びます。
会議や面談をなくすことやマスクの着用する。マスクは会社が支給するように求める。
【編集後記】
とくに「内向型」労働者の方は、会社に新型コロナウィルス感染症による感染防止のための措置を求めるのが難しいかもしれません。
口頭だけで主張するのが難しいのでしたら、労働契約法5条(労働者への安全配慮義務)、労働安全衛生法3条1項(職場環境の実現・労働者の安全と健康の確保義務)をはじめ、本記事で紹介した条文と官邸ホームページから「3つの密を避けるための手引き!」を印刷して手渡しながら話していてはいかがでしょう。
昨日の1日1新 ジェットストリーム エッジ 0.28mm
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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