【障害年金の請求】医師が初診日証明できないとき

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障害年金を請求するには、障害の原因となる病気やケガで初めて医師(・歯科医師)の診療を受けた日を証明する必要があります。

受診状況等証明書に医師が記入することで障害年金の初診日が証明されます。

病院が廃院してしまっているなどで、初診の医師による受診状況等証明書が作成できないことがあります。

初診の医師による初診日の証明を手に入れられない場合は、どうしたらよいのでしょうか。

受診状況等証明書

初診から2番目以降の病院で受診状況等証明書を記入してもらう

障害年金を請求するためには、初診日がいつなのか?特定することが重要です。

障害年金をうけとるために必要な3要件のすべてが初診日が特定されることで確認できるからです。

  • <加入要件>初診日に年金に加入していること(厚生年金。国民年金は例外あり)
  • <保険料納付要件>初診日の前日に年金保険料の納付要件をみたしていること
  • <障害等級該当要件>障害認定日(原則は初診日から1年6月を経過した日)に障害の状態にあること

障害年金の初診日とは、障害の原因となる病気やケガで初めて医師・歯科医師の診療を受けた日のことです。

障害年金の初診日は、初診の医師が受診状況等証明書に記入することで証明されます。

しかし、実際には初診に医師に受診状況等証明書を手に入れられないケースがあります。

カルテの保護義務は医師法で5年間と定められています。

医師法24条

(1項)医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。

2項 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならない。

初診の病院で最後に診療をうけてから5年をすぎてしまうとカルテが廃棄されてしまっている場合があります。

たとえば、幻聴に悩んでいる方がはじめて診療を受けた病院が近所の耳鼻科だったとします。

聴力の問題はなく、紹介をうけて大学病院の精神科へ転院しました。

その後、障害の状態が重くなり、初診から7年後に障害年金の2級に該当する状態になりました。

障害年金を請求する初診日が耳鼻科となる場合に、カルテの保存義務5年を過ぎたため、この耳鼻科でカルテが廃棄されて残っていないことがあります。

カルテをはじめ初診を証明できる記録が初診の病院に残っていないために初診日を証明する書類・受診状況等証明書を記入してもらえない。

初診の医師に受診状況等証明書を記入してもらえないときには、初診の医師から受診状況等証明書を受けられないことを「受診状況等証明書が添付できない申立害」に記入します。

そして、(初診の病院から転医した)2番目の病院でカルテなどから転医する前の初診の病院での初診日を受診状況等証明書に記入してもらいます。

2番目の病院で初診日の証明が受けられないときは、3番目、それでもダメなら4番目、5番目、6番目・・・。

古い順から受診してきた病院で繰り返して、初診日の証明を求めていきます。

初診日の確認フロー

初診の病院から2番目以降の病院でも受診状況等証明書を受けとれないときは、初診日が確認できる参考資料を探す

初診の医師による受診状況等証明書を得られず、初診の病院から転医した2番目以降の病院の医師からも受診状況等証明書を得られなかった。

医師による初診日の証明を受けられなかったときも、あきらめないようにしましょう。

初診日を確認するうえで、参考資料として扱うとされているものがありますので探してみましょう。

初診日を確認する参考となる資料
1 身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳 手帳では、交付日、蹄害等級、等級変更の履歴、慟病名(身体蹄害者手帳のみ) 等が確認できる 。
更新前の手帳も参考になる 。
2 身体障害者手帳等の申請時の診断書
3 生命保険、損害保険、労災保険の給付申請時の診断書 診断書 (写)では、傷病の発生日、傷病の原因、傷病の経過等を確認することができる。

本人が保管していない場合、
診断害を提出した市区町村の窓口、福祉事務所、保険会社等に提出した当時の診断密が保管されている場合がある 。

4 交通事故証明書 交通事故が原因である場合、交通事故証明書で事故発生日が確認できるので初診日を特定する資料となる。

ただし、警察に届け出ていない事故については、交通事故証明は交付できない。

5 労災の事故証明書 事故発生日、療蓑開始日等が確認できるので初診日を特定する資料となる。

ただし、労災の給付を申請していない事故については、労災の事故証明書はない。

6 事業所の健康診断の記録 事業所は、労働安全衛生法の規定により、健康診断の結果を5年間保管する義務があるので、本人が健康診断の結果を保管していない場合であっても、事業所に保管されている場合がある。

健康診断を受けた日(健診日)は原則、初診日として取り扱わないが 、初診時の医師の証明が添付できない場合であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申立てがあれば、健診日を初診日として取り扱うことができる。

7 インフォームド ・コンセントによる医療情報サマリー 傷病の発生からの治療の経過や症状の経過等が確認できるので、初診日を特定する資料となる 。

※ 「サマリー」とは、入院 ・外来通院患者の診療経過・治療経過を診療開始より現在まで時系列に集約し、現疾患の病状把握のために作成されるカルテの要約のこと 。

8 健康保険の給付記録
(健康保険組合や健康保険協会等)
初診日にかかる健康保険の給付記録が健康保険組合や健康保険協会に保管されている場合がある。
9 次の受診医療機関への紹介状 2番目以降の医療機関にて、前医について確認可能な場合があり、前医からの紹介で受診した場合は、その紹介状の写しを確認する。

また、受診状況等証明害に前医の医療機関名 、受診期間、診療内容が記入されている場合がある。

10 電子カルテ等の記録
(氏名、日付、傷病名、診療科等が確認されたもの)
患者の受診記録を電子カルテ等に保存している医療機関がある。

電子カルテ等を印字したものが添付されている場合は、初診日、診療科、傷病名を確認する 。

11 お薬手帳、糖尿病手帳、領収害、診察券
(可能な限り診察日や診療科が分かるもの)
お薬手帳では、処方箋を発行した医療機関等が確認できる。

糖尿病手帳では、手帳を発行した医療機朋と血糖値などの検査数値が確認できる。

領収書では、受診日、診療科等が確認できる。

診察券では、発行日(受診日)診療科等が確認できる。

12 被保険者記録原票 健康保険給付記録がオンライン管理となる前の記録については、被保険者記録原票より確認できる場合がある。

画面印字により、初診日の頃の給付記録があり傷 病 名や支給日、給付期間を確認する 。

13 第三者証明
(20歳前の障害基礎年金)
複数の第三者(民生委員、病院長、施設長、事業主、隣人等であって、諸求者の民法上の三親等内の親族は含まない。)証明により確実視される場合は、その証明により確認して差し支えないとしている。

ただし、第三者証明を行う者が、請求者の初診日頃又は 2 0 歳前の時期の受診状況を、

ア 直接的に見て認識していた
イ 請求者や請求者の家族等から 、請求者の初診日頃又は 2 0 歳前の時期に聞いていた
ウ 請求者や請求者の家族等から 、請求時から概ね5年以上前に聞いていた(概ね5年以内であっても、他の様々な賓料から本人申立ての初診日が正しいと合理 的に推定できる場合には、第三者証明として認めることができる。)

のいずれかに該当する瘍合に、その受診状況を申し立てるものであることが必要である。

睛求者が複数の第三者証明を取得することが困難である場合には、単数の第三者証明であっても、相当程度信憑性が高いと認められるものであれば、第三者証明として認めることができる 。

第三者証明により初診日を確認する場合には、可能な範囲で、本人申立ての初診日について参考となる賓料の活付を幅広く求め、それらの賓料との整合性や医学的判断等により第三者証明の信憑性を確認する。

14 第三者証明
(20歳前の障害基礎年金以外)
診察券や入院記録などの初診日について客観性が認められる他の参考査料があわせて提出された場合に、複数の第三者(民生委員、病院長、施設長、事業主、隣人等であって、請求者の民法上の三親等内の親族は含まない。)証明を、初診日 を合理的に推定するための参考賓料とし、初診日を認めても差し支えないとしている 。

ただし、第三者証明を行う者が 、請求者の初診日頃の受診状況を、

ア 直接的に見て認識していた
イ 訥求者や訥求者の家族等から 、請求者の初診日頃に問いていた
ウ 請求者や請求者の家族等から 、請求時から概ね 5 年以上前に聞いていた(概ね 5 年以内であっても、他の様々な資料から本人申立ての初診日が正しいと合理的に推定できる場合には、第三者証明として認めることができる。)

のいずれかに該当する場合に、その受診状況を申し立てるものであることが必要である 。

請求者が複数の第三者証明を取得することが困難である場合には、単数の第三者証明であっても、相当程度信憑性が商いと認められるものであれば、第三者証明として認めることができる。

なお、初診日頃に請求者が受診した医療機関の担当医師、看護師その他の医療従事者(初診日頃の受診状況を直接把握している者に限る)による第三者証明により 確実視される場合は、 医師の証明と同等の資料として、他に参考資料がなくとも、その証明のみで確認して差し支えないとしている 。

第三者証明により初診日を確認する場合には、可能な範囲で、本人申立ての初診日について参考となる資料の添付を幅広く求め、それらの資料との整合性や医学的判断等により第三者証明の信憑性を確認する。

15 その他 例えば、交通事故による請求で事故証明が取得できない場合は、事故のことが掲載されている新聞記事などが参考となる場合がある。

情報公開請求で入手した「障害年金審査業務マニュアル」(2020年8月版)日本年金機構 から引用

受診状況等証明書の代わりに「受診状況等証明書が添付できない申立害」に初診日を確認できる参考資料を添付する

受診状況等証明書を得られない場合には代わりに、上でみた初診日を確認するうえで参考となる資料を添付して、「受診状況等証明書が添付できない申立害」を提出して障害年金を請求します。

受診状況等証明書が添付できない申立書

初診日は、障害の原因となる病気やケガではじめて医師(・歯科医師)による診療を受けた日ですから、年月日で特定されます。

しかし、具体的に年月日として特定できない場合でも、

一定の期間内に初診日があると確認できるとき、病気の性質によっては医学的判断なども勘案して、本人が申し立てた日が初診日として認められるケースもあります。

医師による初診日の証明・受診状況等証明書が受けられない場合でも、あきらめずに初診日を確認するために参考となる資料がないか?できるかぎり探してみましょう。

【編集後記】

Amazon プライム・ビデオ パラサイト 半地下の家族(字幕版)

昨日(2020/11/19)は映画「パラサイト 半地下の家族」を観ました。

前半はマイケル・J・フォックスの「摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に」のようなコミカルな展開で楽しいのですが、後半は富者と貧者の2極がもたらす悲しい映画でした。

富者のいい人・やさしさとその本質が最終盤で明らかになります。

富者のやさしさが何だったのか明らかになったときに、悲しい結末を迎えます。

希望そのものが絶望でしかないラストは、いまどんな社会になっているのか「気づけよ」という警鐘なのかなと。

昨日の1日1新 1日1新  Amazon Payでの買い物

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      小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

      小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 ・30分無料zoomオンライン相談(期間限定)「相談・依頼の申込み」フォームから受付中。 1965年生まれ55歳。連れ合い(妻)と子ども2人。 労働者の立場で労働問題に関わって30年。 2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格
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