雇用保険の「就職困難者」に当てはまる方は、失業保険(雇用保険の基本手当)を受けとることができる「所定給付日数」が増えます。
就職困難者に当てはまると、所定給付日数が何日増えるのか?
どのような方が就職困難者に当てはまるのか?
雇用保険の就職困難者についての記事です。
Contents
「就職困難者」は失業保険(雇用保険の基本手当)の所定給付日数が長い
雇用保険の「基本手当」は、失業保険や失業手当と呼ばれることもあります。
この基本手当を受けとることができる日数は、会社を辞職したり解雇された「離職日」の年齢や被保険者であった期間で異なります。
基本手当を受けとることができる日数のことを「所定給付日数」といいます。
解雇など会社都合ではない自己都合退職の所定給付日数は、年齢に関わらず被保険者であった期間が10年未満の方は90日、10年以上20年未満の方は120日、20年以上は150日です。
「就職困難者」は自己都合か会社都合か離職理由に関わらず、被保険者であった期間が1年未満の方は90日から150日へと所定給付日数が増えます。
45歳以上65歳未満で被保険者期間が10年以上20年未満の方でしたら、所定給付日数が120日から360日へと3倍に増えます。
雇用保険法22条(所定給付日数)
(1項) 一の受給資格に基づき基本手当を支給する日数(以下「所定給付日数」という。)は、次の各号に掲げる受給資格者の区分に応じ、当該各号に定める日数とする。
1号 算定基礎期間が20年以上である受給資格者 150日
2号 算定基礎期間が10年以上20年未満である受給資格者 120日
3号 算定基礎期間が10年未満である受給資格者 90日
2項 前項の受給資格者で厚生労働省令で定める理由により就職が困難なものに係る所定給付日数は、同項の規定にかかわらず、その算定基礎期間が1年以上の受給資格者にあつては次の各号に掲げる当該受給資格者の区分に応じ当該各号に定める日数とし、その算定基礎期間が1年未満の受給資格者にあつては150日とする。
1号 基準日において45歳以上65歳未満である受給資格者 360日
2号 基準日において45歳未満である受給資格者 300日
失業保険の「就職困難者」とは
「就職困難者」に当てはまる方は、失業保険(雇用保険の基本手当)の所定給付日数が増えます。
身体障害者、知的障害者、精神障害者、特定の法律の規定で保護観察に付された方、社会的事情により就職がいちじるしく阻害されている方、5つのいずれかに当てはまる方は失業保険(雇用保険基本手当)の就職困難者になります。
身体障害者手帳か療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの障害者の方など、就職困難者に当てはまる方は、ハローワークで相談しましょう。
雇用保険法施行規則32条(法第22条第2項の厚生労働省令で定める理由により就職が困難な者)
法第22条第2項の厚生労働省令で定める理由により就職が困難な者は、次のとおりとする。
1号 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号。以下「障害者雇用促進法」という。)第2条第2号に規定する身体障害者(以下「身体障害者」という。)
2号 障害者雇用促進法第2条第4号に規定する知的障害者(以下「知的障害者」という。)
3号 障害者雇用促進法第2条第6号に規定する精神障害者(以下「精神障害者」という。)
4号 売春防止法(昭和31年法律第118号)第26条第1項の規定により保護観察に付された者及び更生保護法(平成19年法律第88号)第48条各号又は第85条第1項各号に掲げる者であつて、その者の職業のあつせんに関し保護観察所長から公共職業安定所長に連絡のあつたもの
5号 社会的事情により就職が著しく阻害されている者
就職困難者に当てはまることの確認について「雇用保険に関する業務取扱要領」で定められています。
「雇用保険に関する業務取扱要領」(令和4年4月1日以降)厚生労働省
(イ)障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第2号の身体障害者
身体障害者の確認は、給食登録票又は身体障害者手帳により行うものとするが、身体障害者とは、具体的には、次の身体障害がある者をいう。
a 次に掲げる視覚障害で永続するもの
(a)両眼の視力 ( 万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異状がある者については、矯正視力について測ったものをいう。以下同じ。) がそれぞれ 0. 1以下のもの
(b)1眼の視力が 0.02以下、他眼の視力が 0.6以下のもの
(c)両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
(d)両眼による視野の2分の1以上が欠けてぃるものb 次に掲げる聴覚又は平衡機能の障害で永続するもの
(a)両耳の聴カレベルがそれぞれ70 デシベル以上のもの
(b)1耳の聲カレベルが90 デシベル以上、他耳の聴カレベルが50 デシベル以上のもの
(c)両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50 パーセント以下のもの
(d)平衡機能の著しい障害c 次に掲げる音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
(a) 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の喪失
(b) 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の著しい障害で、永続するものd 次に掲げる肢体不自由
(a)1上肢、1下肢又は体幹の機能の著しいぃ障害で永続するもの
(b)1上肢のおや指を指骨間関節以上で欠くもの又はひとさし指を含めて1上肢の2指以上をそれぞれ第1指骨間関節以上で欠くもの
(c)1下肢をリスフラン関節以上で欠くもの
(d)1上肢のおや指の機能の著しい障害又はひとさし指を含めて1上肢の3指以上の機能の著しい障害で、永続するもの
(e)両下肢のすべての指を欠くもの
(f)(a)から(e)までに掲げるもののほか、その程度が(a)から(e)までに掲げる障害の程度以上であると認められる障害e 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害その他政令で定める障害 ( ぼうこう又は直腸の機能の障害、小腸の機能の障害、ヒト免疫不全ウイィルスによる免疫の機能の障害 ) で、永続し、かつ、日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるもの
(ロ)障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第4号の知的障害者
知的障害者とは、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医又は法第19条の障害者職業センターにより知的障害があると判定された者をいうものであり、その確認は、給食登録票又は療育手帳により行うものとする。
(ハ) 障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第6号の精神障害者
精神障害者とは、障害者のうち、次の a 又は b のいずれかに該当するものであって、症状が安定し、就労が可能な状態にあるものをいう。
a 精神保健福祉法第45条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
b 統合失調症、そううつ病 ( そう病及びうつ病を含む。 ) 又はてんかんにかかっている者 ( aに該当する者を除く。 )
なお、双極性障害とそううつ病は同義であることに留意すること。
(ニ)(ホ)は略
ハローワークで失業保険の受給手続きをした後からでも就職困難者として所定給付日数を増やせる
就職困難者に当てはまる場合には失業手当の所定給付日数が増えることをしらずに、失業保険手続きをするときにハローワークで伝えていなかった。そんな場合もあります。
ハローワークで失業保険の受給手続きをした後からでも、就職困難者として所定給付日数を増やすことができます。
(ただし、ハローワークで手続きをしたあと、受給資格決定後に就職困難な状態が生じた方は対象となりません。)
失業手当を受けとることができる期間の終了日の翌日から2年以内であれば、就職困難者として所定給付日数の変更ができます。
ハローワークに連絡して相談しましょう。
【編集後記】
録画しておいたクイズ番組を家族で見ながら晩ごはんを食べることが多いです。
子どもよりも連れ合い(妻)に先にサッと回答されてしまい、歯が立ちません。
クイズに強くなる方法は何かないだろうか?アプリでも探してみようかなと。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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