マタハラに負けない!厚生労働省・労働局の援助を受ける

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出産するなら会社をやめろと言われても、法律が許さないことを言っているのだと知って踏みとどまっていただきたいと思います。
そして必要なときには厚生労働省・労働局による援助を求めましょう。
自分1人で職場の問題を解決できる場合は良いのですが、そうではないことが多いものですから。

マタハラ(マタニティ・ハラスメント)とは

妊娠出産育児休業 介護休業などを理由とする解雇は法律で禁止

マタハラとは、妊娠出産やそれにともなう休暇などの制度利用に起因して労働者の就労環境を害することです。

マタハラ(マタニティ・ハラスメント) 2大別
1 妊娠・出産したこと、育児のための休業などの制度を利用したこと等を理由とする解雇や契約を更新しないなどの不利益取扱いをすること 不利益取扱い
2 妊娠・出産したこと、育児のための休業などの制度を利用したこと等を理由として、上司・同僚が就業環境を害する言動を行うこと ハラスメント

もしも、あなたが当事者本人ではなくて妊娠したあるいは出産した労働者の同僚や上司でしたら動画「マタニティハラスメントの現実」(厚生労働省)を見て、マタハラについて知りましょう。

そんなつもりではなかったのだけど・・・とならずに、あたたかく接することができるようになりましょう。

マタハラは許されない

「出産するなら会社をやめろ!」は法律違反。許されないこと

「出産するなら会社をやめろ!」「退職届をだせ」と言われたという話は実際にあります。驚くことですけれど。

もちろん、違法で許されないことです。

解雇など不利益取扱いの禁止 内容 根拠法
妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止 会社は、女性労働者が妊娠・出産、産前・産後休業の取得、妊娠中の時差通勤等男女雇用機会均等法による母性健康管理措置や深夜業免除等労働基準法による母性保護措置を受けたこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをしてはならない。 男女雇用機会均等法9条3項
妊娠中・産後1年以内の解雇無効 
妊娠中及び産後1年以内の女性労働者に対してなされた解雇は、事業主が妊娠・出産、産前・産後休業を取得したこと等を理由とする解雇でないことを証明できない限り、無効。 男女雇用機会均等法9条4項
産前産後休業期間中とその後30日間の解雇禁止 産前産後休業期間中とその後30日間は労働者に責めに帰すべき事由による場合含めて解雇禁止 労働基準法19条

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律9条(婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)

(1項)事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。

2項 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。

3項 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和22年法律第49号)第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

4項 妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。ただし、事業主が当該解雇が前項に規定する事由を理由とする解雇でないことを証明したときは、この限りでない。

労働基準法19条(解雇制限)

(1項)使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

2項 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。

不利益取扱いを禁止する妊娠・出産に関する事由

厚生労働省令で定める事由
1 妊娠したこと。
2 出産したこと。
3 産前休業を請求し、若しくは産前休業をしたこと又は産後の就業制限の規定により就業できず、若しくは産後休業をしたこと。
4 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)を求め、又は当該措置を受けたこと。
5 軽易な業務への転換を請求し、又は軽易な業務に転換したこと。
6 妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したこと。
※「妊娠又は出産に起因する症状」とは、つわり、妊娠悪阻(にんしんおそ)、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠又は出 産をしたことに起因して妊産婦に生じる症状をいいます。
7 事業場において変形労働時間制がとられる場合において1週間又は1日について法定労働時間 を超える時間について労働しないことを請求したこと、時間外若しくは休日について労働しない ことを請求したこと、深夜業をしないことを請求したこと又はこれらの労働をしなかったこと。
8 育児時間の請求をし、又は育児時間を取得したこと。
9 坑内業務の就業制限若しくは危険有害業務の就業制限の規定により業務に就くことができないこと、坑内業務に従事しない旨の申出若しくは就業制限の業務に従事しない旨の申出をしたこと 又はこれらの業務に従事しなかったこと。

妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの例

妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの例
1 解雇すること。
2 期間を定めて雇用される者について、契約の更新をしないこと。
3 あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に、当該回数を引き下げること。
4 退職又は正社員をパートタイム労働者等の非正規雇用社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと。
5 降格させること。
6 就業環境を害すること。
7 不利益な自宅待機を命ずること。
8 減給をし、又は賞与等において不利益な算定を行うこと。
9 昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと。
10 不利益な配置の変更を行うこと。
11 派遣労働者として就業する者について、派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提 供を拒むこと。

労働局(厚生労働省)の援助を利用してマタハラ解決しよう

労働局は、都道府県ごとにある厚生労働省の地方局です。

そして、労働局にある雇用環境・均等部(室)は、男女均等取扱い、育児・介護休業、パートタイム労働者・有期雇用労働者の雇用管理等について、労働者と事業主との間で生じた民事上のトラブルの解決に向けた援助を行なっています。

・婚姻を理由とする解雇等、妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益取扱い
・妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置
・母性健康管理措置(妊娠中・出産後の女性労働者の健康管理)

などについて相談することができますし、情報提供を受けることができます。

そして、解決のために、援助・調停や会社に対して行政指導をしています。

各都道府県の労働局の雇用環境・均等部(室)の連絡先はパンフレット「職場でつらい思いしていませんか?」の最終ページに一覧で記載されています。

マタハラで困っていたら、労働局の雇用環境・均等部(室)に相談してみましょう。

都道府県労働局雇用均等室相談 解決までの流れ

【マタハラ】労働局による解決援助(男女雇用機会均等法)の例

労働局の援助事例 妊娠中に母性健康管理の措置を申し出たところ、会社から拒 否され退職を強要されたケース
事案の概要 妊娠中の体調が悪いため、主治医から1か月間休業するよう指導された。
母性健康管理指導事項連絡カード(※)により事業主に指導事項を連絡し休 業の措置を求めたが、これから産前休業等により長期に休業するだけでな く、さらに休業が必要ならば、仕事が回らないので新たに社員を採用すると して退職を強要された。
就業継続したいが、不可能ならば金銭解決を求め たいとして援助を申し立てたもの。(※)母性健康管理指導事項連絡カードとは 妊娠中等の女性労働者が保健指導・健康診査の際に主治医や助産師から 指導を受けた場合、指導事項を事業主に的確に伝えるためのカード
紛争の解決援助 のポイント・結 果 ・ 事業主に対し、男女雇用機会均等法により、妊娠中等の女性労働者が保 健指導・健康診査の際に主治医等から指導を受け、事業主に申し出た場合 はその指導事項を守るため必要な措置を講じることが義務付けられている 旨説明し、措置を申し出た労働者に退職を強要することは同法第9条3項に 違反するため退職強要を撤回するよう助言した。

・ 事業主は、母性健康管理について理解が不足していたことを認め、退職強 要を撤回し、医師の指示通り申立人に対し休業の措置を講じ、併せて休業 中の業務について代替要員を確保することにした。

ひまわり

【編集後記】

マタニティマークはとても小さいので、電車で目の前に立っている人のカバンにマタニティマークがついているのを気が付かないことがあります。(新型コロナウイルス感染症を知ってからは最近はほとんど電車に乗っていませんが)
気がついて席を譲れるととてもうれしい気持ちになります。
相手の方から席を譲ってほしいとはなかなか言いづらいでしょうから。
あと何ヶ月かするとかわいい赤ちゃんが生まれてくるんだと思うととてもうれしいです。

マタニティマーク

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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