【事実上の倒産】未払賃金には先取特権がある

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コロナ問題で営業自粛や売上低下などによる経営不振でこれからのことが心配だという労働者の方も多いでしょう。

働いている会社が倒産した場合、給料や退職金などの賃金を受けとれなくならないように注意が必要です。

中小零細企業などでコロナ問題で倒産が広がる可能性

労働条件の切り下げ(不利益変更)や退職勧奨や解雇などの他にも、働いている会社が倒産することが心配だという方もいるでしょう。

いざというときに備えて、働いている会社が倒産したときにどうしたらいいか?知っておきましょう。

来年(2020年度)は、中小零細企業などでコロナ問題で倒産が広がる可能性があります。

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第89回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録

こちらの記事で紹介しています。
2021年度【未払賃金立替払制度】新型コロナウイルス感染症関連の倒産増加の予想

働いている会社が倒産しそうだ、倒産したとなったら。

未払賃金を確保するために、労働組合で会社と交渉する・弁護士に依頼するなど早めに行動することが大事です。

たとえば会社の実印が押されて印鑑証明が添付された未払賃金一覧表を確保できれば、雇用関係の先取特権による会社資産の差押の証明文書となります。

労働法実務 労働者側の実践知〔Lawyers’ Knowledge〕 P414〜415

労働組合で団体交渉を行なったり弁護士を通じて文書・資料を急ぎ会社から提出させましょう。

【倒産】賃金の先取特権

税金・社会保険料や抵当権が優先しますが、給料・退職金については一般先取特権(さきどりとっけん)があります。

民法306条一般先取特権

一般先取特権とは、給料や退職金など賃金の全額が、他の一般債権者に優先して弁済を受ける権利のことです。

民法308条(雇用関係の先取特権)

雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。

雇用関係の先取特権は他の一般債権者に優先されますが、税金などは先取特権よりも優先されるものもあります。

国税徴収法8条(国税優先の原則)

国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定がある場合を除き、すべての公課その他の債権に先だつて徴収する。

労働債権は他の一般債権よりも優先されるとはいっても、会社の資産がなくなってしまうと取りっぱぐれになってしまいます。

急いで対応する必要があります。弁護士に相談しましょう。

一般先取特権により会社の資産を差押をします。

雇用関係の先取特権の存在について,申立人が証明すべき事実及び一般的な証明文書の例 裁判所

仮差押をする場合、労働債権にもとづく仮差押であっても一般債権者に対する優先権は認められません。

労働債権の仮差押の申立をする場合でも、一般先取特権の実行としての差押の申立を早急に行ないます。

参考『働くひとのための倒産対策実践マニュアルVer.3』P67〜 日本労働弁護団

【未払賃金立替払制度】先取特権の行使が空振りして債権回収できなくてもあきらめない

まずは先取特権をつかって未払賃金全額を受けとれるように機敏にうごきましょう。

もしも取りっぱぐれてしまったときもあきらめないようにしましょう。

未払賃金立替払制度をつかって未払賃金の80%を国家から受けとります。

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新型コロナウイルス感染症の影響により、事業場が 倒産し賃金が未払のまま退職された労働者の皆様へ「未払賃金の立替払制度」の御案内~賃金の支払の確保等に関する法律に基づく制度~

未払賃金立替払制度についてはこちらの記事で紹介しています。

2021年度【未払賃金立替払制度】新型コロナウイルス感染症関連の倒産増加の予想

【未払賃金立替払制度】倒産で未払い。給料・退職金8割受けとれる

いざというときのために必要な情報・知識をもちましょう。

会社が倒産するかどうかはコントロールできませんが、倒産したときにどうしたらいいか?知っておくことはできますので。

【編集後記】

今日(2020/11/06)は社会保険労務士試験の合格発表日。
34,845人が受験、合格率は6.4%でした。

合格者の中から労働者のための社労士として活動する人が出てくることを期待しています。

今回残念だった人は、来年また受験するかどうか悩むのではないかと思います。
もしも来年も受験することに決めたら、基本的な考え方・基礎知識をしっかりと身につけて来年の夏をめざしていただきたいと思います。

基本・基礎がしっかりと身につくと、原則とは異なる例外がわかってきます。
例外や特殊なことに目が向くと、無限の知識が必要になりますから合格が難しくなります。

基本・基礎・原理・原則を繰り返し学ぶことが、らせん階段をのぼるように合格に近づくのではないかと思います。

昨日の1日1新 COOPカフェインレススティックカフェオレ

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格