生活に困ったときの最後のとりで。生活保護がある。

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勤め人の方を取り巻く厳しい状況は続いている

ちょうどリーマンショック(2008年)のころ、西武新宿線の鷺ノ宮駅の構内で何人かの社会保険労務士とともに、無料の年金相談・労働相談会を月に一度行なっていました。

当時私は日本労働弁護団(労働者側の弁護士の方の集まり)の弁護士の方に相談しさまざまな労働問題について対応していたこともあり、年金よりも労働問題の方が詳しそうだからということで、私は主には労働相談員として勤め人(労働者)の方からの相談を受けていました。

残業代未払い、休憩がとれない、有給休暇がとれない、会社が倒産して給料を受け取れないままで困っている、などさまざまな問題の相談をうけて話をおうかがいして『労働相談実践マニュアル』(日本労働弁護団発行の書籍)の該当ページを相談者の方といっしょに見ながら内容を説明しアドバイスをしていました。

ある日の相談会で女性の方からアパートの家賃が払えなくてサラ金からお金を借りて家賃を支払っていて生活が苦しいとの相談を受けました。

弁護士に相談して借金を整理すること、生活を立て直すために先ずは生活保護申請して受けること、この2つを早急におこなうようにと私の考えをお話しさせていただきましたが、どこかからお金を借りないと・・・と独り言のように繰り返していたことを思い出します。

また東日本大震災のあと、東北で工場で働き生活していた女性の方が地元でくらせなくなって避難して東京(江戸川区)にきて生活に困ってバーの中で売春をさせられていたという話が新聞にのっていたことがありました。

その女性がどのような方なのか私はわかりません。しかし少なくとも東日本大震災・原発事故が起きるまでは工場で働いてそれで生活ができていたのです。その方の生活が破壊され東京に避難して売春をする(させられる)ことになったのです。
生活保護につながる手伝いをだれかができていればと思わずにはいられません。

リーマンショック、派遣切り(※)、あのころと比べると勤め人(労働者)の方をめぐる状況は改善されたでしょうか。ぜひそうであってほしいと願いますが、たとえあのリーマンショックのころよりは良くなっていたとしても、お金がなくて日々の生活が苦しく見通しがたたずに困っているという方が今でもたくさんいらっしゃると思います。

病気やケガで働けず障害年金を受けとりたい、仕事でケガをして働けないので労災保険からお金を受けとりたい、申請して認定され年金やその他のお金を受けとって生活を立て直す、そのために社会保険労務士としてお手伝いさせていただきたい。

しかし、年金などの申請までの準備や申請後の審査から決定・支給されるまでにかかる期間の生活するためのお金に困ってしまう、支給されたとしてもそのあとの生活をしていくためには支給された金額だけでは足らない、または申請したものの不支給決定がだされて審査請求・再審査請求をしたが覆えすことができずに不支給が確定してしまいお金を受けとれない、などという場合もあります。

障害年金・労災保険の給付の申請と生活保護の申請はどちらか1つを選択しなければならないわけではない

そのような場合は最初から並行して生活保護を申請していくことも考えて良いのではないでしょうか。
年金などを受けとりながら足りない分だけを生活保護から支給を受けることになるので、どちらの制度も両方とも申請することに何も矛盾はありません。

生活保護申請は私たち社会保険労務士の携われる業務ではないでしょうが、ひとりの個人としてボランティアで申請のお手伝いをすることには問題はないと考えるべきなのだと思います。
少なくともボランティア団体へとつないでいくことはできます。

ひとりで生活保護を申請することに不安がある方は、ボランティアの方といっしょに申請しましょう

ひとりで生活保護を申請することに不安がある方は、申請の相談から役所への申請もいっしょに同行もしてくれるボランティア団体が全国各地にあります。
東京でも『もやい』などさまざまなボランティアのみなさんが日常的に活動しています。

認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい

いま生活が苦しくてどうしたらいいか困っている方、あるいは生活に困っている方の何か手伝えることがあればと思っている方は、『困った時に使える最後のセーフティネット活用ガイド(第3版)』をお読みになってはいかがでしょうか。

『困った時に使える最後のセーフティネット活用ガイド(第3版)』

「いま生活にお困りの方や、その周囲の方に、一人でも多く生活保護のことを知ってもらえるよう、コンパクトで実用的な内容を心がけ」て認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいが作成したパンフレットで生活保護の申請をするときに使える申請書や記入の仕方も書かれています。

生活に困ったときは最後のとりで、生活保護があることをけっして忘れないでください。

【編集後記】

(※)生活保護とは別の話ではありますが、今日Yahoo!ニュースをみていたら「3カ月更新の契約で17年勤務…そして、突然の「雇い止め」 58歳派遣社員の思いは」という記事がありました。派遣社員の方の状況は厳しいままのようです。

もともと派遣労働という働かせられ方自体が制度として問題があり、その問題がリーマンショックで大々的に噴出したということですから10年近くたっても派遣労働をめぐる問題自体がなくなるはずはないでしょう。

「3カ月更新の契約で17年勤務…そして、突然の「雇い止め」 58歳派遣社員の思いは」

今日の1日1新

毎日1つ、何か新しいことをしようとチャレンジしている。

たとえば外で食事をするときもいつもの店でいつもの料理を頼むというような、選択しないことによる大きな失敗・外れのない行動をしてしまいがちな自分を変えて、今まで入ったことのない店で食事をしてみる。
仕事帰りにたまに妻と行く外食もいつものお決まりの店ではなく新しい店で食事をしようとふたりで探すようになった。

小さくても何か1つは毎日新しいことをしてみようということだ。

髪をきってもらう店もいつもの店に行っていつものようにと頼んでいるのは説明する面倒さもなく楽だしとんでもない髪型にカットされてしまう心配もなく安心だが、今日は行ったことのない床屋で髪を切ってもらおう!と地元の商店街で行ったことのない店をめざして行ったが休みだった。何軒か他にも店があるが1000円カットの店以外はどこも休みだった。

まずい、これでは今日予定していた1日1新ができない、こうなったらと近所のスーパーに行って今まで食べたことのないものを買ってみることにした。

今まで目にも入っていなかったいろいろな商品があるものだ、黒ごま豆乳いったいどんな味だろう?買って帰って家で飲んでみたらコクがあって美味しかった。

自分にとって何か今までにないものを探すという視点で臨むと、近所のスーパーの買い物でも新鮮な気持ちで面白かった。

明日はもう少しきちんとした1日1新をしたい。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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