障害年金を請求するときには、初診日がいつなのか明らかにすることが重要です。
初診日を特定するための「相当因果関係」について紹介します。
障害年金での相当因果関係ってなんだろう・・・?
Contents
【障害年金】における相当因果関係とは?
障害年金を請求するには障害の原因となる病気やケガではじめて医師・歯科医師の診療を受けた日を明らかにすることが重要です。
<参考記事>障害年金を請求するには、初診日を確定することが大切
障害の原因となる病気やケガではじめて医師・歯科医師の診療を受けた日のことを、障害年金での初診日といいます。
障害の原因となった傷病(病気やケガ)の前に「相当因果関係」がある傷病があるときは、最初の傷病の初診日が障害年金での初診日となります。
それでは障害年金での相当因果関係とはどのようなことをいうのでしょうか?
相当因果関係とは
あれなければこれなし。
原因となる事実がなければ結果となる事実が起きなかったというときに、
事実と事実との間に「因果関係」があるといいますよね。
それでは、「相当因果関係」とはどんな意味になるのでしょうか?
『大辞泉』によると、
社会通念上、Aという行為からBという結果が生じることが相当であると考えられる場合にのみ、法律上の因果関係を認めるとする考え方。因果関係の有無を判断するための法律上の概念。
とあります。
【障害年金】における相当因果関係とは?
障害年金を請求するとき、請求して支給するかどうか審査されるときに使われる「相当因果関係」とはどのような意味なのでしょうか?
傷病とは?
疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病を総称したものをいいます。
起因する疾病とは?
前の疾病又は負傷がなかったならば後の疾病が起こらなかったであろうというように、前の疾病又は負傷との間に相当因果関係があると認められる場合をいい、負傷は含まれないものである。
相当因果関係とは?
前の疾病(病気)又は負傷(ケガ)がなかったならば、後の疾病(病気)が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありと見て前後の傷病を同一傷病として取り扱われます。
ただし、通常、後の疾病(病気)には負傷(ケガ)は含まれません。
相当因果関係が認められると、相当因果関係のある最初の病気やケガで医師・歯科医師による診療をはじめて受けた日が障害年金での初診日となります。
相当因果関係があるかどうかの判断は個々のケースによります。
【障害年金】で相当因果関係がある・なし
【障害年金】で「相当因果関係」があると取り扱われることが多いもの
1 | 糖尿病と糖尿病性網膜症又は糖尿病性腎症、糖尿病性壊疸(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)は、相当因果関係ありとして取り扱う。 |
2 | 糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎、慢性腎炎に罹患し、その 後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱う。 |
3 | 肝炎と肝硬変は、相当因果関係ありとして取り扱う。 |
4 | 結核の化学療法による副作用として聴力障害を生じた場合は、相当因果関係ありとして取り扱われる。 |
5 | 手術等による輸血により肝炎を併発した場合は、相当因果関係ありとして取り扱う。 |
6 | ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭無腐性壊死が生じたことが明らかな場合には、相当因果関係ありとして取り扱う。 |
7 | 事故又は脳血管疾患による精神障害がある場合は、相当因果関係ありとして取り扱う。 |
8 | 肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸 不全発生までの期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱われる。 |
9 | 転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係ありとして取り扱われる。 |
【障害年金】では「相当因果関係」がないと取り扱われることが多い例
1 | 高血圧と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱う。 |
2 | 糖尿病と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱う。 |
3 | 近視と黄斑部変性、網膜剥離又は視神経萎縮は、相当因果関係なしとして取り扱う。 |
【編集後記】
この記事は、障害年金での初診日を特定するときに重要な「相当因果関係」について、情報公開請求で入手した日本年金機構の『障害年金審査業務マニュアル』(令和2年8月版)から紹介しました。
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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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