障害厚生年金が受け取りやすくなる?2025年に改正法案でるか

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新聞記事によると、初診日に厚生年金に加入していなかった方でも障害厚生年金を受給できるように制度変更の検討が行われます。2025年に国会へ法案提出にむけて審議が行われるとのことです。

障害年金支給緩和へ

障害厚生年金が受け取りやすくなる?2025年に改正法案でるのか

2022年8月15日(月)の東京新聞の3面に「障害年金支給要件緩和へ 厚労省『厚生』適用の拡大検討」の見出しで記事が掲載されました。

厚生労働省は14日までに、金額が多い「障害厚生年金」を今よりも受け取りやすくする方向で検討を始めた。2025年に国会提出を目指す年金制度の改正法案に盛り込みたい考えで、今後具体策を審議会で議論する。実現すれば、障害年金の制度上、約40年ぶりの大きな変更となる。

障害年金、受け取りやすく 国が改正検討、25年に法案
2022年8月14日 21時06分 (共同通信) 東京新聞TOKYO WEB

共同通信の配信記事なので、別の地方紙で読んだという方もいらっしゃると思います。

詳細は触れられておらず、ネタ元も記載されていないため内容を確認できないのですが、記事によると障害厚生年金の受給要件を緩和する法案を2025年の国会提出をめざして審議会で議論するとのことです。

障害厚生年金を受給するか、障害基礎年金を受給するかは、「初診日」に厚生年金に加入していたかどうかによります。

障害厚生年金を受給しやすくするというのであれば、初診日に厚生年金の被保険者でなかった方でも障害厚生年金を受給できるように要件を緩和するということになります。

障害厚生年金受給3要件

現在の障害厚生年金制度は、それまで何年何十年も厚生年金に加入していて保険料を払い続けていたという場合でも、初診日に厚生年金に加入していなかった方は、それだけでもう他の要件を満たしても障害厚生年金を受給できません。

たとえば、30年厚生年金に加入していた方でも初診日の前日に退職していた場合には、障害厚生年金を受給できません。

記事の内容が正しいのであれば、将来は初診日に厚生年金の被保険者でなかった方でも障害厚生年金が受給できるように、受給要件の緩和が検討されることになります。

現在は、初診日の前日に会社に就職した方など初診日の前日に厚生年金の被保険者となった方でも他の要件をみたせば障害厚生年金を受給できます。

たとえば、この初診日の前日に厚生年金の被保険者期間が一定必要だなどの要件が加わらないのであれば、障害厚生年金が受給しやすくなりますので大きく制度が改善されることになります。

65歳以上で老齢年金の受給資格期間をみたす方を除いて、厚生年金の被保険者の方は国民年金の被保険者(第2号被保険者)でもあります。

1級または2級の障害厚生年金を受給できる方は、同じ等級の障害基礎年金(国民年金)も受給することができます。

また、3級の障害の状態の方は国民年金からの障害年金(障害基礎年金)を受給することができませんが、障害厚生年金は受給できます。

障害厚生年金の受給要件が緩和されることは、障害年金の受給額を増やせる方や障害年金を受給できる方を増やすことになります。

良い内容で障害厚生年金制度が変更されることが望まれます。

障害厚生年金は初診日に厚生年金に加入していた人だけが受給できる(現在)

2025年に国会へ法案提出をめざして検討されると報道された障害厚生年金の受給要件の緩和ですが、現在の制度を確認しておきましょう。

障害厚生年金は、障害の原因となった病気やケガで初めて医師または歯科医師の診療を受けた日に厚生年金に加入していた人、初診日に厚生年金の被保険者だった人しか受給できません。

厚生年金保険法47条(障害厚生年金の受給権者)

(1項)障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

2項 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級、2級及び3級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

初診日に厚生年金の被保険者でなかった方は、現在の制度では、もうそれだけで障害厚生年金を受給することはできません。

初診日に厚生年金の被保険者となった方が、他の2つの要件を満たす場合だけ障害厚生年金を受給できます。

たとえ10年、20年、30年と長いあいだ厚生年金に加入していた方でも、初診日の前日に会社を辞めてしまって初診日に厚生年金の被保険者でなければ障害厚生年金を受給することはできません。

障害厚生年金と障害基礎年金の受給要件

障害年金を受給するためには3つの要件をみたす必要があります。

障害年金受給3要件は、公的年金加入要件国民年金保険料納付要件障害等級該当要件です。

障害厚生年金を受給するか、障害基礎年金だけを受給するのか、違いは初診日に厚生年金に加入していたかどうかのちがいだけ。

保険料の納付要件は、初診日の前日における状況を確認しますが、障害厚生年金・障害基礎年金(国民年金)のどちらも、国民年金保険料の納付状況を確認します。要件は同じです。

障害年金受給3要件 障害年金を受けとるための法律上の3つの条件
公的年金制度加入要件 初診日に年金に加入していること(国民年金は例外あり)

障害厚生年金(厚生年金)

初診日に厚生年金の被保険者であること。

障害基礎年金(国民年金)

(1)初診日に国民年金の被保険者であること
(2)被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること。

保険料納付要件 初診日の前日に「国民年金保険料」の納付要件をみたしていること
障害等級該当要件 障害認定日(原則は初診日から1年6月を経過した日)に障害の状態にあること

障害厚生年金(厚生年金):1級2級3級

障害基礎年金(国民年金):1級2級

障害等級該当要件は、原則として初診日から1年6月を経過した日、障害認定日に障害年金の障害等級に該当する障害の状態にあることです。

障害基礎年金(国民年金)は1級2級、障害厚生年金(厚生年金)は1級2級の他にも3級の状態でも年金を受給できます。

厚生年金の被保険者は20歳未満の方でも60歳以上(65歳以上の方は老齢年金の受給資格期間をみたす方は除く)でも国民年金の被保険者でもあります。

初診日において、国民年金の被保険者でもある厚生年金の被保険者の方は障害認定日に1級2級の障害等級に該当する場合には、障害厚生年金と障害基礎年金の2つの年金を同時に受給します。

国民年金法30条(支給要件)

(1項)障害基礎年金は、疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において次の各号のいずれかに該当した者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた場合においては、その治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。)とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときに、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

1号 被保険者であること
2号 被保険者であつた者であつて、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であること

2項 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級及び2級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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