【2020年度】東京都内の労働基準監督署の定期監督での違反率75.7%

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2020年に行われた東京都内の労働基準監督による定期監督などの実施結果が2021年12月7日に東京労働局から発表されました。

労働基準監督署の「定期監督」とは

定期監督とは、労働基準監督官が行なう4つの監督指導のなかの1つです。

定期監督は、労働基準監督署ごとの年間計画に基づき,事業場を臨検し調査・指導を行うものです。

定期監督で法令違反が認められた場合には是正を勧告し,危険性の高い機械・設備などに対して,使用停止等の行政処分を行ないます。

労働基準監督行政の現状と課題 ― 労働基準監督署の視点から」独立行政法人労働政策研究・研修機構

労働基準監督官が行なう監督指導には、定期監督の他に、申告監督、災害時監督、そして再監督を含めると4種類があります。

申告監督は、労働基準保違反などの労働者からの申告による監督です。

災害時監督は、重大災害が発生したときに通報をうけて災害調査からはじまる監督です。

再監督は3つの監督で法違反があったときに是正勧告などをおこない、是正が行われるまでに再度行われる監督です。

4つの労働基準監督図解化すると以下のフローになります。

労働基準監督の仕組み

労働基準監督業務について ≪事務・事業説明資料≫」厚生労働省

【2020年】東京都内の労基署が定期監督等で75.7%の事業場で法違反の改善指導を実施

2020年に東京都内の労働基準監督が10,222事業場に対して定期監督などをおこないました。

定期監督をおこなった10,222事業場のうち、7,740事業場で労働基準関係法令違反がありました。

定期監督などを行なった全体の75.7%の事業場で労働基準関係法令違反をみつけて是正・改善の指導が行われました。

そして、重大・悪質な違反に対しては、送検手続をとるなど厳正に対処することとされています。

法令違反があった事業場と主な違反内容

法令違反があった事業場

2021年東京都内の労働基準監督署が定期監督等実施した事業場 定期監督等実施事業場数 労働基準関係法令違反が あった事業場数 違反率
建設業 4,477 3,325 74.30%
商業 1,480 1,181 79.80%
その他の事業(注) 1,185 821 69.30%
製造業 1,014 808 79.70%
接客娯楽業 631 546 86.50%
運輸交通業 352 266 75.60%
保健衛生業 302 229 75.80%
教育研究業 272 191 70.20%
清掃・と畜業 195 159 81.50%
金融広告業 193 130 67.40%
映画・演劇業 52 44 84.60%
貨物取扱業 38 24 63.20%
通信業 22 8 36.40%
農林業 8 7 87.50%
鉱業 1 1 100.00%
畜産・水産業 0 0
官公署 0 0
合計 10,222 7740 75.70%

主な法令違反の内容

主な違反内容 違反事業場数 違反率
1 違法な時間外労働があったもの 2,157 21.1%
2 機械・設備等の危険防止措置に関する安全基準に関する違反があったもの 2,117 20.7%
3 割増賃金不払があったもの 1,752 17.1%

【編集後記】

労働基準監督署がおこなう労働監督。
定期監督のほかに労働者の申告を受けておこなわれる申告監督。
重大災害が発生されて通報を受けておこなわれる災害時監督。
申告監督・災害時監督のどちらも労働者が労働基準監督署に労働基準法違反などで申告する、労働災害にあって労災申請(労災保険からの給付を請求)することで監督が行われます。
安全で健康で働きやすい職場は、働くあなたが労働基準監督に申告・申請することから作られます。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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