【2021年度東京労働局あっせん申請】4割が労働契約の終了に関する申請

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個別労働紛争の解決制度等に関する2021年度の施行状況が東京労働局から発表されています。
東京労働局へのあっせん申請は、約4割(41.8%)が労働契約の終了に関するもの。
労働契約の終了の次に多かったのが、いじめ・嫌がらせに関するもので約1/4(23.8%)でした。

【2021年度東京労働局あっせん申請】最多は解雇・雇止め(240件)

2021年度に東京労働局にあっせん申請されたなかで一番多いのが労働契約の終了についての問題でした。

あっせん申請数651件のうち、労働契約の終了についてのあっせん申請が272件、約4割(41.8%)を占めています。

2021年度東京労働局へのあっせん申請(労働契約の終了) 272
解雇 126
雇止め 95
自己都合退職 26
退職勧奨 25

労働契約の終了(272件)に関する問題に続いてあっせん申請数が多いのは、いじめ・嫌がらせ(155件)、労働条件(95件)でした。

労働条件の引下げについては57件、2020年度40件から増加しました。

2021年度東京労働局あっせん申請内容別の件数

個別労働紛争の解決制度等に関する令和3年度の施行状況を発表します(東京労働局)から引用

東京労働局のあっせんの開催は6割(60.5%)、全国平均52.8%を大きく上回る開催率

労働局による「あっせん」 とは、弁護士や学識経験者など労働問題の専門家が紛争調整委員として紛争当事者である労働者と会社の間に入って話合いを促進し、紛争の解決を図る制度です。

あっせんにおいては、労働者と会社とは直接顔をあわせることも話すこともありません。

労働局によるあっせんは、あっせんの当日あなたと会社は別の部屋で待機し、あっせん委員とは別々に会って話をします。

参考記事
不当な扱いをした会社と闘わなくていいのか?内向型労働者は「あっせん」による話し合いの解決も選択肢に!

2021年度に東京労働局にあっせん申請された件数は651件。

前年度申請を含めて2021年度で処理された673件のなかで、あっせんの開催は60.5%(407件)。
あっせん開催率は全国平均52.8%ですので、東京労働局での60.5%は高いあっせん開催率です。

あっせん開催されたなかで、合意が成立したのは61.2%(249件)でした。

2021年度東京労働局あっせん開催率

個別労働紛争の解決制度等に関する令和3年度の施行状況を発表します(東京労働局)から引用

2021年度東京労働局でのあっせんは2ヶ月以内の処理が77.7%

2021年度東京労働局でのあっせんは2ヶ月以内の処理が77.7%。

労働局によるあっせんは、申請からおよそ3ヶ月以内で処理が終わる迅速な解決手段として労働者が利用できる制度です。

参考記事
2021年度【労働局あっせん申請3,760件】労働者からの申請が98%

労働局によるあっせんで、労働契約の終了をめぐり会社とトラブルになったときに2ヶ月〜3ヶ月で解決できる可能性があります。

解決までに1年以上かかることがある民事裁判、民事裁判にくらべて短期間で解決が期待できる労働審判では7割が3ヶ月以内に終了していることに比べても、労働局によるあっせんは8割が2ヶ月以内に処理終了とさらに短期間での終了が期待できます。

2021年度に東京労働局にあっせん申請されたなかで一番多いのが労働契約の終了(申請数全体の約4割41.8%)についての問題でした。

雇止めをめぐる労働者と会社との個別労働関係紛争で、2021年度に東京労働局によるあっせんで解決した事例を見てみましょう。
会社による雇止めで納得できなかった労働者があっせん申請して、賃金2ヶ月分の解決金を会社が支払うことで合意・解決した事例です。

事例 雇止めに係るケース
申請の概要 1年の有期契約で勤務していたが、令和3年4月の契約期間満了に伴い雇用契約を終了するとの通知を受けた。

会社の説明によると取引先から契約を打ち切られたため雇止めするとのことであったが、会社では新規に人材募集をしていたため納得できず、会社に契約更新を申し出たが拒否された。

そこで、申請人は経済的損害の補償・慰謝料を求めて、あっせんを申請したものである。

あっせんのポイント・結果 会社は、取引先から契約を打ち切られたことは事実であり、新たに募集している職種は申請人が担当していた職種と全く異なるものであることから、申請人の契約を更新しなかったものであると主張した。

あっせん委員は、雇止めの通知が契約満了直前であったこと、雇止めの理由が会社都合であったこと、紛争の長期化による時間的・経済的損失等を説明した上で再考を促したところ、会社は円満解決のため解決金を支払う意和を示した。

その結果、申請人に対して賃金2か月相当分の解決金を支払うことで合意が成立し、解決した。

個別労働紛争の解決制度等に関する令和3年度の施行状況を発表します(東京労働局)から引用

労働局によるあっせん解決。
私(労働者のための社労士・小倉健二)は、労働者の方からのご依頼に限り申請から和解契約の締結までの代理をお受けしております。

【編集後記】

週末は夜明け前と夕暮れに多摩湖までポタリング(自転車散歩)しました。
暑くない時間をねらって30〜40kmと軽〜くのんびりと自転車で走るのは夏の楽しみです。(写真は夕暮れの多摩湖)

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格