労働災害発生状況(2022年5月速報)が厚生労働省から発表されました。
労災による死傷者数は前年同期比で32.7%増加しています。
死傷者の35%、17,115人が主として新型コロナ感染による災害です。
「コロナに感染したのは、きっと仕事が原因だよ。」思い返して考える労働者
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【労災前年同期対比】死亡災害24%増加、死傷災害は32.7%増
2022年における労働災害発生状況について5月速報値が厚生労働省から2022/05/17発表されています。
5月速報値は、2022年1月1日から4月30日までに発生した労働災害について5月9日までに報告があったものを集計したものです。
5月速報値によると、労災による死亡者数は227人、前年同期比で+44人、24%増加。
休業4日以上の死傷者数は48,286人、前年同期比で+11,897人、32.7%増加しています。
労働災害発生状況 厚生労働省
労災による死亡者・休業4日以上の死傷者、ともに大きく増加していることがわかります。
業種別で労災発生状況をみると、死亡者が製造業で73.3%増加、第三次産業が68.6%増加。死傷者では第三次産業が143.3%増加しています。
休業4日以上の死傷災害は新型コロナ感染が最多35%
休業4日以上の死傷災害の事故の型別の発生状況をみると、「その他」が17,115件件、全体の35%を占めています。
「その他」とは、主として感染症による労働災害のことです。
労働災害発生状況 厚生労働省
休業4日以上の死傷災害で、新型コロナウイルス感染症が全体の1/3を占めていることがわかります。
新型コロナ感染による労災申請は2022年4月は過去最多8,098件
新型コロナ感染による労災申請は2022年3月から激増しています。
2022年2月が1,395件だったのが、3月に5,934件、4月には過去最多8,098件へと増えています。
「新型コロナウイルス感染症に係る月別労災請求・決定件数」2022年4月30日現在(厚生労働省)から作成
2022年4月30日現在での新型コロナ労災請求件数39,498件。労災認定率98.5%
2022年4月30日現在での新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数は39,498件。
審査が終わり決定した件数は26,477件ですので、労災申請してまだ審査がまだ終わっていない件数が13,011件あります。
審査が終わり決定した26,477件のうち、26,089件が支給決定です。
不支給決定はわずか26,477件のうち388件にすぎません。
労災申請して審査が終わった方の98.5%が、労災として認められ労災保険からの給付をうけることが決定しています。
新型コロナ労災 | 請求件数 | 決定件数 | 決定件数のうち支給件数 | 決定件数のうち「不」支給件数 | 労災認定率 (支給決定の割合) |
---|---|---|---|---|---|
2020年3月 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
2020年4月 | 5 | 0 | 0 | 0 | |
2020年5月 | 54 | 7 | 7 | 0 | 100.0% |
2020年6月 | 370 | 48 | 48 | 0 | 100.0% |
2020年7月 | 368 | 226 | 226 | 0 | 100.0% |
2020年8月 | 186 | 229 | 229 | 0 | 100.0% |
2020年9月 | 356 | 221 | 221 | 0 | 100.0% |
2020年10月 | 443 | 237 | 213 | 24 | 89.9% |
2020年11月 | 343 | 254 | 247 | 7 | 97.2% |
2020年12月 | 526 | 328 | 325 | 3 | 99.1% |
2021年1月 | 1,075 | 496 | 440 | 56 | 88.7% |
2021年2月 | 1,939 | 633 | 623 | 10 | 98.4% |
2021年3月 | 2,807 | 2,067 | 1,974 | 93 | 95.5% |
2021年4月 | 1,949 | 1,412 | 1,397 | 15 | 98.9% |
2021年5月 | 1,569 | 1,713 | 1,699 | 14 | 99.2% |
2021年6月 | 2,172 | 2,183 | 2,172 | 11 | 99.5% |
2021年7月 | 1,783 | 1,904 | 1,888 | 16 | 99.2% |
2021年8月 | 1,141 | 1,951 | 1,938 | 13 | 99.3% |
2021年9月 | 1,518 | 1,309 | 1,304 | 5 | 99.6% |
2021年10月 | 2,045 | 1,461 | 1,452 | 9 | 99.4% |
2021年11月 | 1,800 | 1,768 | 1,753 | 15 | 99.2% |
2021年12月 | 1,039 | 1,883 | 1,851 | 32 | 98.3% |
2022年1月 | 582 | 1,257 | 1,245 | 12 | 99.0% |
2022年2月 | 1,395 | 877 | 868 | 9 | 99.0% |
2022年3月 | 5,934 | 1,852 | 1,837 | 15 | 99.2% |
2022年4月 | 8,098 | 2,161 | 2,132 | 29 | 98.7% |
合計 | 39,498 | 26,477 | 26,089 | 388 | 98.5% |
「新型コロナウイルス感染症に係る月別労災請求・決定件数」2022年4月30日現在(厚生労働省)から作成
新型コロナ感染による労災申請数は3月から激増していますが、新型コロナ感染者数が激増しているわけではありません。
新型コロナ感染者のなかで、労災申請する方が増えてきたということです。
新型コロナウイルス感染症は労災保険給付の対象になります。
「いわゆる後遺症」も労災保険給付の対象です。
「いわゆる後遺症」も含めて新型コロナ感染は労災の対象となる病気であることを、厚生労働省が周知した結果があらわれてきたのでしょうか。
もしも、新型コロナに感染してその原因が仕事だと思うのでしたら、労災申請しましょう。
新型コロナ感染の「いわゆる後遺症」についての参考記事
【編集後記】
自宅のベランダで育てているミニトマト。
種をまき芽がでて少しづつ育ってきました。
7月には収穫して家族で食べられるはずです。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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