【解雇】能力ないからクビ!「内向型」のあなたはどうする?

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客観的合理性と社会的相当性を欠く解雇は無効

労働契約法16条(解雇)

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

解雇が認められるためには、客観的合理性と社会的相当性の両方を満たしていることが必要です。

能力不足で解雇するという場合に客観的な合理性があるといえためには、「お前は能力ない」というだけではダメです。

たとえば、(1)能力が著しく劣っている。(2)能力の向上・改善の見込みがない。

など余程の理由がない場合でなければ、能力不足による解雇は客観的な合理性があるとは言えませんから無効です。

能力不足で解雇するという場合に社会的な相当性があるといえためには、

他の人の場合はどうだったのか?とか、
本人がきちんと主張(弁明)するチャンスを与えられていたか?、
就業規則に該当することなのか?、
手続きが適正に行われたか?

など、解雇という方法が適切であるといえることが必要です。

能力不足を理由に解雇通告されることは、とても辛いことです。

「内向型」のあなたにとっては特にショックなことでしょう。

“あぁやっぱり私は能力がないダメな人間なんだ”などと自分を責めないようにしましょう。

会社が能力ないと言うことと、実際にあなたが能力がないこととは別のことですし。

仮に能力が低かったとしても、それであなたの人間としての価値が下がるものでもありませんので。

話を戻しまして、

“能力ないからお前はクビ!”

と単純にあなたのことを解雇できるものではありませんので、まずはそのことを知っていただければ。

能力不足の解雇が認められる(有効である)のはどんな場合なのか?ケース・バイ・ケースですが、たとえば以下のようなケースでは解雇が認められません。

【能力不足】相対評価で解雇はダメ。【能力不足】教育訓練なし・本人能力に見合った配置転換なしで解雇もダメ

【能力不足】相対評価で解雇はダメ。

能力不足による解雇が認められる(有効である)ためには、労働者の労働能力が著しく劣っていることが必要です。

しかもそれだけではなく、能力の向上・改善の見込みがない場合にだけ認めれます。

相対評価では、あなたの能力が上がっても他の人の能力がそれよりも上がっていれば、あなたの能力は上がったのに評価は下がります。

反対に、あなたの能力が下がっていても他の人の能力がそれよりも下がっていれば、あなたの能力は下がったのに評価は上がります。

相対評価が低いからといって労働能力が著しく劣っていて能力の向上・改善が見込まれないとは言えません。

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図を見ると会社全体としては、絶対評価での能力は10から20へと100%能力向上していますので、

あなたの能力を相対評価すると25%能力は低下しています。

昨年のあなたの絶対評価での能力は2でした。(図のBefore)
今年のあなたの絶対評価での能力は3です。なんと50%能力向上しました。大改善です!(図のAfter)

相対評価では25%能力低下していますが、
絶対評価でみると50%能力向上しているのです。

相対評価が低いからといって労働能力が著しく劣っていて能力の向上・改善が見込まれないとは必ずしも言えませんから、相対評価をもとにして能力不足による解雇をすることは認められないことがわかります。

参考判例 セガ・エンタープライゼス事件(東京地方裁判所1999年10月15日判決)

【能力不足】教育訓練なし・本人能力に見合った配置転換なしで解雇もダメ

能力が不足している、適正に問題があるということが事実であった場合を考えてみましょう。

能力不足や適正に問題があった場合であっても、いきなり解雇することは認められません。

適切な指導をしたり、教育や研修などを行わずに解雇することは認められません。

本人の能力や適正に合った配置転換をするなど解雇を回避するために手をつくしていないのに、“能力ないからお前クビ!”は認められるものではないのです。

参考・引用 文献 『労働相談実践マニュアル』Ver.7 日本労働弁護団

【解雇】能力ないからクビ!「内向型」のあなたはどうする?

会社に出向いて直接抗議するなんてとてもできない。大きな争いごとにするのもイヤだ。

性格が内向型(内気)なので、気後れしまう。でも、泣き寝入りしたいわけでもない。

それでしたら、公平な専門家に間に入ってもらい争わずに話し合いで解決できる方法はどうでしょう?

公的機関である労働局や労働委員会による「あっせん」を利用する方法です。

不当解雇の「あっせん」について、こちらの記事で紹介しました。
【不当解雇】内向型タイプで会社に直接抗議ツライなら労働局「あっせん」利用しましょう

能力不足を理由として行われた解雇の撤回を求めて労働者が申し立てた愛知県労働委員でのあっせん事例を紹介します。

あっせんであれ裁判であれ個々のケースによって事情が異なりますので、そのケースごとに解決の結果は変わります。

1つのケースとして参考にご覧ください。

<労働者の主張>

正社員として20年以上同じ職場で事務の仕事を続けてきたが、パート社員への変更を告げられた。拒否したところ、能力不足だとして、即日解雇された。不当解雇であり撤回してほしい。

<使用者の主張>

幹部候補として採用したが、労働者は能力が低く、補助的な業務しかできないため、パート社員への変更を打診したところ拒否されたため、就業規則に基づき解雇した。労働者を配置する部署がないため、解雇撤回はありえない。

<あっせんでは>

使用者には、長年にわたり、同様の仕事をさせていながら、適切な指導を行わず、急に能力不足で解雇することは困難であることを指摘し、労働者には、仕事内容と賃金がアンバランスであることを示し、譲歩点を探りました。

<あっせん結果>

労働者が解雇の撤回を強く主張し、使用者はこれまでの労働条件での雇用に難色を示したため、労働条件を一部引き下げた上での復職で労使双方に譲歩を促したところ、合意が成立し、解決しました。

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今日(2020/05/13)の早朝ジョギングの途中で見つけた花

【編集後記】

Amazon 内向型を強みにする

『内向型を強みにするーおとなしい人が活躍するためのガイドー』(マーティ・O・レイニー著)によると、世の中の75%は楽天的で活発な「外向型人間」だということです。
残りの25%が「内向型人間」なのだそうだそうです。

内向型人間の有名人として映画俳優のジュリア・ロバーツもクリント・イーストウッドもハリソン・フォードも紹介されています。
3人とも私が大好きな俳優です。

有名人ではありませんが私も「内向型」です。

私は、「内向型」労働者のための社労士ですが、「内向型」社労士でもあります(^^)。

あなたが世界の25%の少数派である「内向型」の人なら、ムリして外向型の真似をする必要はありません。

もし戦うやり方が好きでないなら戦わない方法を選ぶ道もあるのですから。

公的機関である労働局や労働委員会による話し合いでの解決「あっせん」という方法があることも知っておいていただければと思います。

昨日の1日1新 自家製バイスサワー

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コップに梅酢を入れるときれいな紫色のバイスサワーになります。

大阪からきたマスターの串揚げ屋で知ったバイスサワーですが
しばらくは自宅で楽しみます。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格