障害年金を受け取るためには初診日が重要です。初診日とは障害の原因となる病気やケガで初めて病院に行った日のことです。
健康診断を受けた日は障害年金の初診日になるのでしょうか。それともならないのでしょうか?
初診日となる場合とならない場合があります。
Contents
原則は健康診断を受けた日は初診日にならないが、初診日として認められる場合がある
健康診断を受けた日が障害年金の初診日になる場合
健診日の取扱いについて 初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととする。 ただし、初めて治療目的で医療機関を受診した日の医証が得られない場合 であって、医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である 場合については、請求者から健診日を初診日とするよう申立てがあれば、健診日を初診日とし、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めた上で、初診日を認めることができることとする。
「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」
平成27年9月28日(年管管発0928第6号)
健康診断を受けた日が初診日として認められるかどうかが、どのような場合に問題になるか
健康診断の結果、異常が見つかる場合がありますよね。
要経過観察、1年後の受診で再検査するようになどと結果が出る場合がありますし、治療のためにただちに医療機関を受診するようにという結果の場合もあります。
治療のためにただちに医療機関を受診するようにという結果を受けて病院に行って治療を開始した結果、長期間の治療を継続することが必要になる場合があります。
転居や通院時間など事情によって治療を受ける病院が変わる(転院する)ことがあります。
長期間経過後に状態が悪化して障害年金の障害の程度に該当する状態になった場合、はじめて治療を受けた病院にカルテが残っていないということがあります。
カルテの保存期間は法律上は5年間ですので、5年より前のカルテが残っていないということがあります。
この場合に、健康診断を受けた日を初診日として認められれば、障害年金を請求できるようになります。
原則として、健康診断を受けた日は障害年金を請求する上での初診日として認められませんが、このような場合には本人が申し立てることで初診日として認められます。
たとえば、会社員の方が健康診断の結果にただちに医療機関で治療をするようにとあり、会社の近くの病院へ行って治療を受け始めました。
その後、体調が良くないので会社を辞めました。
通院していた会社の近くの病院から、自宅近くの病院へ転院しました。
その後、長く治療を継続しましたが、状態が悪化して障害年金3級の程度に該当する障害の状態になりました。
会社員のときにはじめて治療を受けた病院は廃業して診察の記録もありません。
初診日が転院した先の病院となってしまうと、初診日は会社を辞めたあとの国民年金です。
国民年金の障害年金の対象となるのは1級2級だけですので、3級の状態であるこの方は障害年金を受け取ることができません。
会社員のときに受けた健康診断の日が初診日として認められれば、初診日には厚生年金に加入していたことになりますので、(初診日の前日に保険料納付要件を満たしていれば)この方は3級の障害厚生年金を受け取ることができるのです。
障害年金にとって初診日はとても重要な意味を持っています。
健康診断の結果は捨てずに保存しておきましょう
健康診断の結果は残してありますか。結果を見て捨ててしまわずに保存しておきましょう。
これまでは結果を見たら捨てていたという方もいらっしゃるかもしれません。
会社には健康診断の結果を5年間の保存する義務がありますし、5年を超えて保存しているかもしれません。
必要な場合には健康診断の結果を会社に提出してもらうように求めてみましょう。
健康診断は会社に課された法律上の義務
会社員の方は1年に1回は健康診断を受けていますよね。(健康診断は会社の法律上の義務です。)
労働安全衛生規則(定期健康診断)44条
事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
定期健康診断 (労働安全衛生規則第44条) | |
---|---|
1 | 既往歴及び業務歴の調査 |
2 | 自覚症状及び他覚症状の有無の検査 |
3 | 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査 |
4 | 胸部エックス線検査 及び喀痰検査 |
5 | 血圧の測定 |
6 | 貧血検査(血色素量及び赤血球数) |
7 | 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP) |
8 | 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロール、血清トリグリセライド) |
9 | 血糖検査 |
10 | 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査) |
11 | 心電図検査 |
厚生労働大臣が定める基準に基づき、医師が必要でないと認めるときなど上記のうちの一部のみ省略することができることになっています。(労働安全衛生規則44条2項以降)
障害年金にとって初診日は重要な問題。初診日が確定してはじめて障害年金を受け取れるか3要件が確認できる。
障害年金を受け取るためには、“初診日”がとても重要な意味を持っています。
初診日が決まるから、それを前提として、
初診日の前日に保険料納付要件を満たしているかどうか判断できます。
初診日から原則として1年6ヶ月を経過した日の障害の状態の程度で障害年金を受け取れるかどうか認定されます。
初診日に厚生年金に加入していたかどうかで、厚生年金を受けられるかどうかが決まります。
厚生年金に加入していれば1級2級3級の障害の状態に該当すると年金を受け取れます。
3級以外の1級2級の障害の状態に該当すると障害厚生年金+障害基礎年金(国民年金)を合わせて受け取れます。
障害年金は3つの要件を満たすと受けとることができます。
(1)初診日 (2)障害の程度 (3)保険料納付
障害の原因となる病気やケガではじめて医者の診療を受けた日(初診日)に、厚生年金に加入していれば、障害基礎年金(国民年金)と障害厚生年金の両方を合わせて受けとれます。
初診日についての記事はこちら。
「障害年金請求するときの“初診日”って具体的にはどんな日なの⁉️」
障害の程度についての記事はこちら。
「障害年金を受けられる障害とは、どの程度の障害なのか?」
保険料納付についての記事はこちら。
「会社を辞めようと思っているなら、具合の悪いところは我慢していないで、会社を辞める前に医者に診てもらっておくこと」
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