「内向型」労働者。やる気が感じられないから【懲戒処分】?

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新型コロナウィルス感染症で営業が思わしくなくて会社全体の営業成績が大幅ダウン。
“こんな厳しい状況の中でお前は覇気がない・やる気が感じられない、懲戒処分で3日間自宅謹慎だ、反省しろ!”
やる気がないんじゃない。「内向型」で大人しい性格だから努力が見えづらいだけなのに。

Q.営業成績が落ち込んでいるのは皆おなじなのに、私は大人しい性格だから懲戒処分を受けなくちゃいけないの?
A.いいえ、そんな理由で会社はあなたのことを懲戒処分を行なうことはできません。

【懲戒処分】は客観的合理性と社会的相当性が必要

懲戒処分は、会社が企業秩序を維持するために、会社が労働者に制裁罰として科する処分です

しかし、会社は労働者を自由に懲戒処分できるものではありません。

客観的合理性と社会的相当性。懲戒処分が有効であるためにはこの2つが必要となります。

労働契約法15条

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

使用者のための労働法』東京都

懲戒処分は、企業秩序を維持するために必要な措置ですが、就業規則(作成義務 がない場合には就業規則に準ずるもの)において、懲戒処分の事由とその種類(懲戒解雇、諭旨解雇、出勤停止、降格、減給、けん責など)及び程度とを定めておく 必要があります。懲戒処分を行う場合には、処分の対象者にどのような非行がどの懲戒事由に該当し、どの懲戒処分を選択したのかを明らかにし、かつ弁明の機会を与え ることが必要です。
懲戒処分には、懲戒権濫用法理(労契法 15 条「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様 その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」) が適用されます。ここでは、懲戒処分に至るまでに事前に警告したり、教育指導したりしたが、改善されなかったかどうか、前例に比べて厳しくないかなどの観点から懲戒処分の相当性が判断されます。

懲戒事由・懲戒事由を明らかにして定めた合理的な規定が就業規則にあるか?そして労働者に周知されているか?

・懲戒事由・懲戒の種類が就業規則に明記されていないで行われた場合、懲戒処分は無効
・懲戒事由・懲戒の種類が就業規則に明記されていても就業規則が労働者に周知されずに行われた場合、懲戒処分は無効

もちろん、懲戒の種類が就業規則に明記されていても就業規則が労働者に周知されていても、就業規則に記載された懲戒事由に該当する事実がなければ懲戒処分は無効なのは言うまでもありません。ぬれぎぬを着せられてはたまりません。

就業規則に関わる問題以外の懲戒処分の有効要件

罪刑法定主義に類似した原則
不遡及の原則
一事不再理の原則
懲戒しようとする行為の後で作った規則で処分はダメ
過去に懲戒処分の対象とされた事由に重ねて懲戒処分はダメ
平等な取扱であること 同じ規定に同じ程度で違反した場合、懲戒処分も同種・同等であること これまで黙認してきた行為を処分する場合は、事前に十分な警告が必要

処分の重さが相当であること
適正な手続きを経ていること 本人に弁明の機会が与えられたか?
懲戒処分の時間的制約 懲戒事由が発生してから相当期間経過後の懲戒処分は、企業秩序が回復し必要性が存続していないので無効の可能性有

参考・引用文献 『労働相談実践マニュアルVer.7』日本労働弁護団

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【編集後記】

懲戒処分の撤回を会社に求めても言い負かされてしまって強く言い返せなくて困っている・・・。
会社という組織に対して「内向型」労働者のあなたが押されてしまって辛い状況でいることはムリもないことです。
労働局や労働委員会に申請して「あっせん」による懲戒処分の撤回を求めるという方法もあります。
強く言い返せなくいからと言って、“泣き寝入りするしかない”わけではありません。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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