新入社員。4月入社だったのが延期された。入社日までの給料はどうなる?

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大学(高校)卒業後に新入社員として採用内定を受けていた。無事卒業できて4月から入社だったのが新型コロナウィルスの関係で入社日が先に延びたと言われた。
もともと入社する日だった4月〜先延ばしにされる入社日までの間の給料はどうなるの?

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採用内定後に会社都合で入社日を延期した場合、延期された入社日までの給料全額を払わなければならないのが基本

採用内定は入社予定日を定めた労働契約の成立である

労働契約法6条(労働契約の成立)

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

採用内定によって入社予定日を就労のはじまりとする労働契約が成立しています。
会社の都合で入社日を延期する場合は、入社予定日から延期された入社日までの間の給料全額を会社が払わなければならないのが基本です。

「一時帰休」(「仕事がないので休め」と言われた場合)と同じ、と考えるとわかりやすいです。

「仕事がないので休め」と言われた。給料が出ないで休まされるのは困る」の記事で紹介したことと同じ内容です。

会社の都合で働けない場合は給料100%を受け取る権利がある(民法536条第2項)

民法536条第2項

債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

採用内定後、企業の都合により入社日を延期(繰り下げ)して自宅待機をさせるような場合は、「労働義務の免除」ないし「労務の受領拒否」ということになります。

民法536条第2項によって、延期された入社日からではなくもともとの入社予定日からの給料全額の支払いを会社は拒むことができないのです。

会社の都合であなたが働くことができなかったのですから、あなたが会社で働かなかった場合でも給料の全額を受け取る権利があります。

しかし、民法536条2項は強行規定ではなく任意規定ですから特約によって排除することができます。

就業規則・労働協約・労働契約で民法536条2項を排除することで労働者であるあなたは反対給付である給料を受け取れない可能性があります。

民法536条2項が特約(就業規則・労働協約・労働契約)によって排除されている場合は、採用内定後、企業の都合により入社日を延期(繰り下げ)されたあなたは入社予定日から延期された入社日まで1円も受け取れなくなってしまうのでしょうか?

そうではありません。労働基準法26条で平均賃金の60%を受け取ることができるのです。

民法536条第2項が特約で排除されている場合でも、入社予定日だった日〜延期された入社日まで平均賃金の60%を受け取れる。(労働基準法26条)

民法536条第2項が特約によって排除することができる任意規定であるのに対して、労働基準法は特約によって排除することができない強行法規です。

会社の都合で働けない場合は、労働基準法26条によって会社はあなたに平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります。

労働基準法26条(休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

“新型コロナウィルスの関係で採用日が先に延びた”というのは不可抗力には当たらず、労働基準法26条の使用者の責に帰すべき事由となりますので、会社はあなたに入社予定日〜延期された入社日までは休業手当を支払う法律上の義務があります。

沖縄労働局は、新型コロナの影響による内定取り消しや入社先送りは「基本的には不可抗力ではなく事業所都合になる」と説明。企業による一方的な変更はできず、変更理由の説明の上、入社予定者の同意が必要になるとした。

沖縄タイムス+プラス 沖縄タイムス+プラス ニュース

採用内定後、企業の都合により入社日を繰り下げ(延期)して自宅待機をさせるような場合は、「労働義務 の免除」ないし「労務の受領拒否」ということになり ます。自宅待機は、労働基準法第26条の休業に該当し、使用者はその期間中、平均賃金の 100 分の 60 以上の休業手当を支払わなければならないということになります。
しかし、民事上は 60%を支払えばそれでよいということではありません。入社予定者は、入社予定日以後、その企業の従業員としての地位を有しますので、賃金 全額の請求権を有しているということになります。 (民法第 536 条第2項)

採用内定はしたけれど」かながわ労働センター(神奈川県ホームページから)

今日の1日1新 マグロほほ肉焼き

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フライパンで焼いて醤油とみりんで味付け。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格