【給与明細もらえないは会社の違法】外国人労働者に給与明細書交付しなかった問題

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労働者には給与(賃金)支払いのたびに給与明細書を渡さなければ違法です。

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「給与(賃金)は入っているけれど、給与明細書は入っていないんだよなぁ」という労働者。

コンビニで働く外国人労働者に給与明細書が交付されていなかった問題

大手コンビニで働いていた外国人労働者に交付されていなかったことが2022年8月1日YAHOO!JAPANニュースで報道されています。

「給与明細もらえず」 ローソンFCの外国人社員10人、団体交渉申し入れ 2022年8月1日YAHOO!JAPANニュース

このニュースによると、労働条件通知書には基本賃金18万円と記入されていたものの、給与明細書が交付されていなかったため、時間外労働の割増賃金がはっきりとしていないとのことです。

深夜時間帯のワンオペ労働で休憩がとれなかったり社会保険未加入であったことや商品の購入強要などそのほかにも問題があり、労働組合に加入し団体交渉を求めているとのことです。

「給与明細書」は給与(賃金)を支払うたびに労働者に交付しなければならないことは法律上の義務であり、給与明細書をそのつど労働者に渡さないのは法律違反の犯罪行為です。

給与明細書を労働者に渡さないのは犯罪(所得税法231条違反)

給与(賃金)は毎月1回以上きめられた日にその全額支払わなければならないことが労働基準法24条でさだめられています。

労働基準法24条(賃金の支払)

(1項)賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。

ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

2項 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第90条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

労働基準法120条

次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。

1号 第14条、第15条第1項若しくは第3項、第18条第7項、第22条第1項から第3項まで、第23条から第27条まで、第32条の2第2項(第32条の3第4項、第32条の4第4項及び第32条の5第3項において準用する場合を含む。)、第32条の5第2項、第33条第1項ただし書、第38条の2第3項(第38条の3第2項において準用する場合を含む。)、第39条第7項、第57条から第59条まで、第64条、第68条、第89条、第90条第1項、第91条、第95条第1項若しくは第2項、第96条の2第1項、第105条(第100条第3項において準用する場合を含む。)又は第106条から第109条までの規定に違反した者

参考記事
賃金は全額を払わなければ犯罪

給与(賃金)は毎月1回以上きめられた日にその全額支払っていれば、給与明細書を労働者に渡さなくても良いのかというと、それも違法です。

給与明細書を労働者に渡さないのは所得税法231条違反の犯罪です。

1年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑罰に処せられる犯罪です。
給与明細書を渡さなければならないのは外国人労働者も同じであることはもちろんです。

給与明細は給与の支払いの際に労働者に交付しなければならないことが所得税法施行規則100条でさだめられています。

ですから、給与は月に1回以上きめられた日に全額を支払い、給与の支払いのたびに給与明細を労働者に渡さないと違法です。

所得税法231条1項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)

居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。

所得税法242条

次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。ただし、第3号の規定に該当する者が同号に規定する所得税について第240条(源泉徴収に係る所得税を納付しない罪)の規定に該当するに至つたときは、同条の例による。

7号 第231条第1項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する支払明細書を同項に規定する支払を受ける者に同項の規定による交付をせず、若しくはこれに偽りの記載をして当該支払を受ける者に交付した者又は同条第2項の規定による電磁的方法により偽りの事項を提供した者

所得税法施行規則(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)100条1項

法第231条第1項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、同項の規定により、次に掲げる事項を記載した支払明細書を、その支払の際、その支払を受ける者に交付しなければならない。

1号 その支払に係る法第231条第1項に規定する給与等、退職手当等又は公的年金等の金額

給与明細書が交付されなければ「給与支払明細書不交付の届出書」を税務署長に提出する

給与明細書を労働者に交付しないのは所属税法231条違反です。
会社に求めても給与明細書を交付しないのであれば、税務署に届け出ましょう。

具体的には「給与支払明細書不交付の届出書」を提出します。

給与支払明細書不交付の届出書の提出の仕方は国税庁のHPから確認できます。

「給与支払明細書不交付の届出書」国税庁

「給与支払明細書不交付の届出手続」国税庁

給与明細書が渡されていない労働者がいたら『知って役立つ労働法』(厚生労働省)で違法であることを伝えよう

労働基準法には賃金支払の5原則がさだめられています。

(1)通貨で、
(2)直接労働者に、
(3)全額を、
(4)毎月1回以上、
(5)一定の期日を定めて

賃金を支払わなければならない(労働基準法24条)

賃金支払の5原則に違反しているときは労働基準監督官に申告して是正を求めます。

しかし、労働基準法には給与明細書を労働者に必ず渡さなければならないというさだめはありません。

労働基準法にさだめはありませんが、所得税法(231条)で、給与を支払う者は給与の支払を受ける者に支払明細書を交付しなくてはならないことがさだめられています。

会社は労働者に給与明細書を交付する義務があり、給与を支払うときに給与明細書を渡さなければならない法律上の義務があります。

このことは『知って役立つ労働法ー働くときに必要な基礎知識ー』2022年5月更新版にも記載されています。

『知って役立つ労働法』は厚生労働省のHPから無料でダウンロードできる労働法の冊子です。

33ページ「給与明細書(所得税法第231条)」で説明されています。

「給与明細がもらえない」という労働者の方がいたら33ページを見せて説明しましょう。

知って役立つ労働法P33

もしも、日本語で法律について会話するのがむずかしい外国人労働者の方が給与明細書を受けとれていないときはどうしたら良いでしょうか?

『知って役立つ労働法』(厚生労働省)は外国語版があります。

国語版の該当するページを見せて読んでもらうことで説明する代わりになりますから外国語版をダウンロードしましょう。

「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」(厚生労働省)から英語版・中国語版・ベトナム語版をダウンロードできます。

「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~」(厚生労働省)

しかし、英語など外国語がわからないと該当するページがどこなのか?探すこと自体がむずかしいです(私自身がそうです!)

まずは、日本語版を開いて該当ページを探しましょう。

日本語版でページが見つかったら、外国語版も開いて探してみましょう。
そして、日本語のページと似ているページを見つけましょう。

知って役立つ労働法英語日本語対比

目次のページ数から目星をつけることができる場合もあります。

索引 給与明細書

似ていると思ってもはっきりしなければ、ページの言葉をコピーしてネットで検索して日本語に訳してみると判別できます。

給与明細書

『知って役立つ労働法』(厚生労働省)とは別に、東京都が発行している冊子『外国人労働者ハンドブック』があります。

東京都の冊子『外国人労働者ハンドブック』は、日本語と外国語を見開きで労働法を解説しているので日本語で調べて見開きの隣のページを指差して読んでもらえれば良いので便利です。

便利なのですが、『外国人労働者ハンドブック』には「給与明細書」についての記載は見当たりませんでした。

外国人労働者の方が労働問題で困っていることで該当する項目があれば、東京都の冊子『外国人労働者ハンドブック』を利用してみましょう。

『外国人労働者ハンドブック』は英語版と中国語版が東京都TOKYOはたらくネットから無料でダウンロードできます。

東京都TOKYOはたらくネット

『外国人労働者ハンドブック』についてはこちらの記事でも紹介しています。

2021年外国人技能実習実施者の労働基準関係法令違反72.6%。外国人労働者の申告サポートが必要

【編集後記】

連日の猛暑。新宿(東京)の予想最高気温が37℃。宮古島(沖縄)が32℃。
東京より沖縄の方が5℃も低い。
「暑い沖縄」の方が東京よりも5℃も低いなら、「東京から沖縄へ避暑に行く」のが正解かもしれない。
お金に余裕があれば、6月から8月まで宮古島で暮らしてみたいなと。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格