銃撃され昨年2019年12月4日に亡くなった中村哲さん。ニュースで見た話だけでなくもっと知りたい。
中村哲さん著書『アフガニスタンの診療所から』が今年2020年2月15日文庫本で復刊されて本屋で手軽に手に入ります。
Contents
中村哲さん。名前は知っている。アフガニスタンで人々のために水路を作っていたことは知っている。
中村哲さんの名前はもちろん知ってはいる。昨年12月に銃撃されて亡くなってしまったことも知っている。
水路を作って田畑に必要な水を引き、土地をうるおす灌漑事業で砂漠化した大地をうるおし農地の回復のために活動した医師。
そのことはニュースで知っているけれど中村哲さんもアフガニスタンもイスラム教徒のこともわからない。
ネットで中村哲さんとその活動を特集したテレビ番組などを見ることもできますので、一度見ていただけたらと思います。
こちらの記事で紹介しました。「中村哲さんの本・マンガを読み動画を見てみよう」
中村哲さん本人が書かれた本を読んで見ると、考え・行動、視点が伝わってきますので、ネットで見る動画とは別に本を読んで見ることもオススメです。
『アフガニスタンの診療所から』(ちくま文庫)2020年2月15日復刊
発行からすでに長く経ってしまった本はなかなか手に入らなかったりしますが、追悼で復刊された著書が手軽な文庫本で発行されていますから、近くの本屋でも手に入れやすくなっています。
今回紹介するのは『アフガニスタンの診療所から』(ちくま文庫)です。
今から27年前(1993年2月)に刊行された本です。文庫版あとがきは2004年10月に書かれています。
アフガニスタンがどこにあるのか?場所もよくわからないという方もいるかもしれません。
パキスタンの隣国。パキスタンはインドの隣ですね。
医師の中村哲さんが率いていたペシャワール会のペシャワールとはアフガニスタンとの国境近くのパキスタンの州都です。
アフガニスタンとはどのようなところなのか、暮らす人々がどのような生活をしてどんな考えで生きているのか、どのような医療活動をしてきたのか、現場の声で感じることができます。
アフガニスタン、どこか遠い世界で知らないところ、イスラム教徒のことはわからない。
そんな私たちがアフガニスタンやイスラム教徒のことをちがうところも同じところもひっくるめて身近に感じられる生活感が伝わってくる本です。
水路を作り水を引く活動に入る前の医療活動とアフガニスタンの現地の人々の暮らし・苦難を知ることができます。
私たちが当たり前だと感じる価値観ではアフガニスタンの人々やイスラム教徒の方の価値観は理解できないことを感じます。
思想や宗教・価値観のちがいよりももっと大切なことはなにか?当たり前のことで、命、水と食べ物を手に入れられること。
中村哲さんが大切に考えていたこと、それを実行(行動)していたことが何だったかを知ることができる本です。
中村哲さんが説く「無思想」
「無思想」とは、特別な考え方や立場、思想信条、理論にとらわれないことであり、どだい人間の思想などはタカが知れているという、我々の現地体験から生まれた諦観に基づいている。
P177
名誉、財産はもちろん、いこじな主義主張を人が持ちはじめると、それを守るためにどこか不自然ないつわりが生まれ、ろくなことはないものである。良心や徳と呼ばれるものでさえ、、「その人の輝きではなく、もっと大きな、人間が共通に属する神聖な輝きである」というある神学者の説はうなづけるものがある。これを自分の業績や所有とするところに倒錯があり、気づかぬおごりやいつわりを生ずるというのが私のささやかな確信のひとつである。
P178-179
もちろん、中村哲さんには内村鑑三の『後世への最大遺物』を必読書として思想(キリスト教という宗教)がありました。
特定の思想や宗教を持つこと(持たないこと)はだれでも自由であるべきことですが、中村哲さんの説く「無思想」であることは重く受け止める必要があると感じます。
良心や徳でさえ自分の業績や所有とするものではないという確信を自覚する機会はなかなか持ち得ていないのでは?
740円(+税)で買って読める本ですので、あなたも読んでみてはいかがでしょうか?
Amazon アフガニスタンの診療所から (ちくま文庫)
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