【国民年金保険料】障害年金受給者の法定免除はいつまで続くのか?

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障害年金1級2級を受けとるようになると、市区町村に届出ることで国民年金保険料が免除されます。
国民年金保険料の法定免除です。
障害の状態がその後に改善したら、国民年金保険料の法定免除はどうなるのでしょうか?

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国民年金保険料の法定免除とは

国民年金保険料の法定免除とは、国民年金保険料を払わなければならない方(第1号被保険者本人)が保険料を払う義務を免除される制度です。

  • 法定免除の対象となる方は、市区町村役場へ届出ることで、保険料を払う義務が免除されます。
  • 法定免除を受けた(平成21年 4 月以後の)期間は、老齢基礎年金では1カ月を2分の1として計算されます。

障害年金受給者の国民年金保険料の法定免除の対象となる期間は1級2級で障害年金を受けとりはじめた方が、3級の程度に該当しなくなってから3年経過する前まで

日本年金機構HPでは?

国民年金保険料の法定免除制度 日本年金機構

国民年金保険料の法定免除制度|日本年金機構

国民年金保険料の法定免除制度

1.対象となる方

次に掲げる方は、「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を提出してください。国民年金保険料が免除されます。

(1)生活保護の生活扶助を受けている方
⇒生活保護を受け始めた日の含む月の前月の保険料から免除となります。

(2)障害基礎年金ならびに被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている方
⇒認定された日を含む月の前月の保険料から免除となります。

(3)国立ハンセン病療養所などで療養している方
⇒療養が始まった日を属する月の前月の保険料から免除となります。

障害基礎年金ならびに被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている方

とだけ、日本年金機構のHPには記載があります。

1級2級の障害年金を受けている方が

Q.3級の障害の状態になった場合は?

Q.3級の障害の状態にも当てはまらなくなった場合は?

国民年金保険料の法定免除がどうなるのか、この記載だけ見てもわかりません。

日本年金機構のHPを見るだけはわかりませんので、日本年金機構の内部資料『国民年金事務の手引き』ではどうなっているか確認してみましょう。

日本年金機構『国民年金事務の手引き』では?

市区町村職員向け研修等を行う際に活用するとされている日本年金機構『国民年金事務の手引き』(令和2年6月版)には、以下の記載が確認できます。

障害基礎年金などの2級以上の障害に関する公的年金の受給権者であるとき

(厚生年金保険の障害等級に該当しなくなってから、3年を経過していない者に限る。)

(令6の5、同4の6)

法定免除制度 日本年金機構 国民年金事務の手引き 令和2年6月版
日本年金機構『国民年金事務の手引き』(令和2年6月版P53)から引用

障害基礎年金(障害厚生年金)の1級2級を受けていた方が、厚生年金保険法に規定する障害等級(1級から3級)に該当しなくなってから3年を経過したときに、法定免除の対象者でなくなることがわかります。

1級2級の障害年金を受けている方・受けていたた方は、3級の障害等級に該当しなくなってから3年経過するまでの間は、国民年金保険料は法定免除され続ける。

日本年金機構『国民年金事務の手引き』を見て確認することができます。

【国民年金保険料の法定免除】法令の条文ではどうなっているのか?

日本年金機構HPにある記載を見ても、1級2級の障害年金を受けている方が3級の障害の状態になった場合はどうなるか、3級の障害の状態にも当てはまらなくなった場合はどうなるのかについての記載がありません。

障害年金受給者の国民年金保険料の法定免除の対象となる期間がはっきりしません。

国民年金保険料の法定免除制度|日本年金機構

日本年金機構HPの国民年金保険料の法定免除制度を見るだけではわからなかった、障害年金を受けている方の法定免除の対象期間。

日本年金機構の内部資料『国民年金事務の手引き』を見ることで障害基礎年金などの2級以上の障害に関する公的年金の受給権者厚生年金保険の障害等級に該当しなくなってから、 3年を経過していない方が国民年金保険料の法定免除の対象であることがわかりました。

しかし、日本年金機構の内部資料は、情報公開請求をしてはじめて見ることができるもので一般に目にすることができません。

そこでこの記事の最後に、だれでも見ることができる法令(ここでは法律と政令)で、国民年金保険料の法定免除について確認してみます。

国民年金法89条

(1項) 被保険者(前条及び第90条の2第1項から第3項までの規定の適用を受ける被保険者を除く。)が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、その該当するに至つた日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、既に納付されたものを除き、納付することを要しない。

1号 障害基礎年金又は厚生年金保険法に基づく障害を支給事由とする年金たる給付その他の障害を支給事由とする給付であつて政令で定めるものの受給権者(最後に同法第47条第2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過した障害基礎年金の受給権者(現に障害状態に該当しない者に限る。)その他の政令で定める者を除く。)であるとき。

2号 生活保護法(昭和25年法律第144号)による生活扶助その他の援助であつて厚生労働省令で定めるものを受けるとき。

3号 前2号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める施設に入所しているとき。

2項 前項の規定により納付することを要しないものとされた保険料について、被保険者又は被保険者であつた者(次条から第九十条の三までにおいて「被保険者等」という。)から当該保険料に係る期間の各月につき、保険料を納付する旨の申出があつたときは、当該申出のあつた期間に係る保険料に限り、同項の規定は適用しない。

厚生年金保険法47条(障害厚生年金の受給権者)

(1項)障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という。)につき初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)において被保険者であつた者が、当該初診日から起算して1年6月を経過した日(その期間内にその傷病が治つた日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至つた日を含む。以下同じ。)があるときは、その日とし、以下「障害認定日」という。)において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。

2項 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級、2級及び3級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

国民年金施行令6条の5(法第89条第1項第1号の政令で定める給付等)

(1項)法第89条第1項第1号に規定する障害を支給事由とする給付であつて政令で定めるものは、次のとおりとする。

1号 厚生年金保険法による障害厚生年金又は平成24年一元化法改正前共済年金のうち障害共済年金若しくは平成24年一元化法附則第41条第1項若しくは第65条第1項の規定による障害共済年金(障害の程度が第4条の6に定める障害の状態に該当する者に支給するものに限る。)

2号 移行農林共済年金のうち障害共済年金(次項第1号8において「移行障害共済年金」という。)で障害の程度が第4条の6に定める障害の状態に該当するもの

3号 旧法による障害年金

4号 旧厚生年金保険法による障害年金

5号 旧船員保険法による障害年金

6号 共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団が支給する障害年金(平成8年改正法附則第16条第3項又は平成13年統合法附則第16条第3項の規定により厚生年金保険の実施者たる政府が支給するものとされたものを含む。)

7号 恩給法(他の法律において準用する場合を含む。)による年金たる給付のうち障害を支給事由とするもの

8号 地方公務員の退職年金に関する条例による年金たる給付のうち障害を支給事由とするもの

9号 旧執行官法附則第13条の規定による年金たる給付のうち障害を支給事由とするもの

10号 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法によつて国家公務員共済組合連合会が支給する年金たる給付のうち障害を支給事由とするもの

11号 互助年金廃止法附則第11条第1項の公務傷病年金及び旧国会議員互助年金法第10条第1項の公務傷病年金

12号 存続共済会が支給する平成23年地共済改正法附則第八条の旧公務傷病年金及び平成23年地共済改正法附則第17条第1項の特例公務傷病年金

13号 遺族援護法による障害年金

2項 法第89条第1項第1号に規定する政令で定める者は、次のとおりとする。

1号 次に掲げる給付の受給権者であつて、最後に厚生年金保険法第47条第2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過したもの(現に障害状態に該当しない者に限る。)

イ 障害基礎年金

ロ 厚生年金保険法による障害厚生年金又は平成24年一元化法改正前共済年金のうち障害共済年金若しくは平成24年一元化法附則第41条第1項若しくは第65条第1項の規定による障害共済年金

ハ 移行障害共済年金

二 旧法による障害年金の受給権者であつて、最後に旧法別表に定める程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過したもの(現に障害状態に該当しない者に限る。)

3号 旧厚生年金保険法による障害年金の受給権者であつて、最後に旧厚生年金保険法別表第1に定める程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過したもの(現に障害状態に該当しない者に限る。)

4号 旧船員保険法による障害年金の受給権者であつて、最後に当該障害年金を受ける程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過したもの(現に障害状態に該当しない者に限る。)

5号 国家公務員共済組合が支給する障害年金(平成8年改正法附則第16条第3項の規定により厚生年金保険の実施者たる政府が支給するものとされたものを含む。)の受給権者であつて、最後に旧国家公務員等共済組合法別表第3の上欄に掲げる程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過したもの(現に障害状態に該当しない者に限る。)

6号 地方公務員等共済組合が支給する障害年金(旧地方の施行法第3条の規定により支給される旧地方の施行法第2条第16号に規定する共済法の障害年金を除く。)の受給権者であつて、最後に旧地方公務員等共済組合法別表第3の上欄に掲げる程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過したもの(現に障害状態に該当しない者に限る。)

7号 日本私立学校振興・共済事業団が支給する障害年金の受給権者であつて、最後に旧私立学校教職員共済組合法第25条第1項において準用する旧国家公務員等共済組合法別表第3の上欄に掲げる程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過したもの(現に障害状態に該当しない者に限る。)

8号 移行農林年金のうち障害年金の受給権者であつて、最後に旧制度農林共済法別表第二の上欄に掲げる程度の障害の状態(以下この号において「障害状態」という。)に該当しなくなつた日から起算して障害状態に該当することなく3年を経過したもの(現に障害状態に該当しない者に限る。)

国民年金施行令4条の6(障害等級)

法第30条第2項に規定する障害等級の各級の障害の状態は、別表に定めるとおりとする。

国民年金施行令別表(第4条の6関係)厚生労働省

国民年金施行令別表

【編集後記】

この記事の最後に記載した「国民年金法施行令別表」の視力については、2022年1月1日から変更されます。この変更によって障害年金を受けとれる方の対象が今までよりも増えることになります。

こちらの記事で紹介しています。
2022年1月から【眼の障害年金】認定基準が改正

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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