【10月10日は転倒予防の日】仕事での転倒は労災申請する

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10月に入り秋らしくなってきました。

ところでまもなくやってくる「10月10日」。
10月10日は、なんの日か知っていますか?「転倒予防の日」です。
新型コロナ感染症をのぞくと、休業4日以上の死傷災害でもっとも多いのが「転倒」による労働災害です。
通勤や仕事での「転倒」によるケガは労働災害です。労災はかならず労災申請しましょう。

【転倒による労災】死傷災害に占める割合は?

2021年に発生した労働災害による死傷者は約15万人(149,918人)。

新型コロナウイルス感染症など「その他」をのぞいて、1番多かった労災は「転倒」によるものでした。

2021年労災の死傷者数の約4分の1(23%)、33,672人が転倒が原因でした。

転倒による2021年の労災の死傷者は、前年対比で2,743人、8.9%増えています。

2021労災死傷者数

「令和3年 労働災害発生状況」2022年5月30日 厚生労働省労働基準局 安全衛生部安全課

転倒による労災の3分の2は第三次産業で発生している

2021年の転倒による死傷者数33,672人。

転倒による労災死傷者33,672人の3分の2(66.4%)が第三次産業で発生しています。
続いて多いのが製造業で15.8%、3番目が陸上貨物運送事業で8.4%でした。

転倒による労災死傷者数がもっとも多かった第三次産業。

第三次産業22,352人のなかで最多が小売業5,893人。
2番目に多かった保健衛生業のなかで最多が社会福祉施設4,336人。

小売業、社会福祉施設、飲食店での死傷者の約3割が、転倒による労災でした。

労災というと、工場や建設現場というイメージが強いかもしれませんが、
休業4日以上の死傷災害でもっとも多いのが第三次産業です。

そして死傷災害でもっとも多いのが「転倒」による労災です。

転倒による2021年の労災死傷者 33,672人(100.0%)
第三次産業 22,352人(66.4%)
製造業 5,332人(15.8%)
陸上貨物運送事業 2,813人(8.4%)
建設業 1,666人(4.9%)
交通運輸事業 756人(2.2%)
農業、畜産・水産業 533人(1.6%)
林業 139人(0.4%
港湾運送業 54人(0.2%)
鉱業 27人(0.1%

通勤・仕事での転倒は労災申請する

転倒による労働災害を防止するためには、滑ったり・つまづくことを防止するための取り組みが何よりも重要です。

転倒を防止する対策を会社が行なうことが第1です。

段差をなくす、床にケーブルなどをはわせない、床に物を置かない、床をすべりにくい素材に変更する、床に油や水気などがないように清掃するなど、転倒防止の基本的な対策を徹底して会社が取り組み、転倒災害の発生リスクを減らさなければいけません。

転倒災害を防止するために、安全衛生委員会で調査・審議して具体的な対策を会社に行わせる取り組みが欠かせません。

転倒による労働災害が発生した場合には、調査・審議して再発防止のための対策を会社に行わせます。

そして、労働災害が発生した場合には労災申請することが重要です。

再発を防止するための対策を会社が取り組むためには、労災申請をして、転倒による労働災害が発生したこと、仕事による転倒は労災であることを職場で認識することが不可欠です。

「転んでケガしたのは本人の不注意、会社が悪いわけではないから労災じゃない」

こんなふうに言われたり、ケガをした労働者自身が思ってしまい、労災申請をしないということがあります。

しかし、労働者本人の不注意でケガをした場合でも仕事や職場施設が原因となるケガは労災です。

会社が悪くなくても仕事で怪我したら労災保険
会社が悪くて仕事で怪我したら労災保険+損害賠償

この2つを覚えておいていただければと思います。

参考記事

【労災】自分の不注意でも仕事による怪我は業務災害

労働局のあっせんで求められる!労災による損害賠償請求(労働契約法5条安全配慮義務)

【編集後記】

「転んでケガ労災じゃない」と職場で言われたという労働者の方からの相談が少なくありません。いやいやとんでもない話です。
新型コロナをのぞいては労災死傷者が一番多いのが「転倒」です。
労働災害の「転倒防止」に関する検討会が厚生労働省で開催されているくらいです。

仕事や職場施設が原因での転倒によるケガは労災です。
労災はかならず労災申請しましょう。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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