2019年度【労働保険審査会】労災保険で29件が「取消」裁決

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労災保険給付であれば、不支給の決定がでたことに納得できないので不服申立てます。
裁決は、不服申立てを受けて審査した結果ですから、
「取消」裁決とは、労災保険給付の不支給の決定を取り消すこと。
つまり、労災保険給付の不支給決定を取り消したとは、支給する決定がでたということです。
労働保険審査会の2019年度裁決で労災保険で29件「取消」裁決がでています。

労災保険の給付についての納得できなければ、不服申立てができる

労災保険審査制度の仕組 1

労働基準監督署に労災申請・労災保険からの給付を請求すると、支給決定または不支給の決定がでます。

支給の決定がでればいいのですが、不支給の決定がでた場合は不服申立てができます。

・労災保険給付を支給するか不支給とするかを決定するのは労働基準監督署長です。

・労働基準監督署の決定についての不服申立ては、労災保険審査官に審査請求します。

・労災保険審査官の決定についての不服申立ては、労働保険審査会に再審査請求します。

労災保険給付の不支給の決定について不服申立てて、

労災保険審査官や労働保険審査会で「取消」が決定する、

不支給の決定が取消されると支給が決定されることになります。

今回は、労災保険給付の決定についての不服申立て、再審査請求して労働保険審査会で2019年度の「取消」裁決についての記事です。

【労働保険審査会2019年度裁決】467件中で労災保険についての裁決442件。全裁決で労災保険がしめる割合は95%

2019年度労働保険審査会裁決数

労働保険審査会 2019年度の裁決件数 467 割合
労災保険 442 95%
雇用保険 25 5%

2019年度の労働保険審査会での裁決は467件。

労災保険は442件。雇用保険は25件。

労災保険についての裁決が95%を占めています。

【労働保険審査会2019年度裁決】労災保険についての裁決442件中29件(6.7%)が取消を決定する裁決

労働保険審査会2019年度裁決 労災保険についての裁決442件

2019年度労働保険審査会 労災保険裁決数 1

2019年度 労働保険審査会  労災 裁決 裁決数合計 割合
業務上外 280 63%
障害 51 12%
給付基礎 28 6%
その他 21 5%
治ゆ認定 19 4%
通勤災害 12 3%
再発認定 11 2%
労働者資格 10 2%
却下決定 8 2%
石綿救済法 2 0%

労働保険審査会2019年度裁決での労災保険の裁決は442件あります。

労災保険についての裁決442件のなかで280件。63%が業務上外の裁決です。

業務上の災害であると決定がでて不服申立てすることはありませんので、

労働保険審査会で労災保険について裁決された442件のなかで280件。63%が業務上の災害だと不服申立てた方への審査の結果です。

労働保険審査会2019年度裁決 取消を決定する裁決は442件中29件。「取消」裁決率は6.7%

2019年度労働保険審査会 労災保険 取消 裁決数 1

2019年度 労働保険審査会  労災 裁決 「取消」裁決数 29件 割合
業務上外 15 52%
給付基礎 6 21%
その他 3 10%
治ゆ認定 2 7%
労働者資格 2 7%
障害 1 3%
通勤災害 0 0%
再発認定 0 0%
却下決定 0 0%
石綿救済法 0 0%

442件中29件。6.7%取消を決定する裁決。

労災保険給付の決定に納得できず不服申立て、労災保険審査官に審査請求したが認められなかった。

さらに労働保険審査会に再審査請求して裁決がでた442件の中で「取消」裁決は29件。

442件中29件。割合でいうと6.7%。

6.7%・・・。

事実としての数字ですから、過去の事実はそのまま受け止めるしかありません。

しかし、労働保険審査会に再審査請求するにあたって、442件のなかで労働者がどれくらいの準備をして臨んだか?それは別の問題です。

6.7%・・・。

似た割合の率を探してみたら、昨年(2019年)の社会保険労務士試験の合格率が6.6%でした。

第51回社会保険労務士試験の合格者発表~38,428人が受験、合格率は6.6%~

昨年(2019)度の労働保険審査会での労災保険の裁決数のなかでの「取消」裁決率6.7%とほとんど同じ。

労働保険再審査取扱状況 厚生労働省
労働保険再審査関係統計表(令和2年3月31日現在)

社会保険労務士試験の合格率が6.6%。だからといって受験しなかったら合格しませんよね。

合格にむけて勉強して準備した人が全員合格するわけではありませんが、準備せずに合格できたという人はいないでしょう。

労働保険審査会での労災保険の裁決数のなかでの「取消」裁決率6.7%だからといって、再審査請求しなければ裁決をうけること自体ありえません。

労災保険からの給付を請求したときに、労働基準監督署はなぜ不支給の決定をしたのだろうか。

何について認められなかったのか、なぜ認められなかったのか。

労災保険からの給付を認めさせるために、何がたりていないのか、これから何を準備すればいいのか。

不支給決定がでた理由をしらべて、対策を検討して、不服申立てに向けて準備をする。

調査・分析・準備をして不服申立てを行なうなら、不支給の「取消」決定・労災保険給付の支給決定をうける可能性が大きくなります。

【編集後記】

労災申請することは、一生のなかで何回もないでしょう。

労働基準監督署から不支給の決定がでても、あきらめずに不服申立てする方が良い思うのですが、いかがでしょう?

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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