【給与明細書の交付は会社の義務】労働者は受けとって保管すること。

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給与明細書をうけとって、現金や銀行にふりこまれた金額が間違えないか確認する。
確認したら給与明細書を捨ててしまっていませんか?
あとから大損してしまう心配があります。大事にとっておきましょう。

給与明細書を労働者にわたすのは法律上の会社の義務

給与明細書をうけとっていますか?

給与明細書を労働者にわたすのは会社の法律上の義務です。

給与明細書には給料から差し引いた項目と金額が書かれていますから確認してみましょう。

給料から差し引かれ(控除され)ているのは税金(所得税・住民税)のほかに社会保険料もあります。

社会保険には労災保険、雇用保険、厚生年金保険、健康保険(・介護保険)があります。

労災保険の保険料は全額会社負担ですので、あなたの給与から差し引かれることはありません。

社会保険料がいくら差し引かれていたのかがわかる給与明細書を保管しておかないと、あなたは取り返せなくなる大きな損をするかもしれません。

給与明細書は会社から受けとり、大切に保管しましょう。

所得税法231条1項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)

居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない

使用者(会社)が賃金を口座振込により支払う際には、労働者に賃金明細書を交付するように厚生労働省は指導しています。(通達H10.9.10基発530号)

給料から差し引いた労働者負担分の社会保険料の金額を労働者に知らせることは、労働保険徴収法、健康保険法、厚生年金保険法で会社に義務づけられています。

労働保険の保険料徴収等に関する法律32条1項(賃金からの控除)

事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、前条第1項又は第2項の規定による被保険者の負担すべき額に相当する額を当該被保険者に支払う賃金から控除することができる。
この場合において、事業主は、労働保険料控除に関する計算書を作成し、その控除額を当該被保険者に知らせなければならない

健康保険法167条(保険料の源泉控除)

(1項)事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
2項 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。
3項 事業主は、前2項の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない

厚生年金保険法84条(保険料の源泉控除)

(1項) 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなつた場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
2項 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。
3項 事業主は、前2項の規定によつて保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない

社会保険料の労働者負担分を支払っていた証明になる(雇用保険、健康保険、厚生年金保険)

【確認の請求】会社が雇用保険、健康保険・厚生年金保険の加入手続きをしていなくても労働者の請求で2年前までさかのぼって被保険者となる

労災保険は労働者が保険料を払うことはありませんし、被保険者という考え方もありません。

会社が労災保険の加入手続きをしていない、会社が労災保険の保険料を払っていなくても関係ないのです。

労災保険からうけとれる保険給付の消滅時効はありますが、時効消滅していない分の保険給付を労働者はいつでも請求できます。

仕事中に労災でケガをしたあとで会社を退職した。退職したあとでも退職前の労災について労災申請して保険給付を受けられます。

労災保険をのぞく社会保険、雇用保険・健康保険・厚生年金保険は、労働者が確認の請求をすることで会社が手続きをしていなくても被保険者であることになります。

しかし、被保険者となったこと(被保険者の資格の取得)の確認は2年前までしかさかのぼれません。

たとえば、5年前に就職していたが会社が社会保険の手続きをしていない。

労働者が就職して5年後に被保険者であることの確認の請求をしても2年前までしか被保険者となりませんので、就職してからの3年間は被保険者ではなかったことになってしまいます。

就職した1年後に大ケガをして病院に入院した。回復が悪く障害年金の3級の程度の障害の状態になったとします。

就職してから5年後に被保険者資格の確認の請求をしても、大ケガをして病院に入院したときには厚生年金の被保険者でなかったことになりますから障害年金を受けられなくなってしまいます。

被保険者資格の確認の請求についてはこちらの記事で紹介しています。
【社会保険加入手続】会社がしない。労働者の対応方法

保険料の労働者負担分が差し引かれたことがわかる給与明細書があれば2年より前も社会保険の被保険者として認められる

たとえ会社が保険料を国におさめていなかった場合でも、給与明細で保険料が給料から差し引かれていれば保険料をおさめていた扱いがされます。

会社が国に保険料をおさめていなかった2年よりも前の期間も社会保険に加入していたことになります。

年金(障害、遺族、老齢)の額が少なくなってしまったり、年金そのものが受けられなくなってしまわないように、大事な証拠として給与明細を保管しておくことが大切です。

失業手当(雇用保険の基本手当)をうけとるための被保険者の期間は、会社が手続きをしていなかった場合でも、労働者がハローワークに確認の請求をすることで2年前までさかのぼって被保険者となれます。

しかし、給与明細書で雇用保険の保険料が差し引かれていることが確認できれば、一番古い給与明細書までさかのぼって被保険者となります。
被保険者であった年数が長いほど失業手当(雇用保険の基本手当)を受けとれる日数が増えます。

基本手当所定給付日数

雇用保険法22条

4項 一の被保険者であつた期間に関し、被保険者となつた日が第9条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の2年前の日より前であるときは、当該確認のあつた日の2年前の日に当該被保険者となつたものとみなして、前項の規定による算定を行うものとする。

5項 次に掲げる要件のいずれにも該当する者(第1号に規定する事実を知つていた者を除く。)に対する前項の規定の適用については、同項中「当該確認のあつた日の2年前の日」とあるのは、「次項第2号に規定する被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日」とする

1号 その者に係る第七条の規定による届出がされていなかつたこと。

2号 厚生労働省令で定める書類に基づき、第9条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の2年前の日より前に徴収法第32条第1項の規定により被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期があること

未払賃金を請求するときの資料になる

賃金が一方的に減額されたり、時間外労働手当が支払われていないなど、未払賃金がある場合は時効消滅する前でしたらあとからでも請求できます。

労働基準法上の賃金等請求権については2020年4月からの分は当面の間「3年」とされています。退職金は5年間です。

未払賃金を請求するためには、まずは労働契約書・労働条件通知書をもとに本来うけとるべきだった賃金がいくらだったのか計算します。

もしも労働契約書などの書類をうけとっていない場合は、労働契約を締結したときに口頭で説明された内容をもとに計算します。

そのうえで、実際にうけとった賃金を給与明細で明らかにします。

本来うけとるべき賃金の全額 ー 給与明細の額 = 未払賃金の額

未払賃金の額を特定するための大切な証拠となりますから給与明細を保管しておくことが大切です。

IMG 9480 1

【編集後記】

写真は昨日(2020/11/15)研修ででかけた西武池袋線の練馬駅前の公園。
葉がだいぶ赤く色づいていました。
写真を撮ったのは朝ですが、昼には落ちてくる葉を手でつかもうと、子どもたちが元気に走り回っていました。

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      小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

      小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 ・30分無料zoomオンライン相談(期間限定)「相談・依頼の申込み」フォームから受付中。 1965年生まれ55歳。連れ合い(妻)と子ども2人。 労働者の立場で労働問題に関わって30年。 2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格
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