障害年金の【初診日】はあなたが思うよりも前の可能性がある

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「初診日」とは、初めて病院で医師の診療を受けた日のことです。

しかし、障害年金を請求するときの「初診日」は、あなたが思っている日とは別の日かもしれません。

障害年金の初診日とはいつのことをいうのか?見てみましょう。

障害年金の「初診日」とは

障害年金を請求するうえでの「初診日」とは、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日のことです。(国民年金法第30条・厚生年金保険法第47条)

整骨院、ほねつぎ、鍼灸院などで施術を受けたなどは初診日と認められません。

傷病とは病気やケガ、病気やケガが原因でなる病気のことです。

まとめると、初診日とは以下の3つの日になります。

No 初診日
1 病気になって初めて医師または歯科医師の診療を受けた日
2 ケガをして初めて医師または歯科医師の診療を受けた日
3 病気やケガに起因する(=原因として)
病気になって初めて医師または歯科医師の診療を受けた日

No3は、病気やケガが原因で(起因して)病気になったときの初診日は、病気の原因となった元の病気・ケガで初めて医師・歯科医師の診療を受けた日が初診日になるということです。

あなたが初診日と思っている日よりも前にある別の日が、障害年金を請求するときの初診日かもしれません。

初診日となる日の具体例を見てみましょう。

障害年金を請求するときの「初診日」の例

障害年金の「初診日」は、障害の原因となった傷病につき、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日のことです。

どんな日が初診日になるのでしょうか?具体例を見てみましょう。

初診日の具体例
1 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
2 同一傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
3 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
4 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名が記載されていた場合であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日 5 じん肺症(じん肺結核を含む。)については、じん肺と診断された日
6 障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
7 健康診断を受けた日(健診日)は原則、初診日として取り扱わないが、初診時( 1 番最初に受診した医療機関)の医師の証明が添付できない場合であって、医 学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、 請求者から健診日を初診日とするよう申立てがあれば、健診日を初診日として取り扱うことができる。
8 先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日
9 先天性心疾患、網膜色素変性症などは、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日
10 先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は出生日が初診日、青年期以降になって変形性股関節症が発症した場合は、発症後に初めて診療を受けた日

情報公開請求で入手した「障害年金審査業務マニュアル」2020年年8月版(日本年金機構)より作成

表のNo6には「障害の原因となった傷病の前に相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日」とあります。

この相当因果関係は、前の病気やケガがなかったならば、後の病気が起こらなかったであろうと認められる場合を、相当因果関係ありと見るとされています。

相当因果関係がある場合には、前・後の病気やケガを1つ(同一)の病気やケガとして扱われるので、前の病気やケガで初めて医師・歯科医師の診療を受けた日が初診日となります。

通常、後の疾病(病気やケガ)にはケガは含まれないとされています。

相当因果関係のこともふくめて、「初診日」はあなたが思っているよりももっと前になるかもしれません。

相当因果関係があると取り扱われることが多い例に以下のものがあります。

No 相当因果関係ありとして取り扱われることが多いもの(具体例)
1 糖尿病と糖尿病性網膜症又は糖尿病性腎症、糖尿病性壊疸(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)は、相当因果関係ありとして取り扱う。
2 糸球体腎炎(ネフローゼを含む)、多発性のう胞腎、慢性腎炎に罹患し、その 後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱う。
3 肝炎と肝硬変は、相当因果関係ありとして取り扱う。
4 結核の化学療法による副作用として聴力障害を生じた場合は、相当因果関係ありとして取り扱われる。
5 手術等による輸血により肝炎を併発した場合は、相当因果関係ありとして取り扱う。
6 ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭無腐性壊死が生じたことが明らかな場合には、相当因果関係ありとして取り扱う。
7 事故又は脳血管疾患による精神障害がある場合は、相当因果関係ありとして取り扱う。
8 肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸 不全発生までの期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱われる。
9 転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移である ことを確認できたものは、相当因果関係ありとして取り扱われる。

相当因果関係なしとして取り扱われることが多いものとしては以下のようなものがあります。

No 相当因果関係なしとして取り扱われることが多いもの(具体例)
1 高血圧と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱う。
2 糖尿病と脳出血又は脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱う。
3 近視と黄斑部変性、網膜剥離又は視神経萎縮は、相当因果関係なしとして取り扱う。

情報公開請求で入手した「障害年金審査業務マニュアル」2020年年8月版(日本年金機構)より作成

障害年金を請求するためには「初診日」がいつなのかが重要

障害年金請求するときに「初診日」を特定することがとても大切になってきます。

障害年金を受けとるための3つの要件

障害年金を受けとるためには3つの要件をみたす必要があります。(国民年金法30条、厚生年金保険法47条)

加入要件、保険料納付要件、障害等級該当要件の3つとも初診日が特定されないと要件を満たしているかどうか確認できません。

障害年金をうけとるためには、初診日がいつなのか?特定できないと原則として障害年金をうけとれません。

初診日がいつなのか原則としては受診状況等証明書に医師が記載することで証明されます。

障害年金をうけとるための3要件と初診日について、詳しくはこちらの記事で紹介しています。
【障害年金の請求】まず初診日を確定。受診状況等証明書を医師に依頼

障害年金を受けとるための3つの要件 内容
加入要件 初診日に年金に加入していること

(国民年金は20歳前・60〜65歳など例外あり)

保険料納付要件 初診日の前日に年金保険料の納付要件をみたしていること
(免除は納付の扱い)
障害等級該当要件 障害認定日(原則は初診日から1年6月を経過した日)に障害の状態にあること(国民年金は1級2級、厚生年金は1級〜3級の障害の状態)

初診日、初診日の前日、初診日から1年6月経過。3要件のすべてに初診日がかかわっています。

障害年金を請求するときに重要な意味をもつ初診日。

日常生活で使う初診日とはちがう場合がありますので、障害年金での初診日とはいつのことをいうのか?知っておいていただければと思います。

【編集後記】

インナーマスク(マスクインナーカバー)をご存知でしょうか。私が知ったのはつい最近です。

不織布マスクの内側にいれると、鼻・口とマスクの間に空間ができます。

息をすったときにマスクが鼻や口にペタっと密着しないので呼吸がラクになります。

昨日(2020/11/16)買って、今朝ジョギングで試してみました。

不織布のマスクをつけたままでジョギングするのは息が苦しくて無理だったのですが、インナーマスクをつけると平気です。

100円ショップでも売っていますので、試してみてはいかがでしょうか。

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昨日の1日1新 キャンドゥ マスクインナーカバー

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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