【解雇理由が納得できない】ときはどうするか

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30日後に解雇すると会社に通告された。
解雇の理由をたずねるとハキハキした明るい態度で仕事をしていないからだとのこと。
そんなことを理由に解雇されるなんて納得できない。
どうしたらいいのだろうか?

解雇理由証明書を会社に出させる(受け取る)

まずは解雇理由証明書を会社に出させましょう。

労働者が解雇の理由について証明書を請求した場合、会社はすぐに労働者に証明書を交付する義務があります。

解雇理由証明書を請求すると、

・解雇するとは言っていない・・・
・辞めて他の職場で働いた方が君のためになるんじゃないかな?と言っただけだ・・・
・君が退職したいのなら辞めてもいいと言ったんだよ・・・

など、驚くようなことを言われて、解雇の話そのものがなくなってしまったというケースもあります。

まずは解雇理由証明書を会社に請求しましょう。

そして、解雇理由証明書を受け取ったら、解雇理由を見て納得できる内容でなければ解雇撤回を求めましょう。

解雇理由証明書の請求〜解雇撤回を求めるやりとりについてはできる限り日時(年月日時分)がわかる書面でやりとりしましょう。もちろん書類のコピーは自宅など会社外で保管します。

会社のパソコンのmailでやりとりする場合はサーバーから記録が削除されても困らないように、送信先・元のアドレスや送信日時などのヘッダー情報も表示された状態で印刷して自宅に持ち帰るなど注意しましょう。

やむを得ず口頭でやりとりする場合はICレコーダーやスマホのボイスレコーダーなどで記録します。

言った言わないの水掛け論で消耗しないように記録することが大切です。

労働基準法22条(退職時等の証明)

(1項) 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない

2項 労働者が、第20条第1項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

3項 前2項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。

労働基準法22条

解雇理由証明書

解雇証明書様式 厚生労働省 東京労働局

退職証明2−1

退職証明2−2

退職証明書様式 厚生労働省 東京労働局

客観的合理性・社会通念上相当性が認められない解雇は無効

労働契約法16条(解雇)

客観的合理性と社会通念上相当性の2つを兼ね備えていない解雇は、権利濫用となり無効です。

この記事の冒頭にあるハキハキした明るい態度で仕事をしていないから解雇するというのは、客観的合理性も社会通念上の相当性もありません。

こんな理由で解雇されてはたまりません。

労働契約法16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

法律上禁止された解雇はそもそも無効

法律で禁止されている解雇 規制法
業務上の傷病による休業期間及びその後30日間の解雇 労働基準法第19条
産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇 労働基準法第19条
国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇 労働基準法第3条
労働者が労働基準監督署に対して申告したことを理由とする解雇 労働基準法第104条
労働組合の組合員であること、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇 労働組合法第7条
女性であること、あるいは女性が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後の休業したことを理由とする解雇 男女雇用機会均等法第9条
育児休業の申出をしたこと、又は育児休業をしたことを理由とする解雇 育児・介護休業法第10条
介護休業の申出をしたこと、又は介護休業をしたことを理由とする解雇 育児・介護休業法第16条

【解雇理由が納得できない】労働局の助言・指導、あっせんで解決する

解雇理由が納得できないので解雇を撤回させたいと考えた場合、どのような方法で解決をしていけば良いでしょうか?

まずは解雇理由証明書を請求し、解雇理由を見て納得できない場合は解雇を撤回するように会社に求めます。

しかし、会社が解雇を撤回するとは言わなかった場合にどうするか。

解雇撤回を要求して会社と労働組合で団体交渉する方法があります。

あなたが労働組合に加入していなくても、これを機会に労働組合に加入することで労働組合が会社と団体交渉することができます。

労働組合で団体交渉で解決していく方法の他にも裁判所を利用して解決していく方法もあります。

地位確認の民事訴訟で解雇無効を争うことができます。

民事訴訟は場合によって1年以上など解決までに長い期間が必要になりますが、同じ裁判所でも裁判ではなく労働審判の制度を利用することもできます。

労働審判は通常の民事訴訟と比べて短い期間で結論が出るのがメリットの1つです。

同じ公的機関を利用して解決する場合でも、裁判所ではなく行政機関を利用する方法もあります。

労働問題に関する行政機関としては労働基準監督署がすぐに思い浮かぶかと思います。

しかし、解雇の是非そのものは労働基準監督署で是正勧告や送検することはできません。

代わりに同じ厚生労働省の労働局で労働局長による助言・指導や紛争調整委員会によるあっせんで解決をすることができます。

労働局 助言 指導 あっせん

労働局長から会社へ【助言・指導】してもらう

都道府県労働局長が個別労働紛争の問題点を指摘し解決の方向を示唆することで、紛争当事者による自主的な解決を促進する制度が、労働局長による助言・指導です。

助言・指導には強制力はありませんが、労働者と会社のあいだで問題解決にむけて話し合いがスムーズに進まず困った状況のときに第三者であり公的機関である厚生労働省労働局長から助言・指導が入ることで会社が冷静な対応をして問題が解決することが期待できます。

2019年度の労働局長による助言・指導の申出件数は9,874件あり、そのなかで解雇についての申出は949件ありました。

9,874件の申出のうち99.6%(9,839件)が労働者からの申出でした。

処理が終了した助言・指導のうち97.2%(9,620件)が1ヶ月以内に終了しています。

労働局長による助言・指導は、裁判そして労働審判に比べても非常に迅速な対応であることがわかります。

労働局長の【助言・指導】による解決事例

解雇に関する紛争 埼玉労働局での事例
事案の概要 労働者Dさんは、賃貸マンション等の仲介等を行うP社で営業を担当している。Dさんは、営業実績が上がらないことを理由に上司であるマネージャーから解雇を通告されたが、解雇理由は不当であると主張して助言を求めた。
助言の内容 労働局からP社専務に連絡し、Dさんの主張を伝えた上で「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、解雇は無効とされる」ことを説明した。これに対し専務は、Dさんの解雇についてはマネージャーから報告を受けていないので事実確認した上で対応する、と返答した。
結果 労働局の助言を受けてDさんとP社との間で話し合いの場が設けられ、その結果、Dさんの解雇は撤回された。

労働局【あっせん】で解決する

労働局の紛争調整委員会によるあっせんを求める申請は2019年度で5,201件ありました。

5,201件のうち98.5%が労働者からの申請でした。

労働者が労働問題を解決するため労働局によるあっせんは身近な制度であることがわかります。

処理が終了したあっせんのうち83.3%(4,300件)が2ヶ月以内に終了しています。

労働関係訴訟の平均審理機関が約14.5ヶ月、労働審判の平均審理機関が約80日ですから、あっせんの8割以上が2ヶ月以内で終了していることのスピード感がわかるのではないでしょうか。

労働局によるあっせんについてはこちらの記事で紹介しました。
【不当解雇】内向型タイプで会社に直接抗議ツライなら労働局「あっせん」利用しましょう

労働局紛争調整委員会の【あっせん】による解決事例

解雇 石川労働局
事案 概要 所属長から電話で解雇を通告されて退職した。しかし、社長は「所属長 には人事権がないので、会社として解雇はしていない」と主張している。 納得がいかないので、解雇による経済的損害に対する補償金●●円の 支払を求めるとしてあっせん申請したもの。
あっせん 結果 あっせんを実施した結果、双方が譲歩し、解決金として▲▲円を支払う ことで合意が成立した。

Original

【編集後記】

労働局紛争調整委員会によるあっせんは、労働局長による助言・指導を経て行なうこともできますし、単独で申請することもできます。

またあっせんで解決できなかった場合はそれで終わりではなく、引き続き労働審判や裁判で解決をめざすこともできます。

まずは、迅速な対応が得られる労働局長による助言・指導、労働局紛争調整委員会によるあっせんで解決をめざす。

それでも解決できなかった場合は、労働審判や裁判で解決を求めていくという考え方もできますね。

昨日の1日1新 BUFFALO HDーPCFS2.0U3-BBA

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格