11月は「労働保険未手続事業一掃強化期間」

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労働保険は、労働者の生活を守るための国の制度です。
労働者を1人でも雇用している事業主は労働保険の加入手続きをする法律上の義務があります。
来月11月は「労働保険未手続事業一掃強化期間」です。

11月は「労働保険未手続事業一掃強化期間」

会社などの法人か個人事業か関係なく、労働者を1人でも雇用した事業主は労働保険の加入手続きをする法律上の義務があります。

ところが、労働者を雇用しているにもかかわらず労働保険の加入手続きをしない(労働保険料を支払わない)事業主もいます。

そこで、厚生労働省は11月は「労働保険未手続事業一掃強化期間」として取り組むことにしています。

労働者を1人でも雇用したというのは、正社員を雇用したときだけではありません。

労働者とは、職業の種類にかかわらず事業に使用される者で、労働の対価として賃金が支払われる者のことをいいます。

パートやアルバイト、契約社員など名称・雇用形態にかかわらず、労働者を1人でも雇用したら、会社でも個人事業でも事業主は労働保険の加入手続きをしなければならない法律上の義務があります。

雇用保険は、1週間の所定労働時間や雇用期間によって加入対象とならない労働者がいます。

労災保険は、労働時間の長さや勤務日数にかかわらずすべての労働者が対象となります。

労働保険の加入手続きをしないでいると、事業主には不利益があります。

労働保険加入手続きをしないでいる事業主 事業主が受ける不利益の詳細
1 過去の保険料もさかのぼって徴収されます。

保険料の他にも追徴金が徴収されます。

労働局、労働基準監督署又はハローワークから指導を受けたにもかかわらず、労働保険への加入手続きを行わない事業主に対しては、職権により政府が成立手続を行ない、労働保険料額を決定します。

その際に、労働保険料は手続きを行っていなかった過去の期間についても遡って徴収されます。

過去の保険料だけではなく追徴金も合わせて徴収されます。

もしも、労働保険料や追徴金を支払わない場合には、滞納者の財産について差押え等の処分が行なわれます。

2 労働災害が生じた場合、労災保険給付額の全部又は一部が徴収されます 事業主が、故意又は重大な過失により労災保険の加入手続きを行わない、いわゆる未手続の期間中に生じた事故について労災保険給付を行った場合は、労働基準法の規定による災害補償の価額の範囲で、保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部が事業主から徴収されます。
3 事業主のための助成金が受けられません 雇用調整助成金(休業等によって雇用維持を図る事業主に助成)や、特定求職者雇用開発助成金(高年齢者や障害者など、就職が特に困難な者を雇い入れる事業主に助成)などの、事業主のための雇用関係助成金については、労働保険料の滞納がある場合、受給できない可能性があります。

法律上の義務である労働保険の加入手続きをしないでいると、事業主はこのような不利益を受けます。

事業主が労働保険の加入手続きをしなかった場合に、

労働者は不利益を受けるか?受けないのか?あとでみていきます。

労働保険とは

労働保険は広い意味では社会保険に含まれます。

広い意味の社会保険のなかで、労災保険と雇用保険のことを労働保険といいます。

社会保険

  • 労働保険
  • (狭い意味での)社会保険

労働保険

  • 労災保険
  • 雇用保険

(狭い意味での)社会保険

  • 厚生年金
  • 健康保険
  • (40歳以上)介護保険

労働保険に加入手続きをしない事業主に使用されて働く労働者はどうなる?

労働保険に加入手続きをするのは事業主の法律上の義務です。

事業主が法律上の義務をはたさずに労働保険の加入手続きをしていなかった場合、労働者はどうしたらいいでしょうか?

【雇用保険】会社が加入手続きをしていなくても労働者は過去2年さかのぼって被保険者としての資格確認できる

労働者であるあなたが、資格確認請求をすることであなたが雇用保険の被保険者であることが確認されます。

雇用保険法(確認の請求・確認)

第8条 被保険者又は被保険者であつた者は、いつでも、次条の規定による確認を請求することができる。

第9条 厚生労働大臣は、第七条の規定による届出若しくは前条の規定による請求により、又は職権で、労働者が被保険者となつたこと又は被保険者でなくなつたことの確認を行うものとする。

しかし、資格確認請求をした2年よりも前の期間については所定給付日数を計算する算定基礎期間から除かれてしまいますので、失業手当(基本手当)を受けるときに損をしてしまいます。

雇用保険法22条(所定給付日数)

4項 一の被保険者であつた期間に関し、被保険者となつた日が第9条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の2年前の日より前であるときは、当該確認のあつた日の2年前の日に当該被保険者となつたものとみなして、前項の規定による算定を行うものとする

受け取れる失業手当の期間(所定給付日数)が短くなることで、受け取れる金額も少なくなってしまうからです。

被保険者であることの確認請求は、できるだけ早く行ないましょう。

所定給付日数

毎月の給与明細書で雇用保険の保険料が差し引かれている(控除されている)か確認しましょう。

雇用保険の被保険者であることの資格確認は過去2年間だけですが、給与明細書で雇用保険料が控除されていることが確認できる場合には、2年を超えた期間についても被保険者であったとして確認されます。

雇用保険法22条(所定給付日数)

5項 次に掲げる要件のいずれにも該当する者(第1号に規定する事実を知つていた者を除く。)に対する前項の規定の適用については、同項中「当該確認のあつた日の2年前の日」とあるのは、「次項第2号に規定する被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期のうち最も古い時期として厚生労働省令で定める日」とする

1号 その者に係る第7条の規定による届出がされていなかつたこと。

2号 厚生労働省令で定める書類に基づき、第九条の規定による被保険者となつたことの確認があつた日の2年前の日より前に徴収法第32条第1項の規定により被保険者の負担すべき額に相当する額がその者に支払われた賃金から控除されていたことが明らかである時期があること。

「うちの会社は給料明細書はないんだよ」

もしもそんなことを会社に言われたらどうしましょう?

法律上許されないことを伝えて、交付を求めましょう。

所得税法231条(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)

(1項)居住者に対し国内において給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その給与等、退職手当等又は公的年金等の金額その他必要な事項を記載した支払明細書を、その支払を受ける者に交付しなければならない。

2項 前項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、同項の規定による給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の承諾を得て、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。ただし、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者の請求があるときは、当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書を当該給与等、退職手当等又は公的年金等の支払を受ける者に交付しなければならない。

3項 前項本文の場合において、同項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払をする者は、第一項の給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書を交付したものとみなす。

【労災保険】会社が加入手続きをしていなくても労働者は給付を受けられる

給料明細書を見ると、厚生年金保険料・健康保険料(40歳以上の方は介護保険料も)・雇用保険料が控除されていることがわかります。

しかし、労災保険料が控除されていないこともわかります。

どうしてでしょう?

労災保険料は全額事業主(会社)負担だからなのです。

労災保険は、労働者は労災保険料をまったく払わない制度なのです。

そして、事業主が労災保険の加入手続きをしていなくても労災保険料を払っていなかったとしてもそのことに関係なく、労働者は労災保険から保険給付を受けられます。

このことも労働者の方には、知っておいていただきたいと思います。

【編集後記】

今朝(2021/10/18)は窓を開けるととても「寒い!」

先週までは暑くて半袖のシャツで外を歩いていたのに。

今日は上の子と2人で昼ごはんを食べながらAmazonプライムビデオで「シンデレラ」を観て、魔法使い役のBilly Porterの歌声に感動。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 ・30分無料zoomオンライン相談「相談・依頼の申込み」フォームから受付中。 1965年生まれ57歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  
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