仕事中でなくても、通勤途中での怪我は労災です。
労災保険で認められる通勤には3種類あります。
通勤災害ではまずは医療費が無料になる療養給付を請求します。
そして4日以上の休業では休業補償を請求します。
通勤の3種類と療養給付と休業補償について知り、通勤災害に遭ったら労災申請しましょう。
Contents
【通勤途中の怪我は労災】労災申請して労災保険給付の支給をうける
仕事中の怪我など、業務が原因での怪我は業務災害として労災になります。
業務が原因ではない怪我でも、通勤途中での怪我は通勤災害、労災です。
通勤災害(通勤途上での怪我)による労災申請は、まずは療養給付を請求します。
療養給付を請求すると医療費が無料になります。
そして、医師の指示で療養のために仕事を休んだ日は4日目から給料の代わり支給される休業給付を請求します。
通勤途上で怪我したときは、労災申請して労災保険からの給付をうけましょう。
労災保険給付が支給される通勤とはなにか、通勤の3種類と合わせて知りましょう。
通勤災害となる【通勤】の3つのパターン
労災保険における通勤とは、業務の性質を属するものをのぞく就業に関する合理的な経路および方法による移動をいいます。
業務の性質を属するものをのぞくとは、業務の性質があれば通勤災害ではなく業務災害となるからです。
合理的な経路および方法による移動とは、私たちが移動するために通常利用する方法のことです。
会社に届出たものとはちがう経路・方法で移動したという場合も、合理的な経路・方法であれば問題ありません。
参考記事
Q.労災(通勤災害)になる⁉️ 電車通勤で申請してるけど、自転車で出勤した日に通勤途中に自動車に接触されてケガをした
徒歩、自転車、自動車、電車など通常移動方法として私たちがいっぱんに利用する方法であれば、合理的な方法による移動になります。
合理的な経路を逸脱したり、合理的な経路であっても移動を中断した場合は逸脱・中断している間だけでなく、その後の移動も労災保険上の通勤とは認められなくなります。
逸脱とは、合理的な経路をはずれることをいいます。
中断とは、合理的な経路をはずれていないものの通勤とは関係ないことをすることをいいます。
ただし、日用品の購入などを最小限度の範囲での行為については、逸脱・中断の間をのぞいて合理的経路に戻ったあとの移動は通勤と認められることになっています。
業務の性質を属するものをのぞいた、就業に関する移動である「通勤」には3つのパターンがあります。
住居と就業の場所との間の往復
住居と就業の場所との間の往復について、合理的な方法および経路でおこなわれる移動は通勤です。
住居がアパートやマンションであれば、自宅の部屋の玄関を出たあとは通勤です。
一軒家であれば家の門を出たあとが通勤になります。
就業の場所から他の就業の場所への移動(複数就業者の場合)
兼業・副業、1つの会社(事業)だけでなく複数の事業で働いている方の場合は、1つの会社で働き終わって別の会社への移動についても通勤になります。
住居と就業の場所との間の往復に先行し、または後続する住居間の移動(単身赴任者の場合)
単身赴任をしている方にとっては、赴任先と帰省先、住居が2つあります。
赴任先と帰省先のどちらからでも就業場所への移動は通勤ですし、赴任先の住居と帰省先の住居との間の移動も通勤になります。
ただし原則として、赴任先の住居と帰省先の住居との間の移動は就業日当日とその前日・翌日が通勤と認められます。
【通勤災害の労災申請】まずは療養給付、4日以上の休業には休業給付
通勤災害【療養給付】医療費・薬代が無料になる(様式第16号の3)
通勤災害による療養給付の請求は、「様式第16号の3」療養給付たる療城の給付請求書を病院や薬局にそれぞれ提出することでおこないます。
診察、治療、薬など、必要な医療を無料でうけることができます。
労災指定病院ではない病院で医療を受けたら払った医療費をあとから返してもらう(様式第16号の5)
労災による怪我の医療は労災指定医療機関でうけます。労災指定医療機関でうける医療・薬は無料です。
しかし、怪我をして緊急で医療をうけるのに労災指定医療機関を選べない場合もあります。近くて怪我に適切な診療ができる病院が労災指定病院ではないことはあります。
労災指定医療機関ではない病院・薬局でも、健康保険は使えません。
労災であることをつたえて医療費全額を払います。健康保険ではありませんので3割負担ではなく10割全額負担で支払います。
そして、後日労災保険に医療費を請求して支払ったお金を返してもらいます。
医療費や薬代は病院にすでに支払っていますから、病院ではなく労働基準監督署に書類を直接提出します。
提出する書類は「様式第16号の5」療養給付たる療養の費用請求書です。
通勤災害【休業給付】休業4日目から平均賃金の8割が給料の代わりに支給される(様式第16号の6)
- 休業給付=平均賃金(給付基礎日額)の6割×休業日数
- 休業特別支給金=平均賃金(給付基礎日額)の2割×休業日数
特別支給金を合わせて平均賃金の8割の休業補償が支給されます。
通勤災害による休業給付・休業特別支給金の請求は、「様式第16号の6」休業給付支給請求書・休業特別支給金支給申請書を労働基準監督署に提出します。
複数の会社(事業主が同一でない複数の事業場)で働いている場合は、それぞれの会社での平均賃金を合計した金額をもとに計算して支給されます。
参考記事
【労災保険】複数の会社で働いている方の給付増える(2020/09/01〜)
業務災害(仕事が原因による労災)の場合は、休業1日目〜3日目までは会社(事業主)が平均賃金の6割以上の休業補償を支払う義務があります。
通勤災害の場合には業務災害にある事業主の休業補償が法律上の義務ではありません。
労災保険からの休業給付は、医師に指示より療養のために仕事を休んだ日の4日目から支給されます。
提出する書類は、勤務先の会社(事業場)を管轄する労働基準監督署に提出します。
労災申請の書類(労災保険給付の請求書)には会社の記入が必要だが、協力しないときは会社記入なしでも提出できる
労災申請の書類(労災保険給付の請求書)は、会社が記入しなければならない箇所があります。書類には事業主の証明が必要です。
しかし、労災申請への協力を拒否して事業主証明を記入しない場合もあります。
たとえば、会社に提出していたものとはちがう経路での通勤途上で怪我をしたから通勤災害ではないというなどです。
会社には労働者の労災申請に協力する義務がありますし、通勤災害であるかどうかを判断するのは会社ではなく労働基準監督署長です。
このことを会社に伝えて、労災申請の書類の作成に協力するように求めましょう。
それでも会社が書類の記入を拒否するのでしたら、会社の記入欄が未記入でも労災申請の書類を提出できます。
仕事中にケガをした。“労災じゃない”と言って労災保険請求書の証明欄に会社が記入してくれない❗️
会社が労災申請への協力を拒否していることを労働基準監督署に伝えます。
会社のだれにいつどのように拒否されたのか?記録をとっておくとよいでしょう。
会社が労災申請に協力せず自分で労災申請をしなければならない場合など、書類作成や提出など自分で労災申請をするのが不安でしたら労災申請(労災保険給付の請求)を行なっている社会保険労務士に手続きを依頼することもできます。
「労働者のための社労士・小倉健二」が取り組む業務は3つ(障害年金・労災保険給付・労働者の代理人として労働問題のあっせん解決)
会社が協力してくれない場合でも、労災申請をあきらめないでください。
【編集後記】
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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