【傷病手当金】社会的治癒後の再発は傷病手当金を再び受けられる

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健康保険の傷病手当金。1つの傷病(病気・ケガ)での支給期間は最長1年6月です。
社会的治癒(ちゆ)後に再発したら、べつの傷病として再び最長1年6月分の傷病手当金の支給を受けられます。

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傷病名が変わっても同一関連傷病なら1つの傷病手当金

たとえば、はじめて診療を受けた病院では「うつ病」と診断され、その後に別の病院へ転院して「双極性感情障害」と診断された。
ありうることです。不自然なことではありません。

「うつ病」と「双極性感情障害」は別の病気です。
しかし、傷病名がことなるからといって、かならず別々の傷病手当金を受けられるわけではありません。

もしも、2つの病気の間に相当因果関係があるのであれば、同じ病気か同じ病気により発症した病気、「同一関連傷病」となります。

相当因果関係がある同一関連傷病であれば、診断名がことなっていても1つの傷病としてあつかわれます。

同じ1つの傷病で傷病手当金を受けられるのは最長で合計1年6月分です。

参考記事
傷病手当金【2022年1月1日】支給期間の通算化へと制度が改善された

健康保険法99条2項4号

傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して1年6月を超えないものとする。

社会的治癒は「治」ったこと。治ったあとに症状がでれば、新たに傷病手当金を受けられる。

「社会的治癒(ちゆ)」とはなにか

過去の傷病が治癒した後再び悪化した場合は、再発として過去の傷病とは別傷病としてとりあつかう。

治癒が認められない場合は、過去の傷病と同一傷病が継続しているものとしてあつかわれる。

「医学的には治癒していない」場合でも、軽快と再度の悪化との間に、「社会的治癒」があったと認められる場合は、再発としてとりあつわれます。

社会的治癒」とは、相当の期間にわたって医療を受ける必要がなくなり、通常の勤務をしていたと認められる場合をいいます。

処置や薬物療法などの医療を受けていても、予防的治療の範囲(範疇)であれば社会的治癒が認められます。

「治癒(ちゆ)」後に「再発」なら、新たに傷病手当金を受けられる

社会的治癒(ちゆ)をふくめて治癒(ちゆ)、つまり「治」った後に発症した病気は「再発」となります。

再発は、過去の傷病とは「別傷病」としてとりあつかわれることになります。

別傷病ですから、過去に傷病手当金を受けていたとしても、新たな傷病として傷病手当金を受けることができるのです。

社会保険審査会での判断例(平成25年(健)第418号平成26年1月31日裁決)

同じ1つの傷病で傷病手当金を受けられるのは支給開始から1年6月分。

病名が変わっても、病気の間に相当因果関係があれば、同じ病気か同じ病気により発症した病気、同一関連傷病となる。

相当因果関係がある同一関連傷病であれば、診断名がことなっていても1つの傷病として扱われる。

同一関連傷病であっても社会的治癒(ちゆ)が認められれば、再発。
再発は元の病気とはべつの病気として、新たに傷病手当金を受けることができる。

別傷病か同一関連傷病か、同一関連傷病であっても社会的治癒が認められれば再発として傷病手当金を受けることができる。

このことが争われた社会保険審査会での判断例があります。

「平成25年(健)第418号平成26年1月31日裁決」をみてみましょう。

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊椎管狭窄症で傷病手当金を受けたことがある労働者が、のちに腰椎変性側弯症で傷病手当金を請求しました。

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊椎管狭窄症と腰椎変性側弯症は同一関連傷病である。

同一関連傷病での支給期間を超えているため、腰椎変性側弯症で請求した傷病手当金は支給しないという決定がされました。

請求した労働者が不支給の決定に納得できず不服申立てをしました。

社会保険審査官への審査請求では認められず、社会保険審査会へ再審査請求をして、不支給決定が取り消し、つまり傷病手当金の支給決定がでました。

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊椎管狭窄症と腰椎変性側弯症は同一関連傷病である。

腰部脊椎管狭窄症と腰椎変性側弯症はレントゲン等所見の表現のちがいであるなどの医師からの回答から、同一関連傷病と判断されました。

そしてこの同一関連傷病である腰椎変性側弯症が発症するまでの間に社会的治癒があるかを検討。

腰椎変性側弯症が発症するまでの間に、腰椎変性側弯症の療養(処置・薬物療法)を受けていた。

しかし、療養の内容は腰痛に対する一時的な局所注射・外用薬など鎮痛処置と傷病の悪化をふせぐための循環改善薬である。

これらは予防的治療であり、社会的治癒(ちゆ)が認められると判断されました。

健康保険の被保険者記録に毎月の標準報酬月額が記録されていて、賞与も定期的に支払われていることから、継続して就労ができていたと認められる。

このようなことから、前回傷病手当金を受け終わってから今回傷病手当金を請求するまでのほぼ10年間は社会的治癒(ちゆ)と認められる。

結果として、社会的治癒(ちゆ)後の再発として腰椎変性側弯症の療養の期間の傷病手当金を支給する決定が社会保険審査会でなされました。

平成25年(健)第418号平成26年1月31日裁決」 社会保険審査会裁決

傷病手当金の不支給決定がでてしまった場合は、不支給決定の取り消しを求めて不服申立てをすることも検討してみてはいかがでしょうか。

【編集後記】

昨日(2022/02/26)は連れ合い(お嫁さん)の誕生日プレゼントに買った電動自転車を受けとりに行きました。
同じママチャリでも電動自転車はブレーキがよくきくので安心です。

私はクロスバイク、連れ合いが電動自転車なら、2人で多摩湖までポタリングできるんじゃないか?と楽しみにしています。

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小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)

小倉健二(おぐらけんじ) 労働者のための社労士・労働者側の社労士 労働相談、労働局・労働委員会でのあっせん代理 労災保険給付・障害年金の相談、請求代理 相談・依頼ともに労働者の方に限らせていただいています。  <直接お会いしての相談は現在受付中止> ・mail・zoomオンライン対面での相談をお受けしています。 ・30分無料zoomオンライン相談「相談・依頼の申込み」フォームから受付中。 1965年生まれ56歳。連れ合い(妻)と子ども2人。  労働者の立場で労働問題に関わって30年。  2005年(平成17年)12月から社会保険労務士(社労士)として活動開始。 2007年(平成19年)4月1日特定社会保険労務士付記。 2011年(平成24年)1月30日行政書士試験合格  

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