高校を卒業して18歳で就職する、中学を卒業し15歳で就職する方もいます。
中学を卒業してすぐに就職した方は15歳でも社会保険に加入します。
未成年者でも労働者の方は社会保険からの給付をうけることができます。
Contents
20歳未満でも労働者の方は社会保険は強制的に加入する
20歳未満の労働者も厚生年金(+国民年金)・健康保険・雇用保険に加入する
20歳になると国民年金に加入することをご存知だと思います。
学生の方であっても20歳になれば国民年金の強制的に加入することになります。
学生ではない労働者の方は20歳未満でも就職した日に厚生年金に加入します。
20歳未満の方でも、厚生年金に加入している方は同時に国民年金にも加入しています。
満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの児童については、原則として労働者として使用することはできないと労動基準法で定められています。
労働基準法56条1項(最低年齢)
使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。
満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した方、中学卒業の年齢になった方については、会社(使用者)は労働者として使用することができます。
労働者の方以外は国民年金に20歳から加入しますが、
労働者の方の社会保険の加入には下限年齢がありませんので、20歳未満でも就職した日から社会保険に加入します。
労災保険は労働者が加入する社会保険ではない。年齢関係なく給付の対象
社会保険のなかでも、労災保険については労働者が加入するものではありません。
労災保険以外の社会保険は労働者が被保険者となりますが、労災保険には被保険者というものがありません。
年齢や国籍にかんけいなく労働基準法上の「労働者」であれば、だれでも労災保険からの給付をうけられます。
労働者の方が通勤や仕事が原因で病気になったりケガをした場合には労災保険からの給付をうけます。
労災保険の参考記事
【労働災害】仕事でケガをしたときに知っておきたい2つの労災申請
20歳未満の方でも、労働者ですから労災保険からの給付をうけられます。
通勤災害や業務災害に遭ったときは労災申請(労災保険からの給付請求)をすることで医療費が無料になり、療養のために医師の指示で仕事を休んで給料が支給されなかった日は給料の約8割の給付をうけることができます。
労災保険の給付は労働者がうけとりますが、保険料は会社が払います。
また、会社が労災保険の保険料を払っていない場合でも、労働者は労災保険からの給付をうけとることができます。
労災保険の加入手続きをしていなかったり手続きはしたが保険料を払っていなかった会社は、労災保険料と追徴金が徴収されますが、労働者の方は問題なく労災保険からの給付をうけられます。
未成年の労働者の方も、知っておいてください。
20歳未満でも労働者の方は厚生年金(+国民年金)と健康保険に加入する
20歳未満の方でも中学校を卒業(修了)した年齢である満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了した方は、就職できます。
中学校を卒業した年齢であれば就職できますので、会社などに就職した未成年者は厚生年金と健康保険に加入します。
会社などの法人の事業は厚生年金保険・健康保険の適用事業所です。個人事業でも常時使用される労働者が5人以上の事業は一部をのぞいて原則として適用事業所です。
厚生年金保険・健康保険の適用事業所に常時使用される労働者の方は、20歳未満の未成年者の方も被保険者になります。
あなたの社会保険の加入手続きを会社が行なっていない場合は過去にさかのぼって加入の手続きができますが、時効によってさかのぼれない期間が出てこないように早めに相談することが大切です。
20歳になると国民年金に加入します。
しかし厚生年金に加入した労働者の方は20歳前でも国民年金にも同時に加入しています。
厚生年金の被保険者の方は厚生年金の保険料を払いますが、厚生年金保険料のほかに国民年金の保険料を払うことはありません。
厚生年金に加入年齢の下限はありません。厚生年金は70歳になるまで加入する労働者の公的年金制度です。
初診日に厚生年金に加入していた方は要件を満たすと、20歳未満の方であっても障害厚生年金をうけとることができます。
1級2級の障害厚生年金を受給する方は、20歳未満の方であっても障害厚生年金に合わせて国民年金からの障害年金(障害基礎年金)もうけとります。
国民年金だけに加入している方は、1級2級の障害の状態に該当しない方は障害年金をうけとることができませんが、厚生年金に加入している方は3級の状態でも障害厚生年金をうけとることができます。
労働者の方の障害年金についての参考記事
健康保険の加入年齢に下限はありません。未成年の方でも就職すると健康保険に加入します。健康保険は、後期高齢者医療制度に移る75歳になるまで加入する労働者の公的医療保険制度です。
20歳未満の方でも会社などに就職した方は健康保険に加入していますので、病気やケガで3連続して仕事を休んだときは、4日目から給料の約3分の2の傷病手当金をうけとることができます。
傷病手当金についての参考記事
傷病手当金【2022年1月1日】支給期間の通算化へと制度が改善された
20歳未満でも労働者の方は雇用保険に加入する
雇用保険の加入条件は、1.2.の2つをみたすことです。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
1.2.の条件を2つともみたせば年齢に関係なく雇用保険に強制的に加入します。年齢は関係ありません。
加入年齢に下限がありませんから、20歳前の未成年者の方も雇用保険に加入します。
以前は65歳になるまでという上限がありましたが、現在は加入年齢の上限もありません。
年齢に関係なく、2つの条件をみたした労働者の方は雇用保険に加入します。
会社があなたの雇用保険の手続きをしていない場合にはハローワークで確認することで過去にさかのぼって加入することができます。
雇用保険被保険者資格の確認の請求についての参考記事
会社が手続していなくても、雇用保険に過去2年間は遡って入れます。
雇用保険(失業手当)についての参考記事
【雇用保険の加入条件】週所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあること
【編集後記】
大学まで進学し22歳で卒業してから就職する方が多いですが、18歳で高校卒業して就職、15歳で中学卒業してすぐに就職する方もいます。
中学卒業してすぐ就職した方も、労働者ですから労災保険の給付をうけられます。厚生年金(+国民年金)と健康保険に加入し、雇用保険にも加入します。
若くして働くことは大変なこともあると思いますが、社会保険による保障(補償)については同世代の学生の方よりも有利な条件で生きることになります。
労働法など働くうえでの知識をえる機会が少ないまま就職することで、若く働きはじめた労働者の方は、労働問題(働く上での会社とのトラブル)に直面したときに不利なこともあるでしょう。
労働問題で困ったときには、労働基準監督署や労働局などの窓口で相談しましょう。
私(特定社会保険労務士・小倉健二)は「労働者のための社労士」ですので、未成年の労働者の方からの相談もお受けしています。
困ったときには、1人で問題をかかえずに信頼できるところに早めに相談しましょう。
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
最新記事 by 小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都) (全て見る)
- 【産休・育休】厚生年金・健康保険の保険料免除について知ろう - 2023年3月29日
- 2023年4月1日【出産育児一時金】8万円増額1児50万円支給 - 2023年3月16日
- 【60歳で老齢年金繰上げ受給を検討中】繰上受給したあとで障害年金請求できるか? - 2023年3月14日