傷病手当金をうけている間に、医師が診断する病名が変わってしまったらどうなるのでしょうか?
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医師による病名が途中で変わっても、病気そのものが同じであることが明らかなら同じ病気として扱われる
体調が悪く病院で医師の診療をうけて仕事を休んで療養が必要と診断された。
このときに診断された病名はうつ病だった。
会社を休職して健康保険から傷病手当金を受けとり、診療と療養を続けている。
はじめは「うつ病」と診断されていたが、途中から「双極性障害」や「統合失調症」などへ病名が変更された。
診療を続けているあいだに病名が変更されるということは珍しいことではありません。
医師が診断する病名が途中で変わったとしても、病気そのものが同じなら、同じ病気として扱われますから、傷病手当金を受けとり続けることができます。
健康保険法99条4項
傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して1年6月を超えないものとする。
医師の附した病名が異なる場合でも疾病そのものが同一なること明らかなときは同一の疾病に該当する。
(昭和4年保規第45号)
同じ病気やケガ、同じ病気やケガに起因する病気での傷病手当金の支給期間は最大1年6月
医師が診断する病名が途中で変わったとしても、病気そのものが同じなら、傷病手当金についての同じ病気として扱われる。
このことは、病名が変わっても同じ病気なのであれば、最初の病名で傷病手当金を受けとりはじめてから最大でも1年6月までしか傷病手当金をうけられないという意味でもあります。
健康保険法99条4項
傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して1年6月を超えないものとする。
相当因果関係のある同一関連障害についての社会保険審査会裁決
参考となる社会保険審査会の裁決があります。(平成25年(健)第1392号 平成26年8月29日裁決)
- 「うつ病」
- 「双極性感情障害」
- 「抑うつ神経症」
- 「心身症」
- 「身体表現性障害」
診療をうけた時期や医療機関・診療科によって別の病気と診断されて治療を受けていた方です。
これらの病気は、病名はちがっていますが、それぞれの間に相当因果関係がある病気、同一関連傷病であると社会保険審査会で判断されています。
医師が診断する病名が診療をうけている途中で変更されたから、傷病手当金についても別の病気として扱われるというわけではないのです。
請求人は、「うつ病」、「双極性感情障害」、「抑うつ神経症」、「心身症」、「身体表現性障害」など、その時期により、受診した医療機関ないしは 診療科により、異なった傷病と診断され、治療を受けていたが、これらの傷病は、相互に相当因果関係を有する傷病であり、特に、本件請求傷病のうつ病と既決傷病の心身症は同一関連傷病と認められ、当該傷病の症状は、本件受給期間終了後から本件請求期間開始日まで一貫して認められる。そうして、眼瞼痙攣、開眼失行は、うつ病が基盤にあり、うつ病に起因して表出した身体的症状と認められ、
相当因果関係のある同一関連傷病と認めるのが相当である。
相互に相当因果関係がある病気やケガは同一関連傷病である
3 同一関連傷病かどうかについて判断する。
同一関連傷病については、国民年金法及び厚生年金保険上の障害の程度を認定するためのより具体的な基準として、社会保険庁により発出され、同庁の廃止後は厚生労働省の発出したものとみなされて、引き続き効力を有するものとされ、障害の認定及び給付の公平を期するための尺度として、当審査会もこれに依拠するのが相当であると考える「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」が定められているが、その「第1 一般的事項」の解説によれば、同一関連疾患かどうか、すなわち、相当因果関係があるとは、ある行為(事象)からそのような結果が生じるのが経験上通常である場合に、ある行為(事象)とその結果には因果関係 がありとされ、そのような考え方の上にたって、前の疾病がなかったならば後の疾病がおこらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありとみて前後の傷病は同一傷病として取り扱われるとされている。
昨日の1日1新 DOUTORコーヒー要町店
小倉健二(労働者のための社労士・労働者側の社労士)Office新宿(東京都)
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